自治体議員の情報発信について

ツイッターなどのSNSをやっている議員の皆さんにぜひ考えていただきたいのは、地域の住民から見て「こういう情報を知らせてくれると助かる」というような情報を伝えることができているか、ということです。

どんなときに、どの機関や部門がどのくらい当てになるのか、いざ困ったことが出てくると、なかなか見当がつかないものです。

介護や介助の問題にしても、寝たきりに近い状態であれば役所や介護事業者を頼るべき案件であることがわかりやすいので、ある意味話は早いのですが、「歩けてはいるけど身の回りの動作が大変そうで最近お風呂に入れていないようだ」というぐらいだと、まずどこに相談したらいいか即答できる住民は少ないのではないでしょうか。

どの自治体も担当部署を作ったり支援メニューを作ったりということはやっているのですが、各住民が「こんなときどうすれば」と思ったときに、すぐに「あそこに行けばいいんだ」という心当たりができるような状態までには持っていけていません。

今までそういう情報は、親族や近所や保護者の集まりや友人や職場の口コミで伝えられていたのだと思いますが、今はそのような場所でも、生活の相談事ができる機会は少なくなっています。

それに、「家賃が払えなくなって追い出されるかもしれない」「いじめや嫌がらせ、恐喝や暴力に対して学校や教育委員会がまともに対応してくれない」「校則や生徒指導が理不尽だ」「奨学金の取り立てがきつい」「医者に行くお金がない」「出産や葬儀の費用がない」「公園が使いにくい」「保育園の立地が偏りすぎ」「道路が危険」「家族が働いている職場がブラックすぎる」「あの子虐待されてないか心配」「あそこの建物や塀は地震のとき大丈夫なのか」などなどといったさまざまな困ったことに適切な対応をするためには、地域の情勢や行政のことをよく分かっている必要があります。

そこで伝達役や橋渡し役になれるのが議員なのではないでしょうか。

そういうことは役所がもっと頑張ればいいんじゃないかと思うかもしれませんが、役所がリーチできる層と議員からの発信でリーチできる層は同じではありません。ツイッターひとつを例にとっても、市役所のアカウントのツイートは見逃したけど、議員のツイートは見たという人がいたりします。

それに、役所の立場で言えること(発信できる情報)と、議員の立場で言えること(発信できる情報)の中身も同じではありません。そして住民が困り事を解決するためには、前者だけでなく後者の情報も必要なのです。

何より、有益な情報を伝えてくれる存在が複数いるというのは、住民にとって決して悪いことではありません。

だから、議員の皆さんには、「こういうことで困っていたらこの部署が相談窓口になります」とか、「私たちの事務所や議員団はこのような相談を受け付けています。今まで相談を受けたケースではこんなふうに対処しました。」というような情報を、地域の住人の日常生活に直接噛み合うレベルで、細やかに、多様に、定期的に、積極的に伝えてほしいのです。

議員のそうした情報発信を見て、自分も伝達役や繋ぎ役になろうとする市民が出てくる好循環が生まれます。そうしないとどうにもならないところまで来ているのではないでしょうか。

良いな!と思ったらご支援いただけるとさらに気合いがはいるかもしれません。