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【小説】あと68日で新型コロナウイルスは終わります。

~ワクチン空輸~

「すいませ~ん。」

アキナが昼休憩中に昼ご飯をコンビニで買うために外に出ると、公園の方から何かが飛んできた。

見ると、それは紙飛行機だった。

「懐かしい。」

アキナは思わず声を出してつぶやいた。紙飛行機を拾うと、公園の中から手を振っている親子に向かって紙飛行機を飛ばした。

* * *

ワクチン空輸は「世紀のミッション」、貨物機8000機必要とIATA

国際 CNN.co.jp 2020/9/11 15:27

各国の製薬会社が新型コロナウイルスのワクチン開発競争にしのぎを削る中、使用可能となったワクチンを世界の隅々まで供給する具体的な方策についても注目が集まっている。

世界の定期航空会社で組織する国際航空運送協会(IATA)によると、1回分のワクチンを78億人に供給するには、ボーイング747型の貨物機8000機を使用する必要がある。これらの運航計画は現時点で開始しなくてはならないという。

IATAのアレクサンドル・ドジュニアック事務局長は声明で、「新型コロナワクチンを安全に届けることは、世界の航空貨物産業にとって世紀のミッションになるだろう」と語った。

そのうえで「各国政府には、率先して物流チェーン同士の協力を支援するよう強く求める。それにより各種施設や保安業務、出入国手続きの準備が整い、来るべき膨大(ぼうだい)かつ複雑な任務への対応が可能になる」との見解を示した。

現在、29種類のワクチンを対象にした複数の臨床試験が世界中で同時進行している。

ワクチンが承認を受け、その後大量に生産されても、適切な計画なしにはそれらを空輸することができない。

IATAは空輸における懸念事項として、温度管理された施設や機器が使用可能かどうか、熟練したスタッフを確保できるかどうか、堅固な監視体制を構築できるかどうかなどを挙げている。

また現状の出入国規制を緩和し、ワクチン運搬者の迅速な手続きを可能にしたり、ワクチン輸送機の乗員を隔離措置の対象から除外したりするなどして、空輸による供給体制を維持する必要があるとも指摘した。

* * *

アキナが飛ばした紙飛行機は弧を描いて親子の近くまで飛んでいった。

「ありがとうございま~す。」

親子は仲良く声を揃えて言った。同じグループだろうか。他にも紙飛行機を飛ばしている親子が何組もいた。

そのリーダーらしき人が、
「ソーシャルディスタンスを保って飛ばしてくださ~い!拾うときは、特に気をつけてくださ~い!」
と呼びかけていた。

雲一つ無い青空に一斉に上がる紙飛行機を眺めながら、アキナはワクチン空輸に思いを馳せた。

この空いっぱいに、時短営業も、学校・大学閉鎖も、ライブ自粛も、感染や死の恐怖も、何もかもから解放された夢のワクチンを乗せた飛行機が飛び回る日が来ることを。

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと68日。

これは、フィクションです。

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