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リマスター作品『メタルウルフカオス XD』は、オリジナル版の爽快感を的確に打ち消した意欲作だった

現行移植版である『メタルウルフカオス XD』を起動して数ステージ遊んだのち、自分のとった行動は初代XBOXにてオリジナル版『メタルウルフカオス』のクオリティの確認を行う事だった。勿論これはポジティブな意味ではない。

本リマスター版は有体に言えば「劣化移植」の言葉が当てはまる。

分かり易い例だと360/PS3時代のパッチ充てられる前の『ANUBIS HD』的な雑仕事と言えば伝わるだろうか、或いは『レイストームHD』。オリジナル版を知らなければ無難に凡作未満として遊べるがオリジナル版を踏まえたら赤点もののクオリティのそれだ。尤も本作の場合fps方面ではなくグラフィックとサウンドと動画ソース側なので余計始末に負えないのだが。

今回、なぜこんな記事を書こうと思ったのかというと本作『メタルウルフカオスXD』が原因でオリジナルの『メタルウルフカオス』もその程度の作品だと風評被害に等しい勘違いをされるかもしれない可能性に恐怖を覚えたからだ。(今まで良作を出し続けてたデボルバーデジタルからここ一番のところで騙して悪いがされた事に対する憤慨もあるのだが)

暫くして「あーなんか最近何時の間にか発売されてたやつね、出来損ないの地球防衛軍みたいなの」といったような風評が固着する前に本移植版がオリジナル版とは全然違うヴァルケソったケースであることを伝えたかったのだ。

(感想検索してみると現在進行形で「時代を感じる」や「こんなもんなのか」的な感想も散見し恐らくは時間の問題だと思われる。或いはこんなのがリリースされた時点で既に手遅れなのかもしれないが)

ほんとに修正してくれるのか不安なライティングエフェクト周り

現状問題視されて改善が告知されているのはサウンド周りだが、個人的に遥かに深刻だと感じたのがこの描画周りの大劣化部分だ。

先日、本作の移植をやらかした開発会社に改善の意思の有無を聞いたところ一応修正予定との言質は取ったが、結局のところ本作に何が起きてしまったのか改めてこの場で書いておきたかった。

『メタルウルフカオスXD』のスクリーンショットがどことなく殺風景に見えるのは、2世代前のゲームだからでもモデルデータ等の素材関係が当時のままだからでもない。いちばん重要な要素である筈のエフェクト周りがオリジナル版から絶望的に劣化している事が一番の原因だ。

具体的にはライティング関係のエフェクトはオリジナル版から悉く劣化無いしオミットされている。ハッキリ言って『メタルウルフカオスXD』の画面は暗すぎるのだ。

この違いが一番分かり易いのがサンフランシスコとラスベガス面だろう。どちらも夜の街を過剰に照明が光輝いており違いが分かりやすい。破壊表現として光の飛沫が流れ落ちる中、悠々と走り回り飛び回り撃ちまくる光景は『メタルウルフカオス』を楽しく遊ぶ上で重要な要素だったのだ。

だが『メタルウルフカオスXD』にはこの楽しさは存在しない。この弱体化したエフェクトに加え、サウンドバグ(こちらは修正予定とは言え)も実装していた事も相まって丁寧に爽快感だけを取り除くようにリマスター処理した手腕には只々舌を巻くしかなかった。オリジナル版は看板類を破壊し続けるだけでも気持ちよかった部分も大きな魅力のひとつだったのだ。

そして最終決戦直前のラスベガスでの副大統領との決闘でこの不具合が更に深刻なものとなる。

というのもこのステージ、ギミックとして煌びやかなカジノマシーンや看板類が配置されており、銃撃戦の折に派手に破壊されることで激戦の盛り上がりが演出されるからだ。

眩しい位の照明の中飛び散るチップ、そのやりすぎな程の派手さが状況の盛り上げに一役買っていた。その迫力が『メタルウルフカオスXD』には存在しない。そこにあるのは閑散とした廃墟同然な賭博施設での鬼ごっこめいた何かだ。

