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考察!誤解の多いガラケー世代高齢者のUX近未来

こんにちは。SHIFTで働くUXおにいさん、エンジニア出身のヨッシーです。

外資系SIerやコンサルティングファームに勤めた後、現在はSHIFTにおいてUX/UIを定量化、「測る」ことでUXをもっと広く実践的に活用してもらおうと励んでいます。大学・大学院でもUXについて教鞭をとっております。

今回は高齢者のUXにスポットを当てたいと思います。とはいえ、高齢者と一口に言ってもその時代のデバイスや技術などの背景によって想定する利用者像(=ペルソナ)が変わっていきます。そこで以下の3つの切り口で、SHIFTのUXガイドラインを使って考察してみようと思います。
尚、ここでは高齢者は国連保健機関(WHO)や公的人口調査等で定義されている、65歳以上としています。

第一回 ガラケーを利用していた世代の高齢者UX
第二回 スマホネイティブ世代の高齢者UX
第三回 近未来世代の高齢者UX

SHIFTのUXガイドラインとは

SHIFTのUXガイドラインは、UXの品質評価を適正に実施するため、ヤコブ・ニールセンのユーザビリティ10原則をベースにし、UX独自指標加えて作成しています。
時代とともに変わりゆくUXに対応できるように適宜項目の追加・見直しを行い、現在では50以上の評価項目があります。

第一回:ガラケーを利用していた世代の高齢者UX

高齢者に人気のらくらくスマートフォン
2008年にiPhoneが日本で発売されてから、さまざまなスマートフォンが発売され、皆さんの中にもガラケーからスマートフォンに切り替えた方も多いと思います。
日本でも若年層を中心にスマートフォンの普及は進みましたが、特に60代の方は2012年のらくらくスマートフォン発売後、2014年頃から急激にスマートフォンの普及率が高くなってきます。※1

らくらくホンシリーズは累計3,000万台のヒットを記録しており、使いやすいスマートフォンとして高齢者に支持されています。

機能を減らすことによって高める「UX」
画面の美しさや、さまざまな機能が利用できるスマートフォンですが、ガラケーを使っていた高齢者にとっては「難しそう」「操作が複雑そう」と敬遠してしまうものです。そこで登場したのが、らくらくスマートフォンです。

人気の理由は本来の画面の自由度や機能をあえて減らすことで利用者である高齢者が欲しいと思う機能に特化し、ガラケーと変わらない操作感(=UX)を実現したことといえると思います。

SHIFTのUXガイドラインで実際に検証してみると
らくらくスマートフォンが高齢者にとって、どのようにすぐれているのか、SHIFTのUXガイドラインで検証してみましょう。

評価する目安としてユニバーサルデザイン(UD)の7原則※2が有名ですが、SHIFTのUXガイドラインでは項目を網羅していますので、対比しながら実際に確認していきます。 まずは、ガラケーかららくらくスマートフォンに切り替えたばかりの高齢者をペルソナとして評価します。

図3

らくらくスマートフォンはガラケーの代替としては優れている

SHIFTのUXガイドラインで評価した結果、UD7原則に対応するすべての項目で「○」となり、ガラケーで慣れた操作感覚に近づけることで、高齢者のUX向上を実現していることがわかりました。

ところで最近の高齢者はスマートフォンをどのように使っているのか

高齢者のスマートフォン利用者のアンケート調査をみてみると、天気、ニュース、ナビゲーション(地図)、ネットショッピング、SNS、クーポン/ポイント、バーコード決済、動画共有、外食/レストラン、旅行、レシピ、タッチ決済、ゲーム、ミュージック、オークションなど、らくらくスマートフォンに標準インストールされていないアプリを積極的に利用していることがわかります。※3

図2

出典 : イオンモバイル 2019年11月 シニアのスマートフォン利用に関する調査結果
スマートフォンを利用している50歳~79歳の男女1000人(予備調査1万人)

ペルソナを見直して、改めて評価してみると・・・

高齢者もスマートフォンに好みのアプリをどんどんインストールして利用することがわかりました。使われ方の変化を踏まえ、同じ項目に対して、積極的にアプリをらくらくスマートフォンにインストールして利用する高齢者にペルソナを変えて評価し直してみました。

図4

使いやすかったはずの、らくらくスマートフォンが・・・

ペルソナを変えて評価した結果、これまで優れていると思われていたUXが4つの項目で「×」になることがわかりました。
この結果、はじめは使いやすかったらくらくスマートフォンをだんだん使いにくいと感じる人が増えてくる可能性があります。

まとめ

同じガラケーかららくらくスマートフォンに切り替えた高齢者でもあっという間にUXが変化していくことが、SHIFTのUXガイドラインを使うことで「具体的」に理解いただけたと思います。生まれたときからスマートフォンを利用している「スマホネイティブ世代」が高齢者になったとき、らくらくスマートフォンが支持されるのは難しいかもしれないですね。
ビジネスとして成功するためには、変化していくペルソナをきちんと想定し、UX向上を目指していくことが必要になります。

今回は、高齢者のUXをペルソナの変化を踏まえて、SHIFTのUXガイドラインを使って考察しました。
第二回では、スマホネイティブ世代の高齢者UXについて、考察していきたいと思います。

※1 ガラケーとスマートフォン、それぞれの利用率の推移をさぐる(2019年公開版)
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20191119-00150853/

※2 UD7原則
https://www.ud-web.info/how_7rule

※3 シニア世代のスマートフォン利用方法
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1912/26/news131.html#l_asa_aeonmobile_07.jpg&_ga=2.239050947.218658448.1594341712-126792290.1567557872

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執筆者プロフィール:吉井誠
大手外資系SIer、外資系コンサルティングファームなどを経て、SHIFTに入社。
SHIFTではパッケージソフトのUXコンサルティングなどに従事した後、UX/UIの定量評価、「測る」ことの標準化でUXをもっと広く実践的に活用してもらいたいと励んでいる。また、国公立大学・大学院で、UXの講師を行っている。

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