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人材不足なのに敷居が上がる?セキュリティ人材不足とその課題

こちらのnoteは、セキュリティ専門家松野によるニュース解説ラジオ「今日の10分セキュリティラジオ」6月20日の放送内容を一部抜粋しご紹介します

・今回の解説ニュース
・担当者の3割が転職を検討するセキュリティ業界が抱える課題とは
・一握りの技術者に頼る業界、ハードルの高さを「標準化」で払拭したい

今回の解説ニュース

セキュリティの人材不足についての調査結果が発表されています。長期間にわたって解決されないセキュリティの人材不足の現状と、その社会課題にどう向き合うかについて説明します。

今回の調査では、日本、他8か国の様々な分野のサイバーセキュリティ専門家1,000人を対象に、労働力を拡大するためのアイデアについて測定しています。回答者は、サイバーセキュリティが彼らを動機付ける目的のある、魂のこもった仕事であると92%が同意しています。しかし、調査対象の20%は今後2年以内にキャリアを変更する可能性があるということです。

また、回答者の大多数はなんらかの不満を抱えており、スキル開発に対する限定的なサポートが36%、社会のために行われた善に対する認識の欠如が36%など、ほぼ3分の1が将来、別のキャリアや職業に転職する可能性があるという事実を考え、これらの問題点への対処が重要であると指摘しています。

担当者の3割が転職を検討するセキュリティ業界が抱える課題とは

私、松野がセキュリティ業界で働き続ける理由は、他でもない、セキュリティ業界自体が抱える社会課題が、人材不足を含めて山積しているからです。

経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2016年に約13.2万人足りていなかった情報セキュリティ人材は、2020年に19.3万人不足すると推計されていました。つまり、セキュリティの人材不足は近年発生した問題ではなく、長期間にわたって未解決の社会課題であると言えます。また、約3割がセキュリティ業界からの転職を考えている現状の通り、多くのセキュリティ人材は労働環境に対して何らかの不満を抱えています。日本国内では人口減が別の社会課題として叫ばれる中、業界からの人材流出はさらに問題が深刻化することが考えられます。

そのような人材不足が慢性化しているセキュリティ業界であるがゆえに、すべての人にセキュリティが行き届かない問題が発生しています。「人・技術・お金」が確保できている企業は十分なセキュリティ対策ができるかもしれませんが、その他多くの企業ではセキュリティ対策に必要なリソースが確保できていません。その結果、セキュリティ対策が十分ではない組織が踏み台となることで社会全体がセキュリティのリスクにさらされる、サプライチェーンリスクが大きな社会課題として顕在化しています。

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