サウンド周りの不具合は明らかだから言い逃れ出来ず修正不可避だが、映像方向はオリジナル版を知ってる人間が少ない事もありまず指摘されることが無かっただろう。

移植会社に問い質したところ光表現に関しても後日修正されるとの事だが、そもそもの話としてこの表現の欠落は開発段階で明らかに気付くレベルの不具合だし、修正程度で何とかなる範囲だったら発売日時点でちゃんとした表現として発売するべきだ。特に発売日時点で最終的なレビューが確定しがちな昨今の批評事情を鑑みれば猶更だ。

『メタルウルフカオス』の魅力とは過剰を通り越した破壊表現を楽しむ一点に集約されていると言っても過言でない作品であり、その破壊表現には先に挙げたようなライティングエフェクトの存在は欠かせなかった。それを今回移植に際して省いてしまってるのだ。

ムービー部分

先ず冒頭からおかしい。

餌食となる航空輸送機のカメラワークがガックガクで嫌な予感が脳裏をよぎり、鉛弾のチケットを大量に浴びせかけるシーンの弾幕表現の勢いのなさで予感が当たってしまうことに落胆する。

おまけにHD化したおかげでオリジナル版では隠せてた表現の省略部分、例えばビルに腕を突き刺し落下速度を緩和するシーンでの破壊表現は割と省略されてたが当時の版では解像度と影で誤魔化し切ることが出来てたそれ、が詳らかになってしまっているし、要所要所で動きがガックガクなので勢いが消えてしまってるOPとなっている。

珍しくフロムマジックの存在しないOPなのに移植に際してこの出来は酷いと言う他ない。

カットシーンについても仕上がりが酷い。ここでは特に中盤に流れる「副大統領 vs 大統領」の映像について触れたい。(効果音の調整ミスというかオリジナル版で鳴っていたサウンドがオミットされているのはもう作品全体の問題なので省略する。)

特に酷いのがグラフィック面の扱い方だ。まずアクションシーンひとつひとつがぎこちなくなっており、カメラワークに妙なブレが追加されている。オリジナル版は解像度や過剰なエフェクト表現で見辛くなっていた(そのぶん勢いとして楽しめてた)のだが、本リマスター版のムービーは全体的に気持ち悪くなる方向で見辛く仕上がっているのだ。

そして何より許せないのはヘリコプターの回転翼部分がスロー回転かつ羽が分身してるように見えてしまってる部分だ。オリジナル版ではしっかりと高速回転してるように見せられてたヘリのローター表現が出来の悪いCGになってしまってるのだ副大統領専用のお立ち台として文字通り縁の下の力持ちとして活躍してるのになぜこの仕上がりでGOサインを出したのか。

サウンド周り

サウンド周りの音量ミスは公式が修正する旨告知しているので、発売日時点で発生している問題をひとまず羅列することにする。

まず音が小さい、全体的に小さい。

本来の『メタルウルフカオス』のサウンドづくりはイカしたBGMにイカれたセリフ回しの中、撃ってる事が分かる塩梅の銃撃音にド派手な破壊効果音と耳障りでない程度に分かり易いミサイル警告音、そして収集要素として配置されてる捕虜のヘルプ音声が綺麗に噛み合ったものとなっていた。

特に捕虜のタスケテーココヨー音声はフィールドを探し回る助けになったし、時には時限爆弾付き捕虜を救出する際も上手く対処することが出来る調整になっていた。

もしこれで単純に効果音が小さいだけだったらボリュームを上げれば良いのだが、その方法すら本移植版『メタルウルフカオスXD』は的確に塞いでる。

本作で流れる効果音はだいたいが小さく調整されているのだが一部射撃音やリロード音(オリジナル版ではそこまで大きくなかったもの)がやたら大きく響くようになっている。これのせいでサウンド対策に調整してたら突然大騒音が流れて非常に心臓に悪いのだ。

そして極めつけはニュース映像時のクソデカサウンドだ、なぜかこれだけは特に大音量で通常のボリューム設定でも思わずビックリする調整になっている。この映像部分は本来シニカルなブラックジョーク具合を楽しむために挿入されてるのにこんなくだらない調整ミスで台無しにしてしまってるのはほんとガッカリした。

