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vol.10 深圳で演説特訓・記憶力養成サマーキャンプ叩き売りイベントに参加した!

中国の教育市場(深圳)において「大脳開発」というのは1つの習い事のジャンルとして確立されており、ショッピングモールでも時々見かけることがあります。

今日は最強大脳の持ち主で世界記憶大師の蒋先生という方が、記憶力を2〜7倍に高める方法、3日で中学生の1学期相当の単語を覚える(1時間で40個)2日で国語の教科書を丸暗記する方法などの奥義を体験する親子参加プログラムが開催されるとのことで、どんなイベントなのか完全に興味本位で親子参加のところ一人で参加してみました。

まずは先生が1分程度で60桁の数字を覚えてしまう凄技を披露した後(これは確かにすごい)、だいぶ長い先生の苦労話を聞き(あまり記憶がありません)、英単語を中国語読みに分解して暗記する方法、単語をイメージして覚える方法など特に新しいとは思えない方法をいくつか紹介されました。しかしながら、『紅い高粱』で知られる莫言(中国のノーベル文学賞受賞者)の10作品を、体の部位にイメージ付けて私自身もその場で覚えられたという意味では、場合によっては効果だなと思いました。

イベントが佳境に入り、いよいよ選抜された子供3人が40桁の数を暗誦(実際はイベントの最中30分かけて暗記した)する発表タイムに入りました。大師が初見で1分程度で60桁を覚えたのと、子供は30分かけて覚えたのではまるで違うのですが、あたかもその場で覚えさせたかのような演出だったので、会場、特に暗唱した子供の親の熱狂ぶりは凄まじいものがあり、会場も大盛り上がりでした。

会場の盛り上がりが最高潮に達したところで、彼らの「演説特訓・記憶力養成キャンプ」の叩き売りのはじまりはじまり。7日間のキャンプの2日間で右脳を解放し記憶方法をマスター、次の2日間で学習力への運用方法をマスター、次の3日間で演説力を磨き、最終日に総まとめがあるとのこと。
※今回のイベントでも子供達がマイクを持って話す機会がありましたが、その堂々とした話しっぷりは日本人の大人も見習うべきです。日本でもスピーチ講座をすべき!

キャンプは4つ星以上のホテルで、布団のたたみ方から食事の作法まで教え込み(中国の子供達は生活力がない)、早朝から軍隊式の走り込みなどの盛りだくさん!

そして今すぐ申し込めば、7つの特典(大師のサイン入りの教本)がもらえ、そのうち2名は6万元(100万円)相当のスクールで使えるチケットのようなものがもらえるとのこと。

そして、お値段は34万円のところを今すぐ申し込めば21万円!

日本でこんなやり方で申し込みが殺到するのかわかりませんが、今日のイベントでは申込書を子供達が我先にと大師のもとへもらいにいき、母親(多くは)のところへ持ち帰ってその場でバンバン申し込みがなされていきます。お支払いは「WechatでもAlipayでも大丈夫ですよー」とのことで、その場で支払いも完了。。。

そもそも日々、子供達にどんな習い事をさせることが将来の成功に繋がるのか、子供へ投資することを前提に、一体何に投資すべきなのか神経をとがらせている中国の親たち。

そして、中国で夏休みといえば、1つの社会問題があります。ほとんどの家庭が共働きであるため、夏休みに子供が家にいるという状況をどう解決するのかが各家庭の問題です。

そこを商機とみて、夏休みが近づいてくると、そこら中で習い事のビラが配られます。同時に私の教室にも日本語の夏期集中特訓が出来ないかという問い合わせもチラホラやってきます。夏休みは学年の変わり目でもあり、大きな学びの機会なのです。

もともと教育が過熱気味なところに、夏休みはどこかに預けてしまいたいと思っている家庭にとっては、一週間のキャンプに参加させ、子供の大脳開発ができるなら「20万円くらい高くない」と言ったところです。

「教育に投資した分は必ず返って来る」と確信しているか、「教育にはお金を出すもの」と思っている中国の教育への貪欲なスタンス。教育市場はまだまだ加熱していきそうです。

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