#486 モチベーション研修は有効か「ベテラン世代のキャリア」
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
音声はこちらです。
いまですね、ベテラン世代のキャリアについてあれこれお話ししています。その背景としては「年齢にかかわらず、長く活躍できたらいいよね」っていうのもあるんですけど、コトの発端は、研修会社の方と話していた時に「ベテラン世代のキャリアには、いろいろ問題があるんですよ」という話をうかがったのが発端です。
ベテラン世代のキャリアとして、どうやら「モチベーションを上げさせる研修」があって、そうした依頼が結構多い……と。その話をうかがったとき「そもそも、モチベーションを上げる研修って嫌だよね?」っていう(笑)
そんな話から「じゃあ、どうすればいいのかな?」っていう課題認識があります。
というわけで、今日は、世代にかかわらずだと思いますが「モチベーション研修は有効か?」というお話をしてみたいと思います。
もしも、「モチベーション研修に参加せよ」と言われたら……
繰り返しになりますが、そもそも論として、もしも「モチベーション研修があるから行って来い」と言われたら、僕だったら「ちょっとイヤだな」って思うなぁ。
なぜならば、「モチベーション研修があるから行って来い」と言われたら、言い方変えると、それは暗に「あなたはモチベーションがないので、モチベーション研修に行ってきなさい」って言われてるような感じがするからですよね。
これ、年齢に関わらずそうだと思います。
実際には、モチベーションが上がらない人もいる
ですが、モチベーションが上がらない人も、事実として多くいるんじゃないかなとは思います。僕もベテラン世代のひとりですが、ある程度経験を重ねてきて、中には「もういいかな」と思っている人もいるかもしれない。そういう人にとって「あなたはモチベーションがないので……」って言われたところで、それはどうにも「しようがない」かもしれなくて……といったら、元も子もないかもしれません。
ただ、実際問題、そういう人もいるだろうなとは思います。そういう人にとっては、「モチベーションを上げろ」といわれても、ちょっと難しい問題かもしれないです。
※テキストのみ:この場合の対処としては、会社が(正確には、マネジメント層が)期待すること(やるべきこと)を提示して、それに見合った成果を出しているか、いないかで「今後、どうするか」を、本人に決めてもらうしかないのでしょうね。慈善事業じゃないから。会社は。
何かしらの手立てが必要なところ
一方で、何かしらの手立てが必要なのは、「本当は、何かをやった方がいい」「本当は変わりたい 」と思っているタイプの方々ではないかと思います。
というのも、僕の周辺を当事者として見回してみると、社内外に問わず「いままでの経験を役立てたい」と思っている方や、「後輩のために伝えたいことがある」とか、そういうふうにおっしゃる方は結構います。
このように、「本当は何かをしたい」「本当は変わりたい」と思っている方には、何かしらの手立てが必要なのではないかと思います。
そういう意味では、ベテラン世代のキャリアを考えるときには、まずはその人が「どういう状況なのか?」を、よく聞いて差し上げる必要はあるかもしれないですよね。
おそらく、人によって状況は相当違うんじゃないかなと思います。まず、一人ひとりの状況をよく聞いて差し上げて、「本当に支援が必要な人」に、支援することが有効なんじゃないか? という気がします。
なので、まるっと「お前ら、モチベーションがないんだからモチベーションを上げろ」ではなく、いろいろヒアリングをして、その結果として必要なことを支援していくのが有効なんじゃないかな、と、個人的には思います。
それでも、総じて「必要なこと」があるとしたら……
必要なこととは、人それぞれ違うかもしれませんが、総じて言えることがあるとするならば、次のステップに行くためには「自分の強み」とか、「キャリアの棚卸し」といったことなら、ベテラン世代に対する支援の共通事項として、あっていいんじゃないか? という気はします。現状を把握するという意味でも。
これは、モチベーション研修ではありません。自身の棚卸です。研修をするなら、このような「目的」は明確にした方がいいんじゃないかなと思います。
目的を明確にしつつ、あとは……なんていうのかな? できれば、前向きな言葉遣いをしたいなと思うんですよね。
「モチベーションがないから上げろ」ではなく、「未来をどう設計するか?」 みたいな話とか、「自分を社内外でどう生かすか?」という観点とか。
その目的を、未来ベースにするといいんじゃないかと思います。
僕自身も50 代の当事者として、もし自分が参加者だったとしたら、「〇〇が得られそうだな」みたいなことが明確にうたわれていたら、「ちょっと参加してみようかな」と思うかな。
そういう意味では、研修を企画するなら、「モチベーションがない。だからモチベーション研修」ではなく、「受講される方がどんな課題感を持っていて」「どんなことに困っているのか」といったことを知る必要があるでしょうね。
それが難しければ、その年代の方々の課題や困りごとを具体的に想像する必要はあると思います。困りごとを解決することが、本当に必要なことだと思うから。
それなくして、単に「モチベーション研修」とか、「次の就職先を斡旋」みたいなことを制度化しても、ちょっとツライ状況になっちゃうんじゃないかな、と、僕は思います。
もし僕が、ベテラン世代の方々と関わるご依頼を受けたら「モチベーションを上げる」とかではなく、まずは棚卸しをしたり、それぞれの人たちが、次に「どう役立てられるか?」みたいなことを、みんなで考えていけるような形にできるといいなぁ……と思いました。
というわけで、今日の話は「モチベーション研修は有効か?」という話をしてみました。今日の話はこれで終わりにします。
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