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助けたがるから「聴けない」ということを知っておく必要があるよね

「聴く」ことを伝える機会が多いです。
いやあもちろん修行中の身の上ですが、でも「口から生まれた子」「会話の8割を支配する女」と友人から言われている私でいいのか!ということを最近やっと思わなくなりました(笑)。つまりみんな「聴けるようになる」ってことです。一緒にがんばりましょ。

さて、今日のお題は「助けたいと思う気持ち」が「聴くこと」の邪魔になるということ。

ここ数年、さまざまな支援者という立場の人向けに「聴く」をテーマにした研修のご依頼が増えました。支援する人は聴ける人なんじゃないかと思っていましたが、依頼に応えて準備して、当日の対話を経て「ああそういうことか」と腹落ちして数年、その支援者としての在り方が「聴くことを阻害している」ということをしみじみ感じます。

たとえばこういうことです。※ここに書くのは私が創作したものです。

場所は子育て支援センター
スタッフ⇒ス 母親⇒母
疲れた表情のお母さん、1歳くらいの子どもをつれて遊びにきました。
ス「お母さん、こんにちは。なんかお疲れですか?」
母「…昨日子どもが夜泣きして…この頃寝なくてもう、たいへんで。どうしたら寝てくれるんですかね」
ス「ああ、それは大変だったねー。夜泣きはよくあることだからちょっとの辛抱かなあ。昼間たくさん外遊びさせるといいね。あとはお水を飲ませて落ち着かせることかな。あと少し、頑張って!」
母「…わかりました。そうですよね」

さて、これ、別の聴き方をするとどうなるか。
ス「お母さん、こんにちは。なんかお疲れですか?」
母「…昨日子どもが夜泣きして…この頃寝なくてもう、たいへんで。どうしたら寝てくれるんですかね」
ス「夜泣きだったんですね…たいへんでしたね…どうしたらいいか…」
母「子どもだからしょうがないって思うんですよ。ずっとじゃないって思いますし。わたしはちょっと頑張ろうって思うんですけど」
ス「ずっとじゃないってお母さん思っているんですね…頑張ろうって…」
母「けど、ダンナはなんかいろいろうるさいんです。いつも怒るわけじゃないんだけど、仕事で疲れてるから寝れないって言ってて、なんとかしろって言われても、ね…」
ス「ああ、ダンナさんが…何かそこであったりしたんですか」
母「昨日、ちょっといい加減にしろってドアをバタンって大きな音させて締めるから、イライラしてるのはわかるんだけど、怖いなって。これって誰かに相談したほうがいいのかなって…」

※これは一例ですし私の創作です。全く違う展開は何種類もあります。

カウンセリングを学ぶ人はみな教わっていることですが、たとえ「相談したいです」と来訪されたとしても、本当に伝えたいことをクライアントは最初から話すわけではありません。あるいは、本当に困っている(伝えたい)ことが何なのかは、本人もわかっていないということだって、普通です。だから「早々に診断して、薬を出しますよ」みたいなことをしない、というのは大切なことです。

でも、人を支援したいという思いが強いひとは、その「役に立ちたい気持ちゆえ」に、すぐに「お薬だしますよ」としてしまいがちです。「〇〇さんのお薬、すごく効きました!ありがとう」と言われて充実感を覚えます。ゆえに相手は「困っているはずだと思う」し「困りごとを解決できる自分でいたい」という心理が働きます(無意識です)。でも上の例でいえば、もしかしたら「夜泣きに付き合ってドライブしてたら、すっかりうちの子車好きになっちゃって、わたしも夜更かし癖がついてて、までも昼寝しちゃうからいいかって・笑」みたいなオチかもしれません。単に愚痴がいいたかっただけかもしれません。そこは「ちゃんと聴かないとわからない」のです。

これは親子でも、先生と生徒でも、面倒見のいい上司と部下でもよく起きることです。そこに「役に立ちたい思い」がある関係性や、「頼られる役割」を引き受けている間柄では相当によくあることです。

本当に聴ける、というのは「ああこれね」のもっと何段階も先にあります。そこにたどり着けたとき「聴き切れたな」と思えるし、相手も「話しきれた」と思えるのです。

そもそも、支援者と言う人が「相手を困りごとのある人」にしようとしている、という恐れもあるのです。でも「困っているよね?助けてあげるよ」と言われても、人はそんなにいつも「困っている人」にはされたくありませんよね。人に何かを頼るとき、相談するとき無意識に「ワンダウン」(一段下の立ち位置に自分を置く)になるのだとエドガー・シャインは言っています。「教えてあげる」「助けてあげる」という側は無意識に「ワンアップ」(一段上の位置に自分を置く)になるのです。それはワンダウンに置かれる側にとって、居心地のよくないものです。だからこそ「そうやすやすと困っている本当のこと」を言ったりはしません。

人を助けたいんです、という人こそ、助けようと腕まくりしないことです

そのうえで①相手と自分は対等であること、②相手は自分で解決する力のある人だと信頼していること、③相手を色眼鏡で見立てたり、診断したりしないこと。常にそのあり方を忘れずに相手の言葉や語られない言葉に目を向け耳を傾ける、そんな姿勢があってこそ、聴くためのスキルが生きてくるし、相手が安心して話してくれようとするのではないかなと思うのです。

…自戒を込めて書いてます。

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