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ニホンイシガメとクサガメの交雑個体を表す"ウンキュウ"という言葉が嫌いです

日本固有種ニホンイシガメと、移入された韓国・中国原産の外来種クサガメが交雑する問題が生じています。

日本のあちこちの野外において、実際にこの2種の交雑個体が出てきちゃっているんです。しかも、交雑個体には稔性があるようで、この交雑個体とニホンイシガメが交雑してしまいます。そのため、近年ではクサガメによるニホンイシガメへの遺伝子浸透に関する問題が懸念されるようになってしまいました。

この問題の交雑個体ですが、以前より一部の図鑑やショップなどではたびたび"ウンキュウ"と呼ばれ、紹介されてきました。私はこの呼び方があまり好きではありません。なんでだろうか。おそらく、"ウンキュウ"という言葉を付けることで交雑個体に商品価値を付けているように感じてしまうのでしょう。

これまでに、多くのカメ類の組み合わせにおいて交雑個体が生じることが分かっており、爬虫類ショップなどでも様々な組み合わせの交雑個体が売られてきました。そのため、この"ウンキュウ"という5文字の短い言葉を用いるだけで、他の組み合わせの交雑個体と、ニホンイシガメとクサガメとの交雑個体("ウンキュウ")を区別して示せるといったメリットがあります。

ですが、このまま"ウンキュウ"という言葉を使って商品価値を高めてしまうと、この交雑個体がさらに出回り、飼育することに飽きた一部の悪い飼育者が野外に放逐することで、野外においてニホンイシガメとの交雑化が生じ、さらなる悪影響が出てしまうのではないかと懸念しています。こういった理由で、私は交雑個体を"ウンキュウ"まるで珍しい別種のように呼ぶことがとても気持ち悪いなと感じています。

この記事を書ている中、何度も"ウンキュウ"と打っていますが、吐き気がしています笑。嘘です。

実際のところニホンイシガメとクサガメの雑種を"ウンキュウ"と呼ぶルールなどは全くありません。いつの間にか出てきた、通称のようなものです(最近まで一部のカメ好きが使っていた程度でしたが、近年の爬虫類ブームで広まっていったように感じています)。例えるならば、ミシシッピアカミミガメの幼体を販売用に通称"ミドリガメ"と呼んでいるようなものでしかないと思っています。なんでみんな、"ウンキュウ"呼びたがるのだろうか。しかも、"ウンキュウ"という言葉を使ってマウンティングを行っているようにも見えてしまいます(個人的にですが)。

あぁ、それ"ウンキュウ"でしょ? そんなことも知らないの?っていう現場を何度も見たからだと思いますが笑。

別に"ウンキュウ"という言葉を使うなとは言うつもりはありませんが、なんかそれっぽい名前を付けて商品価値を高めるようなやり方はあまり好きではありません、ということを愚痴りたかっただけです。特に、一方が日本固有の絶滅危惧種であり、他方が外来種であるとともに交雑化に伴う遺伝子浸透による影響が野外で生じていることが分かっている種の組み合わせに対して、商品価値を高めていると感じてしまう点が本当に気持ちが悪いです。

もちろん、世の中には、純粋にこの交雑個体に魅力を感じて飼育繁殖させたりと、愛情をもって接している方も多くいます。ですので、責任をもって(飽きても野外に逃がしたりしない)飼っていただければ、全く問題ありません。

最後に。くどいようですが、今回の記事は個人的に"ウンキュウ"という言葉が嫌いだ、という愚痴を書いただけです。その個人的な理由は、日本固有種に多大な影響を与えかねない交雑個体の商品価値を高め、繁殖によりさらなる交雑個体の増加を引き起こし、最終的には遺棄された個体が野外のニホンイシガメに悪影響を及ぼすことに繋がってしまう恐れがあるといったことです。

実際のところ、多くの人が"ウンキュウ"という言葉を使おうが使わまいが、正直どうでもいいです(どうにもならないので)。ただ、交雑個体を"ウンキュウ"と呼ぶ風習が今後広がっていくのは本当に嫌だなと思っています。そこでこれからは、これは"ウンキュウ"ですか?と聞かれても、俺は「はい、これはニホンイシガメとクサガメの雑種です」と答えるようにします。この点はぶれずに。

とりあえず、逆効果になりませんように笑

長々と書いてしまったので、最後にニホンイシガメとクサガメの交雑個体の色々なバリエーションの写真を貼って終わらせます。

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ではでは。

カメは売らずにカメでお金を稼ぎたい。そんなお年頃です。