いちおう開発元は修正を行うと公式アカウントにて告知しているが延期したうえでこの出来で、尚且つ開発段階でその不具合についぞ気付かなかった部分はナめてるとしか思えない


早口大統領

また、個人的にサウンド面で特に許せないのが、大統領が全武器を一斉掃射するバースト攻撃時に叫ぶ「How do you like me now!」がなぜか早口に改悪されてる部分だ。

オリジナル版はセリフの叫ぶ長さと武器が一斉掃射開始するタイミングが噛み合っており「How do you like me now!」と暫く叫ぶ間期待が激しく発光しコンテナが降るオープンとなり武器が次々と発射される。そして叫び終わってしばらくしたのち攻撃を放出しきるという流れになっている。

それが本移植版『メタルウルフカオスXD』ではなぜか「How do you like me now!」早口で喋られ喋り終わってからダラダラと攻撃が垂れ流される仕様となっている。なので遊んでる側は「えっ今なんて?」といった戸惑いが発生してしまいよく分からないまま連射してる様子を眺めることになる。

因みに先に挙げた光源欠落バグはここでも問題なく機能しており、バースト攻撃発動時の背中の後光めいたエフェクトが『メタルウルフカオスXD』では判りづらくなっている。

どこまでも爽快感を潰すことに特化した仕上がりなのだ。

バースト攻撃時のキメ台詞「How do you like me now!」、日本語字幕では「これが大統領魂だ!」と意訳されてるのだが本来の意味は「俺の事どれくらい好きだ?」である。これは最終的に副大統領の「殺したいくらい愛してる」のセリフに対応する重要な発言となるものだ。それを雑に処理されてるのは悲しいと言う他ない。

音ズレ

機種固有の問題の可能性もあるが、XBOXONEXで『メタルウルフカオスXD』を起動すると音ズレが発生する。

オリジナル版と同時再生して確認してみたのだがどうにも動画部分と音声部分どちらも調整が甘いことから来るエラーとなっているようなのだ。なぜ発売まで気付かなかった。なぜ発売まで気付かなかった。

もしそうなら逆にそんな只の動画ソース相手にそんな初歩的な部分で躓くのかと言葉を失うわけだが。というか移植会社のお国柄的にリップシンクに厳しい筈なのになぜ気にする人間が居なかったのか。元が日本製だから原因をそっちに擦り付けることができるとでも思ってたのか。


まとめ

本移植『メタルウルフカオスXD』はオリジナル版のプレイヤーが少ないという特徴を余すとこなく活用しきった極めて悪辣な詐欺作品である。

本作が移植に際し、不具合部分を「オリジナルからそんなもんだった」と所謂思い出補正を隠れ蓑にして勘違いさせる目論見があったであろう事は比較して遊べばすぐ判る雑な移植からも明らかだ。

加えて初代XBOXを繋げる方法が現行のモニタ環境だと限られることも当時プレイしていたプレイヤーに対しても「思い出補正」を隠れ蓑に誤魔化しをかけている形にもなっている。

誇大しがちな信者が集まるフロムソフトウェア作品の中でも特にプレイヤー数が少ない異色なマイナー作品をこのように売りつける手法で極めて悪質としか言いようがない。

『O・TO・GI』『O・TO・GI 百鬼討伐絵巻』『ダブルスティール』など初代XBOXには破壊の気持ち良さを重視した作品が幾つも存在した。そしてその中の一本である『メタルウルフカオス』は大統領がパワードスーツに乗り込み破壊の限りを尽くすというコンセプトの時点でぶっ飛んだ特に尖ったタイトルだった。

なにより『メタルウルフカオス』が凄かったのは2004年当時で左スティック移動、右スティック照準、LTとRTでそれぞれの手に持った武器で攻撃といった昨今のFPS/TPSでは最早スタンダードな操作体系を今から2世代も前の筐体で日本のデベロッパが実現していたという極めて貴重なケースの作品だったのだ。

