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vol.8 人工智能教育

2018年に高校生向けの人工知能教材の出版と人工知能の学習試験校として、上海の学校を中心に40校が公表され、中国の学校の新年度である9月から高校での人工知能がはじまることに驚いていたのもつかの間、今度は2019年春から小中学校での人工知能教育が始まるとの発表が2019年1月に報じられました。

中国教育部(日本の文科省)の「中小学校人工知能教育」発表会では、北京、広州、深セン、武漢、西安の5都市を試験都市とすることや、小学校3年生から中学校2年生までの教材(ロボット、STEM学習)、教師用の指導書、生徒用の教科書も発表されています。

この発表会では、深センに拠点を置くプログラミング教育プラットフォームであるCodemao(編程猫)のビジュアルプログラミングツールと人工知能学習教材や華東師範大学、華中科技大学と深センの教育系ユニコーン企業であるUBTECH社が技術的に全面的に協力した教科書なども発表されました。

華東師範大学出版の教科書の内容は、小学生のうちは人工知能だけを直接的に学習するというよりは、STEAM、ロボティクス、プログラミングの学習が中心となっていて、ビジュアルプログラミング言語を使って、UBTECH社オリジナルのLEGOのようなブロックと各種センサー類を組み合わせて制御することを学び、それと並行しながら、AIの活用場面なども少しずつ学んでいきます。

中学生のテキストでは、Pythonの基礎学習、UBTECH社のAI・プログラミング学習用ロボットYansheeの制御も学びます。

小学校3年生から中学校2年生までの全10冊の教材の8冊目からはいよいよ文字認識、画像認識について触れられています。

全課程を通じてAI一辺倒の内容ではないため、「こんなのAI教育ではない」という批判もできますが、8年分の教師用指導書、生徒用教科書を10冊にまとめ、小中学校でのAI教育の道筋をロボティクス、プログラミングの学習と合わせて一つのストリームを描いているという点で非常に先進的な取り組みであることは間違いありません。

AIを小学生が学ぶことに対して、さすがの中国の親たちも学びの必要性、必然性に対して懐疑的な見方をする人もいるものの、概ね好意的に捉えられている印象で、この教育に対する期待値の方が優勢であるように感じます。

2019年春から始まる試験都市での経験を踏まえ、教材、教授法などそれぞれを改良を加えながら、全国の学校での導入が正式に決定されていくので、正式なスタートをどのような形で迎えるのかに引き続き注目していきたいと思います。

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