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【小説】あと47日で新型コロナウイルスは終わります。

~ポカリスエット・前編~

その夏の朝も、アキナはギリギリまで寝ていた。

ホテルの部屋も廊下もロビーも、キンキンに冷房が効いていた。

ところが、一歩外に出ると、ムワーッとした灼熱の空気がアキナを襲ってきた。

最初は、暑さのせいで軽くフラフラしているのかと思った。

歩いて5分程すると、今度は吐き気に襲われてきた。

(二日酔いだ。)

アキナはそう思った。

(昨日もスト缶を飲んだんだよな。)

それでも、無理をして歩き続けた。

(いつもと同じ量しか飲んでいないのに、今日は調子が悪いな。)

そのときだ。アキナは気づいた。本人は二日酔いだと思っていたら、別の重大な症状で、手遅れになる場合もあることを。

* * *

『ポカリスエット』40周年、“青は売れない”を打破した飲料業界の異端児が大ヒット商品になるまで

2020/10/5(月) 7:30 配信 オリコン

 1980年生まれで、今年40周年を迎えたポカリスエット。累計発売本数は、2008年時点で300億(340ml缶換算)を突破している誰もが知るイオン飲料だが、発売当初は全く売れなかったという。“飲む点滴”をヒントに生まれ、当時の飲料業界の多くの“タブー”に挑戦した同製品が、今や国内外で愛されるロングセラーブランドになった理由とは。大塚製薬に聞いた。

■「スポーツ時は水分補給禁止」の悪しき風習… 発売当初は全く売れず、3000万本無料配布

 日本におけるイオン飲料先駆けとも言える『ポカリスエット』。発売されたのは1980年。その開発のきっかけは、メキシコだった。

「当社の研究員がメキシコに出張で赴いた際、激しい下痢に襲われて脱水症状に陥りました。その際、現地医師から炭酸飲料を渡されたのですが、その研究員は“もっと人間の身体に合った吸収の良い飲み物はないだろうか”と考えました。また、手術後に汗をかいた医師が水分補給のために点滴液を飲んでいるのを見た研究員は『飲む点滴』というアイデアはどうだろうか、と発案。これをヒントに、汗で失われた水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる“汗の飲料”というコンセプトが加わり、開発がスタートしました」

 当時の日本では、スポーツ時の水分補給は禁止とされていたような時代。中高生の部活時代、練習中に「水は飲むな」「水分を取るとへばる」と言われていたことを覚えている中高年層も多いだろう。

「スポーツに限定せず、“日常生活のなかで飲む健康飲料”を目指して研究開発を進めましたが、発売当初はなかなか受け入れられませんでした。そこで弊社は、日常生活で身体から水分が失われるシーンを徹底的に洗い出し、現場に赴いて製品コンセプトと水分と電解質補給の重要性など製品価値について説明しました。サウナや野球場など汗をかく場所、買い物帰りの主婦にもお声がけし、冷やした『ポカリスエット』を無償配布していきました。配布した本数は初年度だけで3,000万本。結果反響を得て、発売から2年目の夏に大ヒット。“イオン飲料”という新たな市場を築くことに成功したのです」

 つまり、『ポカリスエット』は当時の常識への挑戦でもあった。今やスポーツや風邪の時のみならず、日常での水分・電解質補給は当たり前だが、その必要性が広まった立役者の一つとなったのだ。医療分野で培われた科学的根拠と揺るぎないコンセプト、長年の地道な健康啓発活動によって、今も『ポカリスエット』はこのジャンルの“顔”に君臨している。

(つづく)

(文/衣輪晋一)

* * *

アキナは、50m先の角を曲がったところにある自動販売機を思い出した。

(売っててくれ~。売っててくれ~。)

アキナを何人もの会社員風の男女が追い越して行った。

中には振り返って、アキナの顔を見ていく者もいた。

(ポカリスエット・後編へ)

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと47日。

実体験に基づいたフィクションです。

 ◆自殺を防止するために厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口

 ▼いのちの電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)、0120・783・556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)

 ▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570・064・556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)

 ▼よりそいホットライン 0120・279・338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120・279・226(24時間対応)

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