「スター・レッド」 萩尾望都

暑苦しい京都にいることなんか忘れて読みふけってしまったSF漫画。御所南にあるレティシア書房で半額で売られているのを見て、うれしくってすぐ購入しました。まだ読んでいない萩尾望都作品があれば、無条件で買うことにしている。

火星で生まれた第五世代の少女セイは、火星人であることを隠しながら地球で暮らしている。憧れ続けた故郷にようやく帰れたセイだが、火星に大きな災いが起きようとしていた。残された火星人を救おうとするが…。

萩尾望都の漫画は、いつも壮大な映画を見ている気分になります。強いて言えば短編のほうが好きだけど、長編ももちろん好き。というか、今んとこ萩尾望都作品できらいな作品なんてない。

セイは火星人特有の赤い目と白髪をカラコンと毛染めで隠しながら暮らしている。そして、昼はお嬢様女子学校に通いながら、夜は暴走族のボスでバイクで走り回るという、とんでもない設定。そして火星人であるセイは実は視力がほとんどない。といっても見えていないわけではなく、むしろ人間のように視力に固定されずに、あらゆる視点から全てを見ている。(背後も、めっちゃ遠くも、全部見えてる。すごい)

私が生まれるよりもずっと前に書かれたSFなのに、今見ても十分に未来的な描写。クライマックスでは火星と地球だけではなく、銀河系を越えた星や異星人まで巻き込む壮大なストーリーとなって、最後はホロリと切なくなる。

今まで読んだ萩尾望都作品の中でナンバーワンというわけじゃないけれど、萩尾望都のこういうロマンチックなSFが大好きです。どの作品も、どんなに時間が経っても決して古くならない物語。

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