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秋田港発、関西8日間・旅日記(兵庫県後編)

4日目 姫路城の巻

 異人館と夕焼けを背に車を徐行し急勾配の坂道を下りました。
手を繋いだ若いカップルが秋田ナンバーを見ながら、二人揃って顔を見合わせ微笑んでいます。関西では東北出身者が珍しいと聞きますが、わかり易い仕草でした。

 4日目。ホテルを7時過ぎに出発し姫路城へ向かいました。神戸市中心を離れると、殆ど真っ平らな道が続きます。
 見知らぬ街の高速道路の看板は面白く、淡路島、香川、岡山などよく聞きますが初めて見る文字にすら、新鮮な気持ちになれます。ホテルマンから須磨区付近が交通渋滞があると聞きました。前を走る神戸ナンバーを徐行運転しながら眺め、長年行きたかった姫路城へ向かいます。 

 姫路城の名前を初めて聞いたのは11歳の頃でした。当時は祖父がテレビ時代劇の水戸黄門を楽しんでいて、私は父に姫路城のプラモデルを購入してもらい、祖父の傍で造っていました。別名、白鷺城とも教えてもらい遠い将来、父に連れて行ってもらう様な話を覚えています。

 松本城、江戸城、熊本城など色々と造りましたが姫路城が印象深く残っています。旅行前に部屋の大掃除をしている時に、当時造ったジグソーパズルが出て来ました。紫外線で色褪せていてる様に懐かしさを感じますね。

姫路城パズル       
 姫路市内は地方を漂わせ、城の看板は見えるのですが現れません。街の風景にゆっくり現れた姫路城を見た途端、安堵感を感じそのまま帰りたい気持ちになりました。長年描いてきた目的を果たす瞬間は好みません。手放す意味合いも含まれますからね。

 駐車場から城を反時計回りにゆるやかなスロープを上り正門へ向かいました。正門には本日の案内を依頼していた、シルバー人材センターの小嶋さんが、赤いスーツに白いパンツに山高帽の姿で、にこやかに出迎えてくれました。     

 姫路市は冬晴れの快晴。真っ白く塗られた城は青々とした冬空にとても映えとても眩しいです。姫路城下は敵に城内に入られない様にする為、螺旋式になっています。案内人をお願いせず一人で見ていたら、あらゆる仕掛けには全く気が付きません。

姫路城2

 小嶋さんは人材センターに入り3年目で生まれも育ちも姫路市で、城の周辺で育ち暮らして来たそうです。城の歴史背景を知ったのは人材センターに入ってからで、子供の頃から改修がとても多く、現在のような姿は二十歳前になってからと伺いました。姫路訛りで話す会話には旅行に来た感覚がとても楽しく、もっと地域の人たちと触れてみたくなります。

 場内に入ると覚悟していた梯子のような急な階段が現れてきます。小嶋さんは丁寧に案内をされますが、登ることが必至で耳に入って来ませんでした。と言うよりも場内見ていてもは楽しくは感じません。姫路城の大天守は地下1階、地上6階という造りになっています。時間の兼ね合いもあり私の脚力では4階までが限界でした。

姫路城案内

 25年前に初めて富士山を見ました。遠くから眺める富士はとても美しく、驚きと興奮をとても強く感じました。しかし、車で五合目まで登りましたが、美しくも楽しくも感じません。それから何度も行きましたが登りたい気持ちは起きませんでした。姫路城も同様で外から美しい造形美を眺めるほうが、ときめきます。

 姫路城を後にして車で何度か城を周り、名残惜しさを感じながらも、姫路市、ご当地グルメの姫路おでんを昼食としました。昼は定食屋、夜は居酒屋で威勢の良い腕っぷしの強そうな、叔母さんが対応してくれました。周りのビジネスマンの関西弁を横で聞きながら、しょうが醤油をたっぷり掛けた大根や赤こんにゃくを頬張ります。

姫路おでん

 今回も疲れましたね。丸一日時間を作って正解です。ホテルに向かう途中、神戸旧居留地にある建物を車中から眺めました。高級店が並ぶ地域で銀座を思い出します。ホテルのラウンジでゆっくり休みながら、夕食は3日連続のルームサービスです。

 旅行の半分を過ぎましたが、長年願っていた事がやっと実現できた安堵感が強く沸いて来ました。日ごろから時間がない事にかまけながら生活をし、大切な出来事を置き去りにしている気がしたラウンジでの休憩時間でした。

【5日目 奈良編前半へつづく】

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