やはり「ヒトとしてどうよ?!」がサラリーマンでも必要なのだ。

『では、いったいなぜ「世界一マジメで勤勉」なんて評されることの多い日本のサラリーマンたちが、小学生でも善悪の区別がつくようなセコい悪事に手を染めてしまうのか。「それは、彼らがマジメなサラリーマンだからでしょうね。日本社会は個人の良心が独立しにくいので、組織に属するサラリーマンは会社の売り上げを上げるためなら、とにかくその場しのぎのうそや不正に走ってしまう。私はこれを『今だけ、カネだけ、自分の会社だけ』と呼んでいます。そのような意味では昨今の企業不祥事は、“サラリーマン犯罪”と言ってもいい」~「昔の経済事件は一言で言うと、私利私欲追求型。私の当時のクライアントを振り返っても、ダイエーの中内(功)さんはちょっと違いますが、ホテルニュージャパンの横井(英樹)さん、イトマンの河村(良彦)さん、第一不動産の佐藤(行雄)さん、秀和の小林(茂)さん、武富士の武井(保雄)さん、イ・アイ・イの高橋(治則)さん、などみな自分の欲望に忠実な経営者が多かった印象です」そして、このような「私利私欲型不正」がかつてより減少したことで、日本企業の「セコい不正」ばかりが悪目立ちして、増えているように感じるのではないか、と分析しているのだ。「実は昭和の時代も、検査データを改ざんするとか、消費者をカモにする企業の不正はありましたが、私利私欲で巨額のカネが動く大型経済事件が続いていたので、目立つことはありませんでした。バブルが崩壊して、経営者があまりに強欲であることは下品であって、株主様や世間様に胸を張って説明できる経営をすべき、となったことで大型経済事件が急速に減少した。そこで入れ替わるように、昔からあった”サラリーマン犯罪”に注目が集まるようになったのではないでしょうか」そのような話を聞くと、最近の企業不祥事に対して、やや同情的に見てしまう方も多いかもしれない。やりたくない仕事でも文句を言わずにやる。「こりゃどう考えてもアウトだろ」ということでも会社の決定には黙って従う、というのが世界に誇るジャパニーズサラリーマンの矜持だからだ。ただ、そのようなメンタリティこそが、最近の企業不祥事を増加させている要因だと河合氏は指摘する。「私利私欲型の不正は、その欲深い個人をどうにかすれば解決できますが、サラリーマン犯罪は“会社のため”という大義名分があるので同じような不正に手を染める者が次々と現れて、より組織的、より巧妙な手口となって最終的には犯罪集団のようになってしまう。その典型的なケースが東京電力です」実は河合氏は、東京電力のことをよく知っている。東日本大震災が起きるはるか以前から「反原発」を掲げて、原発停止を求める集団訴訟に主体的に関わっているからだ。「私が原発訴訟に関わり始めた25年前の東電は、資源小国の日本で『安心・安全』が売り文句の原発を推進するのは当然だ、と奢(おご)りに奢っていました。地域独占、総括原価方式でもうけ、巨大な発注をするので、各地の営業所長は“殿様”のようにチヤホヤされていましたし、経営陣も文化や芸術に造詣の深い教養人が多かった。いかにコストを減らし、いかに利益を上げるかという、経営者の二大努力をしなくてもよかったので、教養を磨く余裕があったのです」そのようなエリートサラリーマンたちの「奢り」が、福島第一原発事故という「人災」を招いたのは周知の事実だ。政府の地震調査研究推進本部の長期評価に基づき、最大15.7メートルの津波が襲う可能性があるという試算が3年前に社内で行われていたにもかかわらず、それを握りつぶして、対策を先送りし、その先送り期間中にあの事故は発生してしまったのだ。この不正のトリガーになったのが、「今だけ、カネだけ、自分の会社だけ」というサラリーマンならではの保身であることは疑いようがない。~日本企業の「セコい不正」がいつまで経ってもなくならないのは、本物の「第三者委員会」が普及していないからなのかもしれない。』

最近は「第三者委員会」なる「言葉」は普及してきたが、まったく利害関係の無いホンモノの「第三者委員会」がなかなか作られないのは、この記事での指摘の通り『より巧妙な手口となって最終的には犯罪集団』となるまで明るみに出ないからだ。まったく利害関係の無いモノ達が「巧妙な手口の犯罪集団」の不正を公正に判断するには相当な調査と業態や業界の深い知識が必要だからだ。特殊詐欺集団にプロの捜査員でさえ手を焼いているのだから、即席の「第三者委員会」が不正の本質にたどり着くのはほぼ無理だろう。では、どうすればよいのか?やはり「ヒトとしてどうよ?!」がサラリーマンでも必要なのだ。

なぜ日本企業は「セコい不正」をやらかすのか
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1908/27/news052.html

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