さらに言えば当時の3Dフィールドのアクションゲームにおいてカメラ操作は左スティックの移動操作にも追従するケースが殆どだったなか、左右スティックの操作と動作が完全独立していた仕様を確立していた珍しい作品だったのだ。

そんな面白さと爽快感と革新性が確立していた本作をこのような形で万人の手に売りつけた状況が発生してしまったというのは誠に遺憾である他なく、今後こういった案件が続かないことを切に願いたい。このクオリティでOTOGIも移植するよとか言われたら多分舌を噛む。

総評すると『メタルウルフカオスXD』はオリジナル版を知らない相手を騙すために雑に移植された作品で、光源とサウンド修正MODが来るまではSteamで5ドルになるまで待った方が良い駄作だ。下手したら5ドルでも高い。知人の言を借りればDevolver Bootlegに収録されるべきだった作品だった。

これは、『メタルウルフカオス』ではない。


さっさと雑にクリアしたいなら

「買ってしまったぞ。もっと早く言えよ」といった被害者の為に、とりあえずやる気出ない状態でも適当に遊んでクリアする為の軽い手引きというかオススメ武器を書いておく。実績解除が冒頭部分だけで終わってしまってそれはそれでモヤっとする状態を避けたい人の参考になればよい。

強化すべき武器は2種+α

と言っても簡単だ。本作では武器開発メニューでマシンガンとレールガンを強化し続けてそれぞれの副大統領武器を解禁・生産・装備すればよい。とにかく副大統領ガトリングと副大統領レールガンを入手するのだ。そうすればだいたいの敵を倒すことはできる。

本作の武器機取得システムは基本的に、ミッション準備メニューで武器研究で開発可能な武器の種類を増やし、そこから作成したい武器を開発する流れとなっている。(例外としてステージ上のオブジェクト、例えば大統領パパの銅像を等を破壊する事で入手する方法もあるが、クリアに際してはあまり重視しなくてよい)

フロム的武器分類は本作でも健在でマシンガンを解禁し続けるとガトリングガンが解禁され、そこから更に数回強化することで入手できる副大統領ガトリングは弾薬数こそ心許ないもののDPSが高い。一部装甲の厚い敵以外は対地対空対歩兵対拠点とひととおり対応できる性能を秘めているので極めてお勧めだ。

ただ先にも書いた通り弾薬が心許ないのでもうひとセット(或いはそれに近い予備武器)を作成してコンテナに仕舞い込んでおくと良いだろう。

そして同じように強化する必要のある本作のレールガンは作中でも屈指のぶっ壊れ性能も良いところで、特に最終強化の副大統領レールガンは強化状態の弾薬を複数弾発射することが可能となっている。

最大チャージする際の機動力低下さえどうにかすれば段階強化を持つ大型ボスを除き(この場合も段階ごとにフルチャージ撃ち込めばよい)大抵の場合は一撃で決着がつく。場合によってはステージギミックも無視できる程だ。

ハンデレールガンとは違うのだよハンデレールガンとは。

長々と書いたが「兎に角マシンガンとレールガンを強化する」ことをまずは考えると良い、次点でバズーカと両手持ちミサイルポッドを揃えていくと良いだろう。

これらを達成する為に西海岸側ステージを周回し、レアメタルを資金を稼ぎ傍ら捕虜を解放し続ければ割と容易に達成できるので楽々クリア条件までグッと近づく。描画周りを諦めつつとりあえずクリアする際の参考になれば幸いだ。

まぁ一番綺麗に収まるのはそもそも本移植版を買わないことなのだが。大枚はたいてもオリジナル版確保に専念した方が良いと思う。

こんな駄移植版遊ぶくらいだったら無印XBOX本体確保して頑張ってオリジナル版確保して、ついでにOTOGIとその続編とサウザンドランド辺りも遊んだほうが精神衛生的に良い。

オリジナル版確保は難易度高いだろうけど3000円で安易に毒物摂取するより良い。100億倍良い。

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毒にも薬にもならないアカウント。ゲーム関係のつぶやきが9割くらい
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