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=LOVE 齊藤なぎさ (なーたん)『現役アイドルちゅ~』と令和のアイドルシーン

初めて聴いたとき僕は感動した。

この曲はもしかしたら「革命」なのではないかと。

すなわちアイドル史を大きく変える「革命」なのではないかと。

知らない人向けにこの曲がどういったものかを初めに紹介しておこうと思う。

この曲は2021年5月12日に発売される=LOVE(以下イコラブ )というアイドルグループの1stアルバム、「全部、内緒。」Type Aに収録される曲だ。

齊藤なぎさちゃんは、このグループでも屈指の可愛さを誇りSNSのフォロワーもメンバー内で一番。

グループのエースといっても過言ではない。

そんな彼女にとって初めてのソロ楽曲。

アルバム発売に先駆けYoutubeで先行公開された際に、まず目に入ったのがサムネイル画像。

見るからにいわゆる「王道アイドル」全開といった感じ。

しかし、令和の時代に王道アイドルをやることがいかに難しいか。

アイドルのルックスは年々可愛くなるばかりか、都内で見かける一般人の女性もかなり可愛い人が多い。

そのため、松田聖子のように
「圧倒的な格の違い」「これこそがアイドル!」「キラキラ感」といった感情を抱くことは少なく、女の子は「可愛いのが当たり前」の世の中になりつつある。

それほどアイドルと一般人のルックスの差は大差がなくなってきていると個人的に感じる。

しかし、彼女にはその考えが一切当てはまらない。

精巧に作られた人形ではないか?と疑いたくなるまでに整った全体のバランス。

瞳の大きさ、睫毛の長さ、八重歯、口元のほくろ、華奢でありながら細すぎる感がないスタイル。

人類が想像しうる「可愛い」のすべての要素が絶妙なバランスで調和しているのだ。

ここまで完璧に可愛いアイドルを僕は見たことがない。

現実に存在しているのかと疑いたくもなるが、実際に握手会へ参加したことがあるため、彼女の実在はすでに実証済みである。

それほどまでに浮世離れした可愛さを持った彼女だからこそ成立している楽曲。

曲調は全体的に古き良き昭和のアイドルを彷彿させる。

バックダンサーとして一緒に踊る女の子の雰囲気もまさに昭和のアイドルを意識しているのだろう。

だが「王道アイドル=昭和」の考えはとても危険で、場合によっては「古くさい」だったり「昔のアイドルみたい」といったどこか否定的だったり、昔のアイドルのモノマネのように映ってしまいかねない。

しかし、彼女らを前に踊る令和のアイドルは、ひと味もふた味も違う。

昭和には存在しなかったであろう圧倒的なルックス、少しハスキーでありながらも可愛さに満ち溢れた歌声、現在のアイドルがもはや敬遠しそうまでに眩しいピンクの衣装。ツインテール。

曲調が昭和のアイドル要素を感じさせるものであれば、ビジュアルは平成の王道アイドル的な要素を存分に感じさせるものとなっている。

つまり二つの時代のアイドルの要素が見事に調和している。

何度も言うように、圧倒的なルックスによって、それらの「昭和」「平成」要素がただの焼き増しのようにならず、全く新しい「令和」のアイドル像を構築しつつある。

彼女にこうした曲をやらせたら誰も敵うはずないと、ファンなら誰もが思ったことだろう。


しかし、ここまで圧倒的なものとは想像出来ただろうか。


王道アイドルをやることの難しさとしてもうひとつ挙げたいのが、場合によっては「イタい」と思われてしまうことだ。

確かにそこそこのルックスでそこそこの楽曲でそこそこの衣装で同じことをやったら「可愛いこぶってる」とか「イタくて目も当てられない」とか散々な感想で溢れてもしょうがないと思う。

そのため、王道アイドルを演じることはもはやネタに近く、ドラマなどでアイドルを演じる登場人物が扮するぐらいのもはや「幻」に近い存在になってしまっている。

現在のアイドルシーンでウケるのは、可愛さを押し売りしてる感が否めないアイドルではなく、「クラスの可愛いあの子」なのだ。

令和の時代ではもはやこうしたアイドルがスタンダード、王道となりつつあるだろう。

握手会なんてイベントがコロナ以前は当たり前だったのもうなずける。

ファンはアイドルに圧倒的な可愛さよりも親しみやすさや共感、癒しを求めている。

アイドルを推す行為は偶像崇拝というようなたいそうなものではなくなってしまった気がする。

「クラスの可愛いあの子」がアイドルになったことで堂々と応援できる。そんな感じだ。

逆に上に挙げたようなアイドルとは一線を画すのは「邪道」とされるアイドル。

可愛さが重視されるアイドル楽曲とは異なり、本格的なロックの音をアイドルに歌わせたり、AKBが台頭した2010年代では軽視されるようになっていた歌の上手さを全面に押し出してみたり。

アイドル戦国時代という平成アイドル史の大きな分岐点を経て、飽和状態となった令和のアイドルはあらゆる手段を用いて生き残りを、アイデンティティの確立を目指している。

そのため、古典的な王道アイドルという価値観は後退を余儀なくされ、アイドルという枠に囚われず何でも出来るのがアイドルなんだ!という見方が強くなっている。

そのため、この時代にさらっと古典的で時代に逆行してるとも捉えられる「王道アイドル」を令和のアイドルとしてやってのけた齊藤なぎさちゃんは称賛に値するし、アイドルシーンを大きく揺るがす曲なのではないかと思う。

これ以上やることはないだろう。と誰もが決めつけていたであろうフィールドでさらなる可能性を示した彼女、そして忘れてはならないのがイコラブのプロデューサーであり芸能人として独自の地位を築いた指原莉乃という策士。

全ては指原莉乃がいたからこそ成立したと言っても過言ではない。

これまで何度もアイドルプロデューサーとしてファンを驚かせ、喜ばせ、沼にハマらせてきた彼女は、今後何をやってくれるのか。

齊藤なぎさちゃんの今後。

イコラブの今後に目が離せない。



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