ひと夏の人間ばなれ ②
昨年の夏休みの課題は「人間離れ」について調べることでしたわ。面白いテーマだと思いませんか。例えばわたくしたちの学園には制服がありますけれども、授業のない日をどんな姿で過ごすのかは生徒によりさまざまなのです。ボロボロのジーンズやくたびれたジャージーの子もいれば、大人顔負けのメイクを施したり禁止されているピアスをつけたりチュールのロングスカートを履く子もいることでしょう。どちらにしても生徒本来のあるべき姿からは乖離していますわ。これと同様に尼さんや天女になりたがる子もいるかも知れませんし、とんでもなく非道い阿婆擦れ路線に関心を持ってしまう子もいるに違いありませんよね。これはあまり望ましくない流れだと思われませんこと、ねえリカさん。あら良い子ぶることないじゃないのバービーさん、誰だって本当はそういうのに興味があるに違いないもの。
セーラー服姿の二体の人形がこの夏休みの宿題はどうしましょうかと楽しげに相談していた。
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リカちゃんとバービーを手に裏声で語り合っていたのはどう見ても学年主任とA組の担任の男性教師だった。
フィクションです。(江戸川乱歩『人でなしの恋』より想を得ました)
たらはかに様のお題に参加しています。
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