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血縁関係のないじいと2年間ルームシェアした私が感じるオンラインとオフラインでの交流

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コロナによって人と人との交流は極力控え、不要不急の外出が叫ばれている今、オンラインでの交流や事業のオンライン化を皆さんが急速に進めています。そんな渦中だからこそ、今一度、私の経験から物理的な、人間的な交流について考え直そうと思い、筆をとりました。(あくまで1つの意見であることを、理解しながらお読みください。)

背景

学生時代、私はあるきっかけから血の繋がりのないおじいちゃんと一緒に住むことになりました。そのおじいちゃんを私は「じい」と呼んでいます。じいは元々、奥さん、娘2人の4人家族でした。子供が独立した後、奥さんと仲良く暮らしていましたが、奥さんに先立たれ、家族用に買った家で1人で暮らすことになりました。一度は、マンションを娘の家の近くに購入し、引っ越しを考えましたが、近隣の方との交流や土地感もある今の街を離れることはしませんでした。娘にこんなに部屋余ってるんだから、学生でも受け入れればいいじゃないと言われ、そこに転がり込んだのが大阪から東京に進学した私でした。

私の親世代には、日本でも大家さんが寮母さんとしてご飯を提供してくれる下宿という文化が存在し、上京してきた学生が家の一部を間借りするということが行われていたそうです。しかし、現代では、そういうスタイルはめっきり減り、昔の下宿屋と呼ばれるものはマンションやアパートに建て替えられることが増えていったようです。

今日の学生の1人暮らしといえば、賃貸不動産でマンションやアパートを借りることが一般的になっており、1人暮らしの中で人と触れ合うことはめっきり減っています。生まれた時からインターネットがある私たちミレニアム世代やZ世代にとって、SNSが人と繋がるためのツールであり、暮らしから人と繋がるという感覚はシェアハウスや寮に住んでいる/住んだ経験がある人を除いて、持っていないことが少ないかと思います。SNSに囲まれ生まれ育った私にとって、家から友達に繋がれることは当然で、日本から世界の裏にいる友達と繋がれることも革命的なことだとの認識も持っていません。

しかしながら、この革命的なツールは、未だある価値を補完できていないと常々感じています。それが物理的に人と人同士が交流し、目を見ながら話し、語るあの感覚です。現在、コロナの影響によりZoom飲み会やRemoが流行っています。しかしながら、多くの人がオンラインからは生まれ得ない人間的な交流の価値に気づいています。では現在のテクノロジーが置き換えることが難しい人間的な交流とは何なのでしょうか。

私はそのヒントが、私とじいの暮らしに隠されていると思います。

私とじいは、同じ家に住んでいました。それぞれ独立した部屋を持っていましたが、ご飯を食べる時、話をするときなどリビングという同じ空間を共有していました。話していた内容は、オンラインで皆さんが話している内容と何も変わりはなかったと思います。しかし、大きく異なる点がありました。それが私たち自身が内包されている空間の強制力だったと思います。

人間的な交流の必要条件

私は、私たちが人間的な交流を感じる必要条件は3つあると思っています。

それが

①あなた(読者)

②対話相手

③それらを包む空間

だと思います。同じ空間を共有し話すことと、別々の空間から繋がり話すことには外部環境をコントロールできるかできないかの点で大きな差異があります。オンラインの場合、講義が面白くなく、話を聞かないという選択肢を取る場合、ミュートボタンを押せば完結します。これは、あなたに外部環境をコントロールする力があります。オフラインの場合、対面の人の話がつまらなくてもミュートボタンは存在しません。自分を意図的にミュートモードにすることはできるかもしれませんが、相手に失礼ですね(笑) 自分はよくやっていますが...

オフラインの場合、外部環境はあなたの意思と関係なくあなたに作用しています。人はこれを刺激や驚きと呼び、あなたにコントロールがないからこそ、それを無意識に楽しんでいます。

コロナによって、私たちは突然、多くの外部環境をコントロールできる主体になりました。コロナ以前までは、私たちは無意識のうちに、少しの煩わしさから驚きや刺激をもらっていました。それゆえ、現状のオンラインでの交流に何か物足りなさを感じているのかもしれません。

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じいは、ずっと話しています。僕は、50%ぐらいは聞いていませんが、残り50%は聞いていて、その話にはおもしろさがあります。人と住むことは煩わしい部分もありますが、実はその煩わしさがコロナ下で皆さんが欠けていると感じる刺激を生む煩わしさなのかも知れません。

大阪人なので、最後に「知らんけど」をつけさせていただきますが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

三原 (ShareRo)
大阪出身。2020年 3月 東京外国語大学 国際社会学部 英語科 アフリカ地域専攻卒業。南アフリカのヨハネスブルグに1年間留学。学生時代、全く血縁関係のない84歳のおじいちゃんと2年間ルームシェアを行った経験から、ShareRo (シェアロ) - ビビッとくるルームメイトマッチングを事業化。現在、ShareRoチームは、4人です。(自分、エンジニア(DENSO)、共同創業者(Abeam)、PM(Gaiaxインターン)で活動中。今年の7月から正式にGaiaxの事業としてジョイン。

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