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「そういう言葉が欲しかったんじゃないのに」

「なんか心が疲れちゃった」と彼女は言った。

私はその言葉を聞いた時、頷くしかできなくて「何かあの時良い言葉をかけてあげられれば良かったのかな」と今更思い、眠りにつけなかったのはきっと、ワクチンでボヤボヤとした頭の中でのたくさんの後悔のうちのたった一つの後悔。そう全てワクチンのせいだ。

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心が疲れちゃった・・・いや分かるよ、分かるけどさ。逆にいつも心がハートフルな武井壮みたいな人の方が少ないじゃないかとも思う。全力で走り続けることって無理だろう。だから疲れた時は息抜きの時間を大切にして、人と関わって、そのバランスをうまく取れた人が前向きにいられる人なんじゃないかと。

本当はそう伝えたかったけど、彼女はきっと私の意見を聞きたかったのではなくて、共感して欲しかったのだろう。というのも、以前彼女に「どう思う?」と相談された際、私は時間をかけて考え、私の意見を提示した結果、「いや、そういう言葉が欲しかったわけじゃないのに、なんで伝わらないんだろう」と面と向かって言われたことがある。彼女もなかなか強気な人で悪意があって放った言葉ではないにしろ、多少の衝撃が私の中に広がり「共感」の重要性をそこで学んだのだ。

私のように相談するときは他人からの意見を求めるタイプと、彼女のように共感をしてほしいタイプ。きっと他にもいろんなタイプが存在するのだろう。100%理解してあげられること、期待にそぐえない事の方が残念だけど多い。それでも、私は私なりに彼女のことを大切にしていて意見を口にした。でもそれを求められていたわけじゃない。変な意見を押し付けない「共感」が必要だったのだ。

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そんなわけでちょっとだけ彼女の求めるものを学習した私は、彼女の「心の疲弊」に対して口を出せず、ただそばで頷きお酒を飲んだだけだったけど、それが正解だったのか疑い出したらキリがないとわかりつつ、ワクチンでボヤボヤとした脳味噌でその正解不正解を考えてしまってよく眠れなかった昨晩。そんな彼女から久しぶりの連絡、「結婚する」とのこと。よかった。心を委ねられる人が、一生の味方が出来てよかったと思う。どうか幸せになってほしい。そして今度会ったときは是非、ピリッとした空気とは無縁の、楽しい話だけを一緒にしよう。


結婚おめでとう。

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