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従業員数別 法令遵守 早見表 ver3

<はじめに>

こんにちは。社会保険労務士法人シグナル 代表 有馬美帆(@sharoushisignal)です。


※このnoteは、2023年5月22日にver5の公開をしています。ぜひ新バージョンもご覧ください。


経営者や人事労務担当の方には、従業員数が増加し、気が付けば50名近くになっており、急いで衛生管理者の資格を取りに行ったというご経験がないでしょうか。


各種法令では、従業員数が、50人もしくは100人というラインに達すると、企業がコンプライアンス上対応しなくてはならない項目が増えます。
そこで悩みのタネとなるのが、従業員数のカウント方法です。


「従業員」には、パートタイマーやアルバイトなどの非正規従業員も含むのか、全社(企業全体)として数えるのか、もしくは支店(事業所・事業場)ごとに数えるのかなど、各項目ごとに悩みますよね。


そこで、その悩みを解決して法令遵守していただくために、今回、早見表を作成してみました!


経営者や人事労務担当の方は、この早見表を活用し、ぜひ調べる時間を節約してください。
それでは、早見表を以下に掲載いたしますのでご覧ください。

note.本文用 ➀労働者数別義務表

▷産業医

産業医とは、従業員の健康管理に関して助言・指導する医師のことです。
50人以上の支店では、労働安全衛生法(安衛法)の定めにより 産業医を選任する必要があります。


▷ストレスチェック


ストレスチェックとは従業員のストレス検査を行うことでメンタルヘルス不調を防止する安衛法に基づく制度です。
50人以上の支店では、毎年の健康診断に加え、ストレスチェックも行う必要がありますのでご注意ください。


▷衛生管理者


衛生管理者とは、職場の衛生全般を管理する国家資格者です。安衛法では、支店の従業員数が50人に達した段階で専任が必要になります。そのため、法令遵守のためには国家試験に合格した人が必要になります。

社内に、衛生管理者資格を有する人がいない場合は、従業員数が、50人以上になると見越された段階で、どなたかに、試験を受けてもらうようにしましょう。

衛生管理者は、第一種と第二種に分かれており、業種によりどちらかの資格が必要となります。
難易度は普通程度といわれる試験ですが、合格率は第一種衛生管理者で45%、第二種衛生管理者54.9%(いずれも平成29年度)と、半数近くは不合格となる試験で要注意です。この点からも、企業として早めの対策が必要ですね。


▷障害者雇用納付金


障害者雇用促進法では、全ての企業に対して障害者の雇用(雇用する労働者の2.2%相当)を義務付けていますが、実際には、障害者を雇用することが種々の問題から難しい場合もあると思います。その場合に、100人以上の企業だと障害者雇用納付金が徴収されることになります。

障害者雇用納付金とは、障害者雇用率が、未達成の100人以上の企業に課される納付金です。金額は、未達成者1人につき、月額で、原則50,000円です。この納付金は障害者雇用の促進のための調整金や職場環境整備に使われています。


▷一般事業主行動計画


一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法で定められた、子育てと仕事や多様な労働条件の整備などに取り組むに当たっての計画内容と達成目標のことです。書面での届出が義務付けられています。
対象となる従業員数は、「100人」ではなく、「101人」以上ですので、注意しましょう。

この点に関して、重要な法改正が順次施行されます。
まず、常時雇用労働者301人以上の事業主に関しては、2020年4月1日から数値目標の設定が義務化されます。

さらに、2020年6月1日には情報公表項目についての情報公表も義務化されます。これまで以上に、より具体的な取り組みと社会への情報発信が求められるようになるわけですね。

さらに、2022年4月1日からは、常時雇用労働者が101人以上の事業所にも一般事業主行動計画の策定・届出と女性活躍に関する情報公表が義務化されます。

女性活躍推進に関する対応策の義務化は次第に広がっています。現在は常時雇用労働者が100人以下の事業所も、女性活躍推進については今から関心を持って、できる範囲で取り組むように心がけてください。特に組織の急成長が見込まれる企業に関しては、まだ人数が少ない段階で基礎づくりをしておくことが、後の人事労務面の負担を軽減することにつながります。



