【書き出し用】年単位で放置された18禁_二次創作の続きを書こう_薄桜鬼_狂咲鬼哭_70

 千鶴の幼すぎる疑問に、父はぞっとするほど獰猛な眼差しを向けた。薫はぎょっとして、千鶴の方に首を向けるが、千鶴は栗色の大きな瞳に父を映して、父の与える圧力に屈することなく、母の姿に狼狽することなく、まっすぐに受け止めて自分の意志を言葉に乗せるのだ。
「早くしないと、逃げ遅れます」
 肝が据わっているのか、ただのうつけか。逃げることを提案する千鶴に、薫はハラハラと状況を見守るしかない。
「ふっ……、思った以上に大物だな。生まれる世が違えば、お前は八瀬姫になれたであろう。雪村は薫に任せてな」
 と、父はさきほどまで向けていた強い感情をやわらげて、口元に微笑を浮かべる。
「これも天命だとしても、逆らいたくなるものだ。このままでは、まったくも惜しい」
 独白する父は、母の長い髪を梳き、髪の一部を掬い上げて唇に寄せる。
 父と母の間に流れる甘い空気は、どこか退廃的であり、そして死を予感させた。
「二人に問う。生きたいか?」
 なぜこんなことを訊くのだろう。そんな当たり前のことを。それとも自分たちは、これから――【死ぬこと】が当たり前だというのかっ!?

つづく

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#風間 ×千鶴×千姫

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