現像-4693

「烽火書房」−(間借り)本屋はじめます

本屋はじめます。間借りで。

店名 烽火書房
場所 But not for me店内(京都府京都市北区平野上八丁柳町30-103)
営業 But not for me営業日時に準じます。

※毎週木曜日13時-19時のみ店頭にいます。それ以外の営業日はオーナーのニワノナオキ(https://twitter.com/BooksMajolie )さんがいらっしゃいます。

But not for meは京都市の北野白梅町にある本と雑貨のお店で、書籍は本棚レンタルのオーナーによるものが並んでいます。

烽火書房(ほうかしょぼう)は、ぼくが本や冊子を「つくる側」として使っている屋号です。そのままその屋号を名乗ります。なので、烽火書房は本の制作と販売をしていくことになります。

*なんではじめるのか?

そもそも販売をしようと思ったのは、知り合いのニワノさんがお店をオープンするということで遊びにいって、ぼくがいま制作中のリトルプレスを置くことができないかという相談をしたのがきっかけでした。本棚を間借りするかたちで制作したリトルプレスを置かせてもらうことになり、せっかくなので他の本も販売しようとなったのがいきさつです。

ぼくはいまひとり出版社をつくって書籍を販売するという目標に向かって、日々活動しています。本の販売や流通の仕組みについて勉強してみたり、ひとり出版社をやっている人たちの話を聞きにいったりもしていますが、書店営業もしたことがないし、実際のところ商業出版のことを知識でしか知らないというのが本当のところです。

だから、もっと本の仕組みを学びたい。そのために、つくる側のその先、本を売る側の仕組みや想いを知りたい、本屋さんをやってみたいとずっと思っていたんです。

いきなり「本屋をオープンします!」というのはとてもハードルが高くて「いつか本屋さんやりたいなあ」程度に思っていたのですが、今回素敵な話をいただき、間借りというかたちで、擬似的にではありますが、本屋さんを始められることになったことはとてもありがたいお話でした。これが実現したのは、クリエイターの夢を後押ししたいというBut not for meのニワノさんの仕組みづくりと想いが、とても力強く洗練されているからに他なりません。

*どんな本屋にしたいのか?

どんな本を販売するか。通常、新刊書を販売するには取次との契約が必要になります。ぼくはもちろん契約していません。たぶん相手にしてもらえません。古本を扱うということも考えましたが、人に買ってもらいたいとおすすめできるような本は自分で手元に持っておきたいという収集心もあってか、いまのところピンときませんでした。

そこでたどり着いたのは、自分が好きな本を版元から直取引で購入するという方法でした。間借りしているだけのちいさな本屋なので、ものすごく大きな版元は難しいでしょう。というわけで、ぼくが扱える本は、直取引する本屋を探してくださっている方たちだけです。これは実はぼくの性にもあってるような気もします。

烽火書房の、烽火ということばは、のろしを意味しています。戦であげるアレです。ぼくはなぜかわかりませんがいつも「負けている」と感じながら、暮らしてきました。被害妄想でしょう。だからか、「反撃ののろし」という熟語はすごく勇気をくれるし、のろしという言葉をそのものが頼もしい友人のように感じます。

なのでもともと好きな言葉ではあったのですが、ふとあるとき、のろしが(使われていた当時はもちろん最速なわけですが、いまとなっては)「ものすごく遅くて、泥臭いけれど、届くべき人に必ず届く」メディアだということに気がつきました。反撃の合図になるような。

その意味を込めた烽火書房の活動はすべて、のろしをあげるためのものです。

のろしというのは遠くに届けるため、途中で繋いでいくこともあるようです。A地点からC地点に届けたいけれど、遠すぎて見えないとき、B地点で中継ののろしをあげるというような。

ぼくは生活のなかで、出会った人、触れて手に取ったものに勇気をもらったり楽しい気持ちにさせられることがたくさんあります。それはぼくにとってのろしです。そして、ぼくと同じように感じるだろう遠くのだれかに届けるため、ぼくは中継ののろしにもなりたいのです。

本をつくったり、なにかメッセージを発信したりすること。出版社をはじめること。文章を書いたり写真を撮ったりすることも、ぼくなりの、のろしです。そして、この小さな小さな間借りの本屋は、もともと抱いていたそんな想いの延長線としてはじめました。

よろしくお願いいたします。