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聴けていないことを横に置いて、相手に伝えることはできない

研修講師としてキャリア領域と変わらないくらい多いのが「職場のコミュニケーション」の話です。特に「聴く」「面談」「部下との対話」についての課題について取り扱うことが多いです。

最近もこんなことがありました。
「部下にどう注意したらいいかわからない」
「自分なりに指導しているつもりだが、部下が全然変わらない」
そんな職場の責任者の方からも「マネージャーが上手く部下を育てられない。最近の若手は(指導が)響かない。そこをマネージャーに研修で教えてほしい」という感じです(キャリアコンサルタントは「聴く専門家」でもあり、クライアントの行動変容に関わる仕事でもありますからね)

部下との関わり方といえば、最近はどこでも「1on1は導入していますよ(だから上司と部下は話しています)」って話が多いのですが、部下に聞いても上司に聞いてもその効果は「やってはいるけど…」って感じです。きっとこれを読んでいる方も「わかる…」って人が多いのでは?

研修では心構えとか、大事なポイントなどを概要からより具体的にと解説をしていって(その中には体感型のワークもいれて)、後半にケーススタディをやることが多いのですが、先日こんなことがありました。

こんなケースです。

2年目の部下がいる35歳のリーダーAさん。あるとき部下が仕事先であいまいな理解のままお客様に説明をしてしまったことでお客様のところでトラブルが発生。状況に気づかず対応をしないまま部下は直帰してしまい、Aさんが代わりに対応をしてなんとか納めました。翌朝部下を呼び出して顛末を確認しましたが、部下は気まずい表情をして謝るだけで要領を得ないため、厳重に注意して終わりました。その後も部下はお客様の信頼が得られず、Aさんが代わりに担当することになりました。いったいどのように関わったらよかったのでしょうか。

ケースでは上司と部下の会話も載せてあります。
Aさん「昨日の◎社の件、どういうことだ?なんであんな間違った情報を伝えたんだ?」
部下「すいませんでした。」
Aさん「いや、そうじゃなくて、◎社の契約条件を、なんで◆社と同じ内容で言ったかって聞いてるんだよ」
部下「勘違いしていました」
Aさん「…資料とか持ってるよね。わからないことはその場で言わずに確認してから言ったらいいだろう」
部下「…すいません」
Aさん「もういいよ、これからはちゃんと確認してから言うようにしてよ」
部下「はい。すいませんでした」

相当ダメポイントがわかりやすい事例にしてみたのですが、ある会社のリーダーのみなさん、この事例を見て
「はあ…わかるわ。Aさんの気持ち」
「これは部下があかんやろ」
…と口々に盛り上がってしまってました←そこじゃない(笑)

確かに部下の行動に問題はありますが、結局Aさんは部下がどういう心境でその行動を取ったのか、何も聞けてはいません。確認不足、って思っているようですが、本当にそうなのでしょうか?
部下のそれについての発言は「勘違いしていました」しかありません。勘違いって何をどう勘違いしたのでしょう?勘違い、ということは「うっかり」ということですが、本当でしょうか。まったくわからないのに、上司の方が「勘違い=確認をサボった」と思い込んで自分だけで納得しています。そして最後は「これからはちゃんと確認して」って、果たして伝わっているのでしょうか。部下が本当に話したいことは話せているでしょうか(話す気持ちになっているでしょうか)。

部下を上手く指導できない、部下に行動を変えてもらえない(部下が態度を変えない)…今の若手はむずかしい…

いったいどう言えばいい?
言うと響く言葉を教えてほしい。

そんな風にも言われます。
いや、そんな万能の言葉があったら便利ですけどね。
でも、その前にまずやらなくてはならないことは、相手の真意を聴くことです。いやその前に「起きた事実」をまず確認しなくては、です。部下自身が「なぜそうしたのか」わかっているかどうかも、わかりません。でもちゃんと聴くことで部下が自ら気づくことだってあるのです。
でもそれ「なんでだ?!」と詰めることではないですよ(やりがち)。

聴くというのは本当に根気が必要で、練習の必要なことだと思います。一言命令してささっと動いてくれたらどれほど上司は楽でしょう。けれどこの入り口をきちんとできていると、安心して「何がどう出来ていないのか」を部下が話せるようになります。すると本当に足りないものは何かが見えてきます。足りないものが明確になれば、上司の側の伝える言葉も適切なものになり、伝わりやすくなります。やっと届くのです。

急がば回れ、なんです。

さて、上の事例、あなたならどう関わりますか?
同じ状況で翌朝部下と面談をするつもりで、考えてみてください。
設定はご自由に。身近なあなたの部下や後輩をイメージしてみいいですよね。頭の中で考えるのではなく、手を動かして部下と自分の会話をシナリオにしてみてください。そうするとどこで行き詰るのかも見えてくるでしょう。まずはそこから始めてみましょう。

私なら…という事例は次の更新のときにでも、書いてみますね。



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