#511 DXとは何か? デジタル化との違いは?
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
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今日はですね。「DXとは何か? デジタル化との違いは?」についてお話をしていきたいと思います。
DXとは何か?
まず最初に、「DXとは何か?」という話についてです。
DXとは、「デジタル・トランスフォーメーション」の略と言われていますね。
日本語に置き換えると、「デジタル」は……日本語に置き換えなくてもいいか(笑)。「トランスフォーメーション」は、変形、変質、変容といった意味がありますが、ビジネスにおける文脈では変革ですね。
つまり、デジタル化によってトランスフォームする。変革するということが、DXかなと思います。
ここでいう「変革する」とは、その言葉の意味からすると「根っこから変える」ぐらいな形ですよね。変革するんだから、いままで当たり前だと思っていたことを、もう、まるっと変えてしまう。「やり方」というよりも、「そもそも」の部分から変えてしまう。それが、デジタル・トランスフォーメーションなんじゃないかなと思います。
「そもそも」を変えるのは難しい
ただ、その「そもそも」の部分を変えるのって、そんなに容易ではないかもしれないですよね。なので、DXというと、なんだか闇雲に「なんかやる」みたいな感じにもなりがちです。
そこで、現在の日本における状況としては、DXといっても、次で説明する「デジタル化」とおそらく、ほぼ同意として理解されているんじゃないかなと思います。
デジタル化とは?
ここからは「デジタル化」についてです。
「デジタル化とは何か」というと、いままで行っていたこと……たとえば、それは紙で行っていた業務かもしれませんし、口頭のやり取りかもしれませんし、体を使ってやっていたことかもしれませんが、それを、「デジタルに置き換える」ことが、デジタル化だろうと思います。
「いままで紙で送っていた請求書を。メールで送ってやり取りをする」とか、「会計システムを入れて、システムの中で請求書を作って送る」とか、この「置き換え」がデジタル化ですね。
DXとデジタル化の違いとは?
では、「DXとデジタル化の違い」が何かというと、DXは「まるっと変革する」こと。置き換えというよりは、まるっと変えること。そもそものところから変えること。それに対して、デジタル化はいま行っていることを「置き換える」こと。
こう考えてみると、その本質はまったく異なるものだということが、DXとデジタル化の違いです。
先ほども話したように「まるっと変える」というのは、それほど容易ではないし、なにをすればいいのか、なかなか思い浮かばないことも多いものです。
なので、これは竹内の感覚ですが、いま、DXと言われていることの9割、いや、9割5分は、デジタル化ではないかなと思います。
「DX」か、「DX化」か
ちなみに、DXしていくことを、「DX化」と呼ぶ方もいます。
繰り返しになりますが、DXは「デジタルを使って変革すること」です。厳密にいえば「する」というのは動詞ですよね。「変革すること」は行為です。
一方、「〇〇化」とは、ある状態が、前と違ったものに"なる"、"変わる"ということ。
「DX化」とは、「変革すること化」となるので、言葉の意味としてはやや不自然な気もします。
言葉の使い方としては、本来は「DX化」ではなく、「DX」という言い方がおそらく正しい。もっとも、そんなに細かく言うつもりはありませんけどね(笑)。ただ、「DX化」という言葉にモヤモヤするという話をよく耳にするので、取り上げてみました。
DXは、人の認識が影響を与えることもある
先ほども申し上げたように、DXは、いままでとやり方を「まるっと変える」とか、「そもそものこのところから変える」ということですが、そんなに容易ではありません。
ですが、デジタル化とDXの違いは、人の認識によるところも、大きく影響を与えているのではないかと思っています。
たとえば、コロナ禍の広がりで、テレワークやオンラインでのミーティングがかなり進みましたよね。
オンラインミーティングや、Webのセミナーについて、こうしたことを行う技術は、コロナ禍以前はなかったのか? というと、技術自体は以前からありました。ツールでいえば、Zoomもあったし、SkypeとかTeamsもありました。他にも、いろんなツールありました。
ツール自体は、以前から存在していました。
ですが、多くの人は会社に行って働いていたし、現地に行ってミーティングをしていたし、デジタルの力によって、行為が変わっていたか? というと、そんなに変わっていなかったんですよね。
ですが、コロナ禍によって、「人に会ってはいけない」「接触してはいけない」という状況になって、ツールはもとからあったけれども、働き方は本質からガラッと変わりました。
僕は2017年、厳密に言えばもっと前からオンラインのツールを使って仕事をしていましたが、働き方がかなりかわりました。
いままで、研修や講演といえば、現地に行くのが当然でした。様々な拠点をつないで行うセミナーや講演、研修は、よほど進んでいる会社以外は、ほとんどありませんでした。
ですが、いまはこういったことが当たり前にできるし、実際にやっていることを考えると、ツールはもともとあったけど、「人の意識や行動形態が変わることによって、DXが起こる」ということも起きうるわけです。
そう考えてみると、単にデジタルを入れることがDXではない、とは一概には言えず、人が、デジタル化にどんな目的意識を持って変革していくか? 人の意識を変えていくか? そういったことの方が、DXでは重要なんじゃないかな? と僕は思っています。
デジタルツールによって、働き方が大きく変わりました。在宅勤務もそうだし、そこに行かなくてもミーティングがすぐできるようになった。講演ですら、そこに行かなくてもできるようになったし、参加することができるようになった。
これは、そもそもの部分が変わっています。これも、DXだと思います。
今日は、DXについてお話をしました。DXの本質は、単に、デジタルと置き換えることではありません。ですが、デジタルのツールがあることによって、働き方の変化が生じることも実際にはあるので、これもDXの一部なのかもしれませんね。
というより、最もやりやすいことがあるとすれば、いきなり、奇抜なことをするよりも、まずはデジタル化の部分から始めて、そして「そもそも」の部分を変えていく。それが、やりやすいやり方なのかもしれないですね。
今後は、具体的な事例みたいな話もしてみようかなと思います。では、今日の話はこれで終わりにします。
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