自分史的なクリッピング史料

バイデンとトランプの討論会が開かれ、多くのTV解説者は、バイデンの高齢による反応の悪さが際立ったという。NYT(ニューヨークタイムズ)の論評では、バイデンではダメだと明確に言っている。でも他に有力な候補がいるのだろうか? 昨夜久しぶりに朝ナマを視聴したけど、田原総一朗もまだまだ自身は健在だと言っておられるようだけど、そろそろその役目を終える時が近づいていると思う。でも後継者がいないからという事実もあるんだろうけど・・・。関口宏の後は膳場貴子が継いだ。後継探しというのは本当に難しい。一代限りのカリスマの後継など望む人も少ないのではないか? 直ぐに比較され、批判され、晒しものにされるから。

大衆というのはそれまで散々批判しておきながら、いざ交代すると、新たな担い手を攻撃する風潮がある。それも古今東西の当たり前なのだろうか。そんな交代劇ばかりでなく、一方でフニューフロンティアでフロントランナーとなった人の背景などは興味ある世界。

2017年8月8日 朝日 フロントランナー
有限会社エコカレッジ社長 尾野寛明さん(*35歳ー掲載当時)
地域再生に奔走する「風の人」

このフロントランナーというシリーズも手元に残っている(クリッピング)してある記事は2008年7月が一番古い。この記事は2017年の記事とは言えかなり古い部類に入る(その間は1年に一つくらいしかピックアップしていなかったので)。

記事の冒頭は、人口が都道府県で2番目に少ない島根県がユニークな市や町づくりで成果を上げ、全国から注目され、視察が押しかけていると始まっている。地元の人からは、「きっかけを作り、地域に新しい風を吹かせ、あとは頼んだといなくなく風の人」と評されているというのがこの記事の主人公の尾野さん。さいたま市で育ち、大学生の時に東京で専門書の古本をインターネット通販する「エコカレッジ」を起業したとある。

当初は地方とは無縁の人生だったけど、24歳の時にゼミの調査で訪れた島根県の過疎の町に約15000冊の在庫ごと、本社を移したそう。「東京では3軍かもしれないけど、島根ではいきなり1軍。町長も気軽に会ってくれてサイズ感がよくて田舎の面白さにはまった」とコメントされている。今では情報格差は本来的にネット環境さえあればあまりないのでは?と思いつつ、ヒトの刺激という意味では、やはり首都圏にいるとなかなか地方の現況を理解しがたい。「過疎と戦うインターネット古書店」と銘打って、あちこちの町づくりを手伝うようになったという。

その手腕を買われて、東北、関東、北陸、近畿、中四国など14カ所で請われて「塾」を開き、塾長や講師をつとめているとのこと。キャリーバックをひっさげて全国を行脚していると。この後にインタビュー形式の記事が。

ー 「風の人」と呼ばれているが?
土地に根ざしている「土の人」と対比して、地元に根づかない人という意味だろう。どうせいなくなるんだからと批判も受けたが、要は風の人を使い倒してくれればいいんだという感覚の様子。

ー 軌道に乗るといなくなるという話がある。
いなくなるというより、必要とされなくなるということ。火を起こす役割を担うけど、後は地元の人がやる方がいい、と言いリードオフマンの役に徹することを信条とされている様子。

ー 大学生で起業したきっかけは?
高3の時に、(尾野さんの)お父さんが病死した時、そのサラリーマン人生の必死さをみていて、自分は最初からお山の大将でやりたいと、それで起業したのだと。

ー なぜ専門書の古書店だったのか?
大学に入ると教科書の専門書の値段が高くて、古本をリサイクルすれば売れると思ったから。それから、古本のチェーン店で働いたり、起業家を育成するNPO法人「ETIC(エティック)」のビジネスコンテストに応募したりして起業の準備を進めたとのこと。ETICを通して起業家とも知り合い、アイディアに触れ、人脈をいかして島根県のプログラムに参画できたと。

ー 一橋大学と大学院で中小企業、地域産業論で知られるゼミに在籍
現場主義の先生だったので、全国を回り、本社移転もゼミの調査がキッカケで、「東京で古書店を経営している」というと、ぜひここでもやってくれと言われることもあった様子。つい勢いでそれに呼応してしまったと。

ー 勢い?
会社も設立してから3年経ち、マンネリ化していたので、田舎に移したことは大正解だったと。専門書は回転率が悪いので、在庫を抱えなくちゃならない。倉庫の家賃も10坪で10万円と高くて保管コストに悩んでいたところ島根では100坪で1万円。一気に収支が改善して売り上げの伸長したと。そこから東京との2拠点居住が続いている様子。これはある意味一つの解なのかもしれない。

ー まちづくりは難しくないのか?
まちづくりに逡巡する若者は多い。でも既存の団体には入りたがらない。もしかしたらしがらみを懸念しているのかもしれない。そういう若者をまちづくりの仕組みに組み込むことが必要。

ー 担い手塾?
塾では地域の課題を発表してもらい、自分事から始まってなんとか事業化するという小さな動きから始動させる。その塾は半年で終了してしまうけど、その後卒業生がNPOを設立したりして、永続的な活動につながっている。この連続した動きが大事なんだろうなぁと思う。

ー 本業では障がい者雇用に力を入れている?
古本屋の仕事は、梱包、発送、在庫整理など一人でコツコツやる仕事が多くて、障がい者との相性はいい。そこで雇用を増やし、就労継続支援A型事業所の任かも受けた。最低賃金を保証して計22人(当時)を正規雇用していると。最近では農福連携など、色々な業種で、障がい者の働き場を確保していこうという事業も多い。地域の伝統産業を担う仕事を増やしていて、その拡張と共に、どこに本業があるのかわからなくなってきたとコメントされている。尾野さんは最後に必要とされるところがあれば、どこででもその期待に応えたいというコメントで締めくくられている。

同社のWebsiteを拝見すると相変わらず古書店と地域支援がメインビジネスと掲げているので、この記事掲載から7年も経過しているので、順調に運営されているのだろうか。でもこういうフロントランナーがいるからこそというビジネスもあるのだろうか。


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