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消費行動と社会心理・構造Magazine

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生活者の価値観や心理と行動はどう変化したのか?それによってこれからの社会はどうなってゆくのか?マクロな視点で世界とニッポンの経済成長に直結する潮流を分析します。
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2019年3月の記事一覧

時流に逆らう“テキストファイル・メモ”の魔力!

前田裕二氏『メモの魔力』は思考法やシナリオメーキングの話だ。 紙のメモはアナログなツールで、テキストも絵も図も数式も自由自在。だから思考を助ける最善のツールであるのは間違いない。 とはいえ、それをヒトと共有したり、そこに書いたテキストを抽出して別の資料に再利用するにはアナログなだけにちょっと不便なツールだ。AI時代がモット進めば手書き文字認識を使って瞬時にデジタル化できそうだけど。 なので、 制約が大きいのを知りつつも、筆者は、Windowsのメモ帳を使って、テキストメモを

周囲から空間が消え失せた。

このタイトルの表現、誇張じゃなくて……凄い感じてる。 やっぱりスマートフォンの存在が大きいと思う。 スマホを持って外に出る、通勤する、そうすると… 昔自分の周りに拡がっていたはずの「広大な空間」が消え失せてる んだよね。 以下のようなことです。 ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓ こんな理由……五感の鈍化・喪失では? 別の記事でも引用したかもですが、 再度、上記を含む過去スライドを引用しておきますね。

アドバルーン化した「ヒトのビジュアル」が滑稽だし、ちょっとウザい。

最近、編集された紙面やオンラインメディアなどの記事と広告を見てて凄く感じるのは、ヒトのビジュアルや発言がパフォーマーっぽくなったなぁ…ということ。これは以下の以前の記事で書いたことと同じ要因かもしれない… これってどうなんだろう? 今って、SNSにしても多様なオンラインメディアにおいても主役は企業や商品ではなくて、人(仕掛け人やプレス、インフルエンサー等)になっている。オーディエンスは商品やサービスではなくて、ヒトの発言を注視してるのだ。 逆に言えば、メディアからすると企

実はデータ分析を裏から支える『勘とセンスと美意識』を磨く。

データドリブンマーケティングやデジタルマーケティングが浸透して以来、勘とか経験に基づくマーケティングが軽んじられてきた。しかしここ数年で何でもかんでもロジカルシンキング(左脳的思考法)な傾向が見直されて、右脳的な勘とかセンスがもう一度クローズアップされてきている。 どういうことなんだろう? 10年前くらい。まさに猫も杓子もデータドリブン時代の幕開けだった。 ビッグデータという言葉がちょうど今のAIのようなバズワードになり、データサイエンティストという職種が浸透し始めたのがこ

豊かな心地良い生活のイノベーションの“用途発想”が無さ過ぎる!

新規事業やサービスの開発支援をやってて思うのだけど、これだけ新しい技術革新が起こってるのに、国内のスタートアップとかクリエーター諸氏……その使い方に関するアイディアが何てPoorなんだろうか?って思うことが多い。 こんな生活になったら、こんな街ができたら、こんな店舗ができたら、こんな家、こんな部屋になったら、こんなレジャー施設ができたら……何のことはない。自分の生活をエキサイティングで楽しくする、心地よくすることを考えるだけで良いのに。 ひとつ思うのは、SFとかコミックとか

もう一度『消費者』になろう!(経済は消費で購われてるって知ってた?)

★★消費者という日本語が良くないのかもしれない★★ 消してしまう?費用を払う?……違うな……それだと消費は悪の権化のように見えてしまう。以前別の記事でも書いたけど、これと真逆にある生産という言葉も日本では誤解を生みやすく、狭く捉えられ易いのだ。別にモノを作らなくても素晴らしい生産活動はある。 「消費」って実は生産者と同じくらいのクリエイティブワークなのだ。マーケティング業界の人は、消費という言葉の居心地の悪さを感じていたため、消費者と言わずに生活者という言葉を使った。

村上春樹が処女作で予言した世界。『量』による拡散は『質』を超えるのか?~「魔法の世紀」の罠。

落合陽一氏に喧嘩を売るわけじゃないんだけど……… 彼の著書『魔法の世紀』で書いたことは間違いではない。 でも、GAFAや新進のデジタルプラットフォーマーのビジネスモデルに対して、ちょっと違和感を感じて、あの懐かしい小説をふと思い出してしまったのは、僕が初期高齢者だからかしら?ちなみに筆者は今56歳。 今や日本文学界の巨匠、金字塔の村上春樹の処女作『風の歌を聴け』。 そこには、数値でしか自己の存在価値(レーゾン・デートゥル)を証明できないという考えに囚われた一人称主人公の”

エンゲージメントの意味をちゃんと考える。

エンゲージメントという言葉は『繋がり』という意味から派生して、従業員やスタッフの場合は「愛着」「思い入れ」「愛社精神」、顧客の場合はファン意識やロイヤリティ、そしてSNSでは絆、愛着、推奨度などの意味で、KPI値として拡散性の評価として使われる。 ただ、なんでもかんでもエンゲージメントを高めようという気風には、僕はちょっと懐疑的だ。なぜかというと、愛着であっても思い入れであっても、そこには必ず『範囲』『対象物』といった「何に対して?」という注記がはいると思うからだ。 企業や