アグロバクテリウムの形質転換

  外来DNAを植物へ導入し遺伝子組換え形質転換体を作製するためには、植物用のシャトルベクターであるBinary vectorにまず遺伝子をクローニングする必要があります。pGW501などのgateway クローニングを行える植物用ベクターが扱いやすいでしょう (Nakagawa et al, 2009)。それをRhizobium radiobacter (旧名: Agrobacterium tumefaciens (Agrobacterium)), C58, EHA105, LBA4404株などへの遺伝子導入し、その菌を植物へ感染させることによって、植物の形質転換体が得られます。

Nakagawa, T. et al., (2009) Plant Biotechnol. 26: 275-284.

エレクトロポレーション用コンピテントセルの作製(操作は氷上で行う)

<コンピテントセルの作製>

1.  5mLのO.N.菌培養液を250 mL YEBに移植し(50倍希釈し)、28℃で5~6時間培養。

各株の培養には以下の抗生物質*を入れておく。
C58C1株は、Rifampicin
GV3101は、Rifampicin/Gentamicin
EH105株、C58 (At11)株は、Rifampicin
LBA4404株は、Rifampicin/Streptomycin

2.  OD600 = 0.15~0.20で集菌
 4℃、10,000 x g以下(5000 rpm, 4000 x gくらいがよい)10~15分

3. あらかじめ氷冷しておいた1 mM HEPES-KOH (pH 7.0) で洗浄。上記遠心を2-3回繰り返す。

4. 氷冷しておいた10% グリセロール20 mLで洗浄。

5. 遠心集菌し、2.5 mLの10%グリセロールに縣濁。

6. 滅菌チューブに分注し、液体窒素で凍結、-70℃で保存する。


<アグロバクテリウムへの形質転換>


1. 氷上で細胞を溶かす。

2. 40 μLのセルに1-5 μLのDNA溶液(100 ng~1 μg)を混合(塩濃度が高いと危険!)

3. エレクトロポレーション(Bio-Rad Gene-pluser)
 0.2 cm キュベット
 2.5 kV
 25 μF
 200 Ω
 およそ、4 mSecあたりのTime constanceが表示される。

4. すばやく800 μL YEBを加える。

5. 28℃で1~2時間培養。

6. 適切な抗生物質を含むYEBプレートに広げる(LBでも可)

7.  28℃で2~3日間培養

* アグロバクテリウムは冷蔵庫ではすぐに死んじゃうので、グリセロールストックはすぐに作った方がいいでしょう。

<補足>

アグロバクテリウムは試験管で振ると増殖が悪いことがあるので、フラスコで振る方がいいです。
凍結保存したアグロバクテリウムを殖やす場合には通常2-3日かかります。
通常のプレートでの培養も24時間ではあまりコロニーは見られず、コロニーが出てくるのに1.5〜2日(場合によっては3日)はかかります。

アグロバクテリウムの抗生物質耐性については、以下のサイトなどが参考になります。基本的にはRif/Strepには全て耐性のようです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?