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「一人でも寂しくない、でも一人は不安」を支えて


Bさん 女性 鎌倉市在住
契約後見支援歴 12年  
享年95歳
 
本人からの相談  
独身で教師をしながら障害のある弟(障害者施設入所)の面倒をみてきた。弟は60歳で亡くなった。一人暮らしは慣れていて寂しいと思ったことはない。でも夜中に目が覚めた時ふっと不安になることがある。ここで倒れたらどうすればいいのか、誰が後始末をしてくれるのか。信頼している弁護士にお願いしようとしたら、「自分よりもっといいところがありますよ」とやすらぎを紹介された。
 
本人の希望
まだまだ元気で、長く暮らしている地元には知り合いも多く、商店の人たちとも顔なじみだから当分はこの生活を続けていきたいが、今の暮らしに区切りをつけるときは自分で決める。そのときに一緒に施設を探してほしい。入所の手続きなど助けてほしい。
葬儀等死後のこともお願いしたい。
 
契約後の支援経過
・ 一人で弟を支えてきただけあって、80歳を過ぎても精神的にはとてもしっかりしていたが膝が悪く歩行に不安があった。段差の多い古い一軒家だったため、契約と同時に介護認定の申請を勧める。
・ 支援員のアドバイスを素直に受け止めてくださって、介護認定を受け、浴室、トイレの手すり設置などをケアマネから提案される。ケアマネに「やすらぎさんがついていてくれるので安心してご本人に関われる」と言われた。
・米寿を迎えたころ「そろそろ施設入所を考えたい」と言われ、ご本人が納得するまで何か所も有料老人ホームの見学に同行。気に入ったホームが見つかり、入所契約に立会う。入所を機に延命治療、葬儀・埋葬等の希望など記した「指示書」を書いてもらう。
・90歳を過ぎた頃から何度か危ない状態になり、支援員は緊急入院に対応するが、持ち前の気丈さで乗り越える。
・最期は施設で過ごしたいという本人の思いに応えて「娘さんのようですね」と言われるほど頻回に施設訪問し、最期の時間を支える。
・「指示書」の通り簡素な葬儀を執り行い、「地縁の碑」に埋葬する。
 
 
担当支援員の感想
弟さんを支えながら一人で生きることを覚悟していた方だったので、最期までしっかりとされていて見事というしかない。愚痴を言わず、穏やかで人を非難することもなく自分を律する姿には、支援する側の私たちが教えられることばかりだった。もっと甘えて頼ってくださってもよかったのにと思う一方で、訪問しておしゃべりを重ねた時間が愛おしい。