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小学五年生にもわかるように三角関数を説明してみる

また三角関数不要論を唱える人が出現しているようだ。

金融教育をするなとは言わない。けど、だから三角関数を学ぶ必要がないというのはどうだろうか。

三角関数の重要性は時代を追うごとに増しているとむしろ僕は感じている。
あらゆることを理解するため、三角関数ほど便利な道具はない。
しかし便利な道具は、便利さを理解するまでに時間がかかる。

例えばスマホがある。実は人々がスマホが便利だと理解するのには相当な時間がかかった。1990年代にスマホの原型があるが、それが生活必需品になるとは、およそ考えられなかった。

今、スマホを何の疑問もなく使っているのは、人類が数十年かけて「小型コンピュータとはこう使うと便利なのだ」ということを研究し、教育されてきたからだ。

そうした中で、むしろ学校教育の中心に三角関数を置いてもいいくらいなのだ。

三角関数という言葉は、焼肉定食と同じ文字数でありながら、意味のわからなさという点で群を抜いている。

そのためには、まず、三角関数とは何か、という説明が必要であろう。
そこで僕は、小学生五年生でも理解できるような三角関数の説明を試みることにする。

まず、半径を1とした円があり、円の中心に直角三角形があるとする。

直角三角形の一つの頂点は必ず円の中心にあり、もう一つの頂点は必ず円周にくっついているとする。

この時の、円の中心側の頂点の角度をTと呼ぶことにしよう。
角度Tの時の三角形の高さをsinサイン(T)、三角形の底辺の長さをcosコサイン(T)と呼ぶ。そして三角形の高さと、底辺の長さの比をtanタンジェント(T)と呼ぶのだ。三角関数とは、ただそれだけのことである。

三角形の高さと底辺の長さを知らない小学生はいない。
これを「不必要」とするならば、三角形の概念の説明すら不必要ということになる。

三角関数とは、単に円の中にある直角三角形の高さと幅とその比を示しているに過ぎないのである。

三角関数とは実際には三角形ではなくむしろ円の性質を知り、操るための関数なのだ。
だから円周率と密接な関係があり、時計からゲームキャラクターの動きから、音声から量子力学まで、あらゆるところに関係してくるのである。

ではなぜ数ある算数・数学の話題の中から、常に三角関数だけが槍玉に上がるのか。

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