音楽の話をしよう その1

かつて、AERAという雑誌で星野源さんが『音楽の話をしよう』というタイトルで連載をしていた

その内容は、ゲストと星野さんとの二人で雑談をして、それを文字に起こしたというシンプルなものである

ゲストにはイエロー・マジック・オーケストラの細野晴臣さんからお笑い芸人バナナマンの設楽統さんまで幅広いジャンルの方がいた

大変申し訳ないが、私は連載のすべてに目を通したわけではない

それでも、星野源さんの「雑談の中に本質が眠っている」という言葉はすごく印象に残っているし、雑談形式だからこそ読んでいる自分も話に加わっている気分だった

世の中には音楽を聴く人が多いと思うが、自分の好きな音楽を他人と共有するのは案外難しいと思う

もちろん、同じアーティストが好きな人通しの会話は盛り上がるが、たいていの場合、人の好みは変わってくる。

昔、ラジオで「20歳までに聞いた曲を人は印象に残し、その後の人生でも20歳までの曲を好んで聞き続ける気がする」と誰かがいっていた

世代が違うと音楽も変わってくるし、同じ世代でも松田聖子ちゃん派か中森明菜派か、音楽を超えて髪型すら変わっていた時代もあるのだ


そもそも、自分の好きな音楽をどこまで知っているのかという問題もある

例えば、先ほどの星野源さんの音楽が好きでいろいろ探していると、彼がくも膜下出血で倒れたことを知る

YMOを調べていると、細野晴臣さんの親族がタイタニック号から生還した唯一の日本人であることにも行きつくかもしれない

Aimerの歌声は彼女の声帯が完治すると消えてしまうこととか

椎名林檎さんがデビュー当時新宿系音楽といっていたインタビューを20周年の時に振り返って「意味が分からない」と本人がいっていたこととか

ここまで踏み込むと音楽の話ではなくなっている気もする


私は、普段、「好きな本は何ですか」とか「好きな映画は何ですか」という質問に困るが、「好きな音楽は何ですか」という質問には、ほぼ毎回ZARDと答える

今日、5月27日はZARDの坂井泉水さんの命日である

多くの人が知っているZARDの曲は『負けないで』だろうか

あとは、ドラゴンボールを見ていた人は『DAN DAN 心惹かれていく』(作詞が坂井泉水さん)とか『Don't you see!』とかだろう

これは余談だが、ZARDの詞の方向性を決めるとき、中島みゆきさんの、どちらかというと男性に任せた感じ、と松任谷由実さんのどちらかというと女性が引っ張っていく感じの中間をイメージした女性視線の曲になっているらしい

ZARDのほぼすべての曲の歌詞は彼女が書いたものであり、生涯ただ一度だけ行ったコンサートツアーで、「私はいつも、言葉を、詞を、大切にしてきました。音楽でそれが伝わればいいなと願っています。」といっていた

ZARDのバックコーラスを務めていた大黒摩季さんは坂井泉水さんに、もっと曲の詞を大切にしてほしいと怒られたことがあるらしい

言葉を大切にしてほしいという彼女の願いは現代には伝わっていない気もする

最近では、SNS上での誹謗中傷に関するゴタゴタであふれている

ZARDが数々のタイアップをしてきた名探偵コナンのコナン君も15作目の映画で「言葉は刃物なんだ」とか言っていた

刃物の使い方が分からない人がどうやら現代には多いみたいなので覚悟して生きていく必要がありそうだ


コナン映画15作目の主題歌はZARDじゃなくてB'zだったけどね



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