謙虚さと諫言

「100分de名著 貞観政要」
「座右の書 貞観政要」の要約

優れたリーダーシップは、
①謙虚さをもって、部下の諫言を受け入れる
②意思決定能力
③チームの力を最大限引き出す
④持続可能な組織の構築
ができるかどうかによる。

①「謙虚」であり続けるには、どうすればよいのか。
それは、
(1)ハンディキャップを持つこと
(2)あきらめを持つこと
である。

次に、
「諫言」とは、上に立つ者の過失を遠慮なく指摘して忠告することである。
「貞観政要」においては、「諫言」の役割を担っていたのは「魏徴」。

諫言を受け入れるとは、相性や好き嫌いに関わらず、耳の痛いことに耳を傾けて、それを正面から受け入れられることである。

諫言を受け入れるには、自分の器を空っぽにして、新しい価値観を受け入れられる体制を絶えずつくることが必要である。

②正しい意思決定をするうえで必要な心構えは「三鏡」に集約される。


(1)「銅の鏡」→部下からどう見えているか常にチェックする。
(2)「歴史の鏡」→過去に学ぶ。
(3)「人の鏡」→人の直言を率直に受け入れる。


③チーム力を鍛えるうえで重要なことは、「フォロワーシップ」である。

部下のフォロワーシップを引き出すためには、
まず、自身の胸襟を開いて、部下に協力を求めることが必要である。
信頼されると部下は能力を発揮するものである。

加えて、適材適所に人を配置した後は、どっしり構えて全体を見守ることが重要である。


④強い組織とは、構成要員が思ったことを率直にいえる状態にあること。

魏徴による、有終の美を飾れなくなる10の理由は、
(1)収集欲の追求、(2)人民の酷使、(3)大規模建築物の建築欲求
(4)イエスマンを周りに置く、(5)商工業を重視し、農業を軽んじる、
(6)好き嫌い人事、(7)節操を欠く、(8)横柄な態度、
(9)威張り、傲慢、(10)天災、謀反への備え不足
が挙げられる。

部下が上記のようなことを言えて、上司がそれを率直に受け入れて、適切に対処する。
そのような組織であれば持続性の高い強い組織であるといえる。

また、創業期と守成期におけるリーダーの役割を理解し、
柔軟に変容できることも重要な要素である。

※部下が上司に諫言する際のテクニック
①故事や一般常識など共通テクストから総論で合意形成をはかる。
②現在にその合意形成を転換し、類似性を訴求する。
③その上で、諫言する(上司は①で合意した手前反対しにくい。)
→部下として還元するには、インプットの絶対量が必要である。
※伝わりやすいメッセージ
論理と比喩をうまく使い分けること。
論理は、理性に訴えかけられる。
比喩は、感情に訴えかけられる。