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スイカ惑星

猫のミーコはマーヌが食べているスイカを初めてみました。
「ニャー」「え、スイカ食べるの?」
マーヌはスイカをミーコにあげようとしましたが、ふと思いました。
(お腹壊したり、体壊したりしたらどうしよう?人間の場合は美容液とさえ言われているスイカだけれど。)
マーヌはミーコに渋々スイカをあげないことにしました。その代わり、とっておきのご褒美用のキャットフードをあげました。

ミーコはスイカのことが忘れられませんでした。(あの粒々は何だろう?チョコレートかな。)ミーコはスイカの模様、スイカの種のことも興味深々でした。そして、スイカの色にも魅かれてしまいました。

ある日、スイカによく似た実があったので、食べようとしましたが、それはカボチャだったので割れませんでした。ミーコはカラスにスイカのことを話しました。「スイカなんて、ゴミの日になれば誰かが捨てているものなのさ。」「果物屋さんにあるスイカがいい。」「飼い主に頼むしかないかも。」「最近もうスイカみないんだよね。」「今度持ってきてあげるよ。」
「ミャー」「カー」

カラスはなかなか持ってきてくれませんでした、というより、カラスはもうどこかへ飛んで行ったまま戻ってこなかったのでした。(地球じゃなくて、スイカ惑星に住むんだ。)そんな空想にふけっていたある晩、ミーコはスイカ惑星の夢をみたのでした。


「ニャんだこれは!!!」

「遂にスイカ惑星に到着するのかニャー」


「三日月が真っ赤になっている!!」



スイカ惑星の周りに、三日月型のスイカ衛星が回っています。ここではどれだけスイカがあることでしょう。

ミーコはスイカ惑星に降り立ちました。そこでは、地球で見たスイカではなく、おばけスイカだらけの惑星でした。みたことのない不気味なスイカ達がミーコを迎えます。

ミーコはスイカを食べたことが無いので迷いました。その間に、他の宇宙人がスイカを食べたのです。すると、その宇宙人はスイカおばけになってしまいました。


スイカおばけになっただけでも恐ろしいのに、スイカ惑星の宇宙人の餌食にまでなってしまうのでした。


他にもカットスイカになってしまった宇宙人もいました。スイカ惑星の人々はその惑星のスイカを食べて、スイカお化けになってしまった、そのスイカを食べにくるのでした。





中には、スイカになった宇宙人同士が共食いをすることも。


ミーコはまだスイカを食べていなかったので、猫の姿のまま、鬼ごっこをするかのように逃げ回っていました。スイカおばけや、スイカ惑星の人々はミーコを追いかけようとはしませんでした。ミーコはホッとしましたが、スイカおばけになってしまった宇宙人が次々に皮だけになっていくのをみて、スイカ惑星はもう嫌だとなり、地球に戻りたいと思ったのでした。

夢の中で眠ったミーコ。部屋いっぱいにスイカに囲まれて眠っている夢のまた夢をみるのでした。


外に出ると、マーヌがミーコのためにスイカをあたり全面に実らせて、カットスイカを持ってきてくれたのでした。


ミーコは、りんご飴のような、水あめのような香りだと思ったのでした。あまりにも美味しいので、マーヌとミーコは種ごと毎日毎日水や食事代わりにスイカばかり食べていました。


来る日も来る日も。
「スイカ美味しーミャー」「美味しいね!!」




スイカを食べ始めて、1500日目のことでした。

ミーコとマーヌに異変が起きていました。

「スイカ美味しいミャーニャー」「そうね、美味しいわね!」


スイカの種が突然変異を起こして、ミーコの体模様がスイカのようになっていきました。マーヌはなぜかミーコのようにスイカ模様の猫人間になってしまいました。それでも、スイカを毎日食していくのでした。

「スイカ美味しいミャー」「そうだね!」「あれ、スイカ猫だよ!」「え、ミーコも模様がスイカになってしまっているワ!!」


世界中で、スイカを食べ続けたために、スイカ猫になった人々や猫がいました。



でもこれは、スイカを食べ続けたからといって、そうなるわけでもなかったので、人々やネコは不思議がりました。スイカ猫はペルシャ猫と同じように、世界中で珍しい猫として人気になっていきました。

そんな夢をみたミーコは、もうすぐ目が醒めるのでしょう。



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