植物ゲノムDNA簡易調製法

 遺伝子の多型を調べるにしてもクローニングするにしても、植物材料からDNAあるいはRNAを単離する必要があります。最近、優秀なキットがたくさん出ているのでわざわざマニュアルで単離する必要もないかと思いますが、数百bpのDNA断片をPCRで増やして多型解析をしたい、2-3 kb以下のDNA断片をPCRで増やしたいといったニーズにあった安価で容易な植物DNA簡易調製法を紹介します。これまでに、シロイヌナズナ、タバコ、トマトの幼葉で試しましたが、いづれの材料でもPCR増幅には十分のDNAが得られました。

1. 乳鉢で葉をすりつぶす。
     冷凍後、あるいは液体窒素で凍結後の方がうまく破砕できるが、フレッシュの葉でもPCRには十分の品質のDNAが単離できます。少量で十分なので、エッペンドルフチューブの中でビーズやドリルで潰しても構いません。

2. DNA extraction バッファー 450 μLとクロロフォルム 50 μLを加える。

3. よく混合する。vortex 5 min

4. 遠心して上清を回収。

5. イソプロパノール 500 μLを加えて、よく混合し、12,000 x g 遠心。

6. 沈殿をEtOHでリンスして、TE 150〜500 μLに溶かす。

7. 遠心して上清を実験に用いる。

*DNA extraction buffer
     200 mM Tris-HCl pH 7.5
     250 mM NaCl
     25 mM EDTA
     0.5 % SDS

* イソプロパノール沈殿した後に、一度TEに溶かして、EtOH沈した方がきれいなDNAが単離できます。

* 最終産物のDNAは遠心して上清を使用した方がPCRの効率が良いようです。

* この方法は数百 bp〜2 kb程度のDNA断片をPCRで増幅する場合には問題はありませんが、この方法で単離したゲノムDNAは質がよくないので、制限酵素で切断する、長いDNA断片を増幅するという目的には向いていません。

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