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家族が強すぎて弱さを見せられない

今回のお手紙は、自分以外の家族がすごく強くて、なんだか自分まで「強くあること」を強要されている感じがするというお話でした。

お手紙の内容で、この方のお父様もお母様も「どこからそんなにパワーが出るのか?」というぐらい、超人級に強くて、そして、妹さんも大学生で成績優秀。朝から晩まで勉強し続けているそう。つ、強いですね。

それで、ご両親が超人的であるからか、経済的に自立していない人や心身が弱っていて誰かに頼らざるを得ない人に対して目線が厳しいそうです。そんな両親の元で育ったこの相談者さんのプレッシャーもやっぱりけっこう伝わってきて、今からもう「(経済的に・心身的に)強い男性と結婚してね」と望まれたりもするそう。

そういう環境もあって、「弱くあること」を自他ともに認められなくなっているような気がしてしまい、自分も、他人も、「弱くてもいい」と思えるようになるには、どうしたらいいのでしょうか、というご相談でした。

今回のお手紙から取り上げたいのが「家族が強すぎて弱さを見せられない」の話なのです。

まずやはり、こういう話ってありますよね。たとえばなんですけど、自分の両親が経済的にも社会的にも、住んでいる場所なんかでも「85点」の家庭があったとします。そしたら、その家の子どもに生まれたら、やっぱり将来大人になる時に「85点付近」を暗黙の空気や、もっとハッキリと要求されることがあると思うのです。そして、この「85点付近」のちょっとした“たちの悪さ”って、親が認めたカテゴリー内の85点を要求されたりする。たとえば、親が「経済的成功が絶対」という人だったら、芸術の分野で85点を取ってもなかなか認められないかも知れないし、その折り合いをどうつけていくのか。

本文に入る前にまず言いたいのが、「親がどんなに立派でも、子どもは子どもで自分の0点から積み重ねていくもの」です。親が持っているであろう85点よりも、自分で失敗をした27点が貴重な話になっていくことはすごく多いし、何よりも、こういう話を真面目に悩んだり、「やさしくあるためには」とちゃんと考えてお手紙まで送ってくれたこの方は大人よりも立派なところがあると思います。

それでですね、ちょっとこのお手紙を読んで思った僕の感想を言わせて下さい。

今までずっとコロナだったわけじゃないですか。何かようやくワクチンの話なんかも進んできて、「ずっと自粛」みたいな状態はこれから先、そんなに長くは続いていかないと思うのです。でも、ここまでの孤立や自粛のダメージは精神的にもすごく大きかったですよね。

それで、この「他人と会えない」というコロナ渦の中で僕が考えたのは、もしかして「他人」という存在は自分と違う誰かに「何か」を問いかけるために存在しているんじゃないかと思ったのです。

というのは、このコロナの状況の際、やっぱり家で自炊するケースが増えました。もちろん、食べるものがあることはとてもありがたかったんだけど、外食が極端に減ってしまって感じたことは、「自分の味」って予測がつくんですよね。でも、外食とか、誰かに作ってもらえた味って、「これ、おいしいですかね?」という他者からの問いかけがあるんです。お客さんや誰かのために必死で「どうしたら喜んでくれるか」と考えた、思案と努力と想いの味がするんです。

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