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オンラインで人を巻き込む、うまいやり方。

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今までの世界。人が集まるのはリアルが中心でした。
...しかし。コロナの流行を経て、活動の輪はオンラインへと移行しつつあります。

Peatixが行った、「オンラインイベントに関する調査(2020)」によると、2,000人のアンケート対象者のうち、約7割が「コロナ後」もオンラインイベントを開催すると回答。

バーチャルへのトレンドが一過性のものでないとすれば、いかにして「オンライン」の世界で人を集め、スクリーン上の交流で満足な時間を過ごしてもらえるか。そんなスキルを、新たに意識して養っていく必要がありそうです。

そこで今回は、場づくりのアドバイザーとして、
オンライン・セミナーのうまいやり方」の著者でもある、
高橋 龍征(たかはし たつゆき)さんにお話を伺いました。

場づくりをやるに至った経緯

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高橋 龍征 (たかはし たつゆき)さん
1976年江東区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、ソニー、サムスン電子や起業を経て、今は学びの場づくりやコミュニティ構築のアドバイザーなどを生業とする。
2007年に行きつけの寿司屋で偶然隣り合った客と意気投合して「ご近所会」を立ち上げ、招待制ながら数年で築地本願寺で300人規模の宴会をやるまでにした。その他、ソニーのアルムナイ発起人、早稲田大学OB会の幹事、地方創生NPOの理事も務め、コロナ後はオンライン化の知見共有facebookグループを立ち上げ、4,000人超にした「場づくりの実践家」。

まずは、高橋さんが場づくりをするようになった経緯を、お聞きしてよろしいでしょうか。

もともと、新宿に7~8年間住んでいました。歌舞伎町と新大久保の道を挟んだ、おもしろい街でして。ただ近所の友達が、ひとりもいなくて。絶対おもしろい人いるはずなのに、と思っていたんですが。きっかけがなくて知り合えなかった後悔を感じていましたね。

その後、中央区の八丁堀に引っ越して。ご近所に飲み友達いたらおもしろいだろうな、というのが動機でした。ある日、行きつけの寿司屋にいき、カウンターのとなりに座っていた人と意気投合して。ご近所会やろう、と思って始めた。なので、その二人とやったのがはじまりですね。

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そうして始まった「ご近所会」は、300人規模の宴会にまで。当時は2007年の頃で、あの規模のコミュニティにまで拡大させたのは大変だったと思いますが、どう大きくしていったのでしょうか?

そもそも、人を増やしたいわけではなかったですし、それを目的にもしていませんでした。ただ、おもしろい人が