▷特定個人情報取扱規程


特定個人情報取扱規程とは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律で定められた、個人番号を取り扱う企業が、特定個人情報を適正に取扱うための社内規程のことです。


原則、個人番号を取り扱う企業は、特定個人情報取扱規程を作成しなければいけないことになっていますが、特例的に、従業員数が100人以下の中小規模事業者においては、事務で取り扱う個人番号の数量が少なく、また、特定個人情報等を取り扱う従業者が限定的であること等から、特定個人情報取扱規程の作成が義務付けられていません。

ただし、以下の事業者は特例対象に含まれていないので注意が必要です。
・ 個人番号利用事務実施者
・ 委託に基づいて個人番号関係事務又は個人番号利用事務を業務として行う事業者
・ 金融分野(個人情報保護委員会・金融庁作成の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」第1条第1項に定義される金融分野)の事業者
・ その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6月以内のいずれかの日において5,000を超える事業者



▷社会保険の適用範囲拡大


社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、所定労働時間の3/4以上(一般的には週30時間以上)の労働者が加入することになっています。


加えて、政府は医療保険や年金の財源確保のために、社会保険に加入している被保険者数が501人以上の会社においては、2016年10月1日から適用範囲を拡大させました。


要件としては、所定労働時間が週20時間以上、月額賃金が88,000円以上の人が対象になりました(その他の要件としては、勤務期間が1年以上見込まれ(2022年10月からは「2か月を超える」に変更)、学生ではないというものです)。


政府は、さらに医療保険と年金の財源確保をするために、被保険者数501人以上の会社となっている要件を、2022年10月から101人以上、2024年10月から51人以上としました。


これまでみてきた項目と違い、社会保険の適用範囲拡大は、社会保険の被保険者数で判断し、より細かい要件として2つあります。
① 同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所対象で被保険者(短時間労働者除く)の合計数
② 非正規であっても被保険者(短時間労働者除く)であれば含む



▷労務手続きの電子申請義務化


2020年4月から、特定の法人の事業所が社会保険・労働保険に関する一部の手続きを行う場合について、電子申請が義務化されました。
この改正のポイントは大きくわけて2つあります。


第1のポイントは、「特定の法人」が対象になることです。具体的には、「資本金等の額が1億円を超える法人」です(その他にも相互会社などが対象になりますが省略します)。
「1億円」ではなく「1憶円を超える」に注意が必要です。


第2のポイント「一部の手続」とは何かということです。
健康保険・厚生年金保険については、算定基礎届・月額変更届・賞与支払届です。
労働保険については、継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する年度更新などの申告書です。
雇用保険は、資格取得届、資格喪失届、転勤届、高年齢雇用継続給付支給申請、育児休業給付支給申請です。
改正の背景には行政手続コストの削減という目的があります。


▷計画的な対応を(2022年4月1日版・2022年10月1日版・2024年10月1日版)

以上の各項目の中には、計画的な対応を要するものが多くあります。

例えば、ベンチャー企業の場合などは 、一気に従業員数が増加することがよくあります。結果として、対応が後手に回ってしまうというコンプライアンス上のリスクがありますので、従業員が30人規模に達したあたりから、できれば社会保険労務士のアドバイスを受けつつ、各項目につき前倒しで準備をおこなっていきましょう。

さらに順次施行される項目についても、施行日よりも数か月前から準備を始めなくてはいけません。そのため、未来バージョンの表も載せておきます。ぜひご活用ください。

note.本文用 ②労働者数別義務表
note.本文用 ③労働者数別義務表
note.本文用 ④労働者数別義務表


それでは、次のnoteでお会いしましょう。
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