#604 若手の離職防止と自然環境における越境学習
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
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今回は、11月29日から30日にかけて行われたイベント「若手の離職防止と中堅ベテラン世代のキャリア形成に関する越境学習」についてのお話をします。
昨日は中堅ベテラン世代のキャリア形成に関する内容をお伝えしました。
今日は「若手の離職防止」に焦点を当ててお話ししたいと思います。
若手の離職防止とアウトドア専門学校
今回、「若手の離職防止」をテーマについてご登壇いただいたのは、新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、通称i-nacの田辺さんです。
「なぜアウトドア専門学校が離職防止の話を?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。i-nacさんでは、新潟でさまざまな専門学校を経営されているNSGグループの学生さんたちを対象に、クラス単位での人材育成やチーム内での関わり方を指導されています。
i-nacさんの取り組みで特に素晴らしいと感じたのは、一人ひとりの強みや個性を事前にアンケートなどで把握し、その結果をもとに、「どのようにすればその強みを発揮できるのか」を細やかに支援されている点です。この取り組みが非常に独自性が高く、効果を上げているというお話でした。
従来のアウトドア合宿との違い
私自身も、若かりし新入社員の頃にアウトドア合宿のような研修を経験しました。例えば、バンガローに泊まって共同炊飯をしたり、オリエンテーリングをしたりといった内容でしたが、それが実際にどれほど役立ったのかは正直よくわかりません。同じような感想をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一方で、i-nacさんの取り組みは、事前に参加者それぞれの特性や考え方を把握し、それをチーム全体に共有してから活動を進めるという点が特徴的です。例えば、「このチームでは協力を大事にしている」という共通認識を持つことで、参加者が「自分も協力してみよう」と思えるようになる。このような心理的な働きかけが自然と行われるのは非常に効果的だと思います。
チーム活動と共同体験の意義
さらに、料理を作るといった共同作業を通じて、参加者がチーム内で自分の役割を実感する体験ができる点も素晴らしいです。このプログラムでは、共同体験を単なるイベントとして終わらせるのではなく、事前と事後で参加者の変化をしっかりと測定しています。具体的に、どれだけ成長したのかを数値で把握するアプローチは、非常に説得力があります。
このような手法は、企業内でも非常に有効ではないでしょうか。若手だけでなく、様々な世代が一緒に活動することで、組織内の理解や協力関係を深めることができると思います。特に、普段の職場ではお互いに役割を演じたり仮面をかぶったりしていることが多いですが、異なる環境に身を置くことで、その仮面や鎧を外し、素の自分として関わる機会が得られるのではないでしょうか。
終わりに
今回ご紹介したi-nacさんの取り組みは、若手の離職防止だけでなく、組織全体の関係性や成長を促す点で非常に意義深いものでした。企業や組織の中で同じような課題を抱えている方にとっても、参考になるヒントが多いと感じました。
もしこの内容に興味を持たれた方がいらっしゃれば、ぜひ一緒にお話しできればと思います。それでは、今回のお話はこれで終わりにします。