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『服を“売る”ならこんな風に』……ファッション市場救済のために。

『ファッション市場が縮小してる。

これは様々な複合要因があるが、その中の大きなものとして

●服(お洒落)の楽しみ方を今の時代に合わせて啓蒙する人がいない

●従来のアパレル業界人と激安リテイラー、オンラインプレイヤーや通販専業メーカー等の意識ギャップや確執の存在

●ファッションのロールモデル(憧れを喚起するリーダー)不在

などがあるだろう。
筆者は、文章はさほど上手ではないのだが、
『視覚的なチャートで構造を解き明かす』ことは得意としてる。
なので、図式+解説という感じで、少し語ってみようと思う。

まず今回は、ファッション業界の国内プレイヤー構造を俯瞰して見る。

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かなり細かく実名まで含めて投げ込んでみた。従来型のアパレルメーカー、SPA事業者、セレクトショップからデベロッパー、デジタル関連事業者まで業界を構成する全てプレイヤーを描いてみた。
中にはまだあまり顕在化してないが、これからの時代に台風の目になりそうなイノベーション系も描き込んである。

これらのプレイヤーのタイプ分類は以下になる。

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で、筆者が考えるに、ファッション市場や業界全体を委縮させている原因はこの複合プレイヤー間の意識ギャップと、消費者マインドと市場育成意識の抜け落ち。
そして、自分達の利益だけを考えるエゴイスティックな儲けの構造だ。

この中で特に大きい問題は、
①リアル空間(実店舗事業者)で起こってる問題、
②デジタル空間(オンライン)で起こってる問題、

そしてそれらを包括的に認識してして
③OMO(オンライン・マージ・オフライン)的に解決しようとする
大局観のある姿勢のプレイヤーの不在

だと思う。

この欠落構造を以下に明示してみる。

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こんな感じだ。

で、
デジタル空間=オンラインコマースは一見成長してるように見えるが、
これは残念ながら、『便利で低コスト』であるオペレーション優位因子によって、リアル側の売上を単に奪ってるだけに過ぎない。

なので仮に(有り得ないけど)
このリアル市場をEコマースが全部奪いつくした暁にはどうなるか?
リアル側が提供している、服の実在感や体験感は今のデジタル側には実現できてないので、市場はさらに縮小するだろう。
ぶっちゃけ、デジタル側は、リアルが高コストをかけて作った服の存在感に乗っかって、市場だけ横取りしてるに過ぎない。

だが、リアル側に問題がないか?…というとこれはそうでもない。
ここにも実はエゴの塊で消費者不在の構造が30年以上続いているのだ。

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こちらの沿革図のようにファッション小売の主役はその時々で変わってきてるが、内実の構造は実はあまり変わっていない。
ブランドによって囲い込み、店の外に出さないようにする!
というオンリーショップ型構造だ。
これゆえに消費者は、ホントに自分にふさわしいワクワクするファッションを、ブランドという記号を介してしか選べない 状況に陥った。

消費者は、ファッションに対して、ブランドの権威とかその逆に実用性だけを求めているわけではない。自分がカッコよく、美しく、魅力的になれるための道具立てとしてファッションアイテムを使いたいはずだ。
どんな生活シーンで
自分はどの服をどう着れば良いのか?
それをきちんと教えてくれるサービスを望んでいるはずだし、
自分の今、そして今後のライフスタイルや就業職種にふさわしい
ファッションロールモデルを求めている。
ファッション業界やメディア業界やデジタル業界は、このニーズに全く応えてこなかった。これが今の沈滞を招いた背景にある。

今回の記事の最後に、その背景の一つである、30年来変わってない、リアルショップ側の在庫のいびつ構造の図式をあげておこう。

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さてさて、長い年月をファッション業界と共に過ごしてきた筆者は
コンサルタントであると共に、一介のファッション好きの消費者でもある。
しかしその筆者が、今のファッション業界が生み出す商品には全く満足できず、年々ファッション購入額が落ちている

自分ごととして、この構造をなんとかしたいのだ。
また、服の買い方や魅力を知らない(感性は鋭敏なのに)若者に、ファッションの楽しみ方を教えたい。

ということで、次回の記事につなげようと思う。