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(7)空間の枠を外す:エリアシフト

 時間の意識の枠を外したら、今度は空間です。空間といっても、意識にとって空間は現実的な距離というより、人と人との意識的な距離になります。これはコミュニケーション全般に関係しています。通常、人は他人との間に意識的な壁を作っています。パーソナルエリアと呼ばれるものです。この壁を無くすことが空間の枠を外すことであり、シフティングではエリアシフトと呼んでいます。
 エリアシフトもワークとして体験していただいています。具体的にどうするかというと、相手の喜んでいる姿を最初にイメージして会話するのです。ワークの手順でいうと、最初に普通に商品やサービスの説明をしていただきます。そして、次に相手が喜んでいる姿だけをイメージして商品さサービスの説明をしていただきます。これは実際の商品やサービスでも、架空の商品やサービスでも構いません。そして、その違いを確認していただきます。
 こうすると説明が最初と後からで変わります。最初の時は全体的にカタログスペック的な仕様説明が多く説明が長くなりますが、後からの方では感情表現が多くなり説明が短くなります。説明者の視線も、商品がある時、最初は商品を向いていますが、後者では相手の目を見て話すようになります。そして受け手の印象としては、最初の説明より後からの説明の方が圧倒的に納得しやすくなります。
 何が起きているかというと、人が持つパーソナルエリアみたいな壁がなくなっているのです。この現象を心理学的にどう説明されているのかは分かりませんが、気=エネルギーでみると、自分と相手との間にあるエネルギーの断層みたいなものが無くなっている感じになります。実はこの方法、初期は気功的なアプローチで相手と一体化するような手法でやっていたのですが、ある時、相手が喜んでいる姿を最初にイメージして自分の内部からふっと出てくる言葉で話すと同じ効果があることに気付き、やり方を変えた経緯があります。
 人と人の間にあるパーソナルエリアという枠を取り去るという意味で、エリアシフトという名前を付けています。これはセールスをはじめ、コミュニケーション全般に使える方法です。そして意識の枠を外すだけでなく、実際のビジネスに即戦力として活用できるノウハウでもあります。
 先程のワークでは、商品やサービスの説明をして体験していただきましたが、ビジネス全般、例えば依頼とか商談とか全般的なものに使えます。それからワークでは難しいのですが人間関係ができていれば、クレーム対応の体験をしていただくこともできます。クレーマー役とクレームを受ける役に分かれてクレームを聞く訳です。最初は普通に聞くのですが、後からでは、相手が喜んでいる姿をイメージして話を聞きます。そうすると最初はクレーマー役の人間が自分の言葉で段々とエスカレートしていくのですが、後者ではクレーマー役の人間が途中で笑い出したり、言葉が出て来なくなったりします。
 もちろん、ロールプレイングなので本当に怒っていないという側面もあるのでしょうが、結果がかなり変わります。人間関係が出来ている間柄だったり、会社の業務であれば、ぜひ一度試していただきたいワークでもあります。

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