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コピーのススメ

とあるSNS内の某ギターコミュに入っていますが、そこで以前とあるトピが若干炎上していました。そのトピは要約すると「完全コピーのギタリストの音ははどんなに完璧にできても聴くに耐えない。それなら原曲を聴けば良い。下手でもオリジナルで!」みたいなトピで、賛否が炎上していました。最終的にはトピ主が「ディスりたければディスれ!」みたいな姿勢の発言をしたのが火を点けたのもありましたが。

完コピ(完全コピー)というのは、誰かの演奏をそれと全く同じように演奏することで、マニアだと機材、音色からライブバージョンのミスまでコピーする人もいる。

まず大前提として、どんな音楽(音楽じゃなくても)であれ人が真剣にやっていることをバカにしてはいけませんね。そこを踏まえた上で・・・僕もオリジナル派で生きてきました。

もちろんギターを始めた中学生の頃はコピーから始めたし、高校で最初に組んだバンドは当然コピーバンドでした。だけど、完璧なコピーはできたことがありませんね。基本、細かい練習があまり好きじゃないというのもありますが。

で、弾けるまでストイックに練習するのも性に合わないし、コピーバンドしててもやはり満足じゃなかった。だって、彼らになれる訳じゃないので。当時聖飢魔IIがかなり好きでしたが、そりゃもちろんメンバーにしてくれるなら頑張って既存の曲を練習するけど。

プロになりたいと思っていた僕は、真似してても彼ら以上には絶対なれないと思ったわけです。どんな世界でも同じかな。憧れは、永遠に憧れ。それはそれで別としてあってもいいんだけど。そこを越えて行きたいわけです。

で、高校2年にくらいの頃1曲オリジナルを書いた。まぁかなりダサいですがね。どう考えても聖飢魔IIみたいな曲。

さらに遡ると、実は小学6年くらいで作詞作曲しましたね1曲。楽器できないからアカペラで、カセットテープに吹き込んだ。18歳でステージに上がるんだ!みたいな歌。サビとか覚えてるけど、これは墓場まで持っていく!

とにかくそれぐらい、オリジナルにこだわってきました。音楽だけじゃなく、写真を撮るにしても、なるべく皆が撮ってる場所、同じ構図では撮りたくない。人と同じことを同じようにできるということにさほど興味がないのです。もっというと、人と同じ機材を使うことはありますが「〇〇モデル」の楽器を使ったりとかも避けています。プレイや曲が誰かに似ていると言われないようにしています。

誤解を恐れずに言うと・・・

「音楽やってます」と一言で言ってもいろいろありますよね。バンドを組んで、あるいは弾き語りでライブをする人、自宅で演奏しているだけで満足な人、好きなアーティストの真似を完全にやりたい人・・・。プロであっても活動内容は非常に多岐に渡りますが、全ての音楽に関わる活動の中で、「オリジナル曲を作る」と言うことが頂点であり究極だと思っています。これはどんなアマチュアでも、クオリティの低いものでもです。「産み出す」と言うことはとても尊いものだと思っています。ライブハウスでも、お客さん3人ぐらいしかいないバンドでも、オリジナルであればその意気込みを評価したいなと思えます。

高校を卒業してすぐにオリジナル曲をガンガン作るようになりました。ちょっと開眼した時期があって、スラスラ書けた。毎日のように。何せプロになりたいんだから、オリジナルで勝負しなきゃと思ってました。まぁ大した曲じゃないけど、初心者なりにたくさん書きました。最初だから、基本的なコード進行だけでもメロや歌詞のアイデアがたくさん浮かびました。すぐにフルオリジナルで1時間のライブをしたかな。実は当時の曲で最近でも演奏する曲もあります。

そこからはほとんどコピーはしてないですね。遊びでスタジオ入るんで誰かの曲をさらうとか、イントロだけ弾いてみるとか、その程度はあるけど。中学時代から今までコピーした曲なんてすぐに全部挙がるくらい少ないし、ギターソロまできちんとコピーできた曲なんて、片手で足ります。

で、そんな人生だった僕が今思う。コピーは大事!
たとえオリジナル志向でもやらないよりはやった方が絶対良いです。「偏らないように」と言う条件付きで。ギター演奏でいうと引き出しが増えるし、作曲の観点からもいろんなジャンルの曲を知っているのと知らないのでは絶対違う。これは当たり前なんですが。

子供に「自分で想像して考えた新しい動物の絵を描いて」というと、例えば頭がライオンで体がキリンとか、知っている動物の組み合わせでしか描けないそうです。見たことないものは描けない。それと似ていて、自分の引き出しにない、聴いたことのない音楽の断片が突然自分から湧き出すことはまずないですね。だからたくさん知っている方が良い。

それにオリジナルを早くからやると、自分のできる範囲でしかやらなくなる可能性が高いです。自分がそうです。自分のできる範囲で演奏が完結できますから。技術を向上したいなら、コピーもバランス良くやるのが良いのかなと思います。

冒頭に書いたSNSでの炎上ですが、完コピついてもそれが楽しいならやれば良いと思う。楽しみ方は千差万別です。どうしても本人に成り切りたい人だっているし、技術は身につきますからね。それができる人は少なくとも僕より数段ギターテクニックはありますから。

その代わり、憧れているアーティストのコピーばかりしている人が「オリジナル作ってみました」的な曲を聴くことがありますが、それは正直、その焼き直しの域を出ない物が多いのも確かですね。僕が高校時代に初めて作った曲がまるで聖飢魔IIのようだったのは、そのためです。オリジナルをやりたいなら、コピーも偏りなくやる方が良い気がします。

僕は幸いギタースタイルにしても曲作りのスタイルにしても、誰かに似ていると言われることはほとんどなく、言われたとしても外れています。これは、あまりハマりすぎないことが功を奏しているんだと思っています。

それでもやっぱり、ある程度コピーはやることをお勧めします!

そして、どうせコピーをするなら、その曲の構造や、なぜこのフレーズになっているのか、どんなコードに対してこのフレーズなのかを分析しながらやるとオリジナル曲を作る際、あるいはオリジナルバンドでギターやベースを弾くのに大いに活かせます。これはまた、書きたいと思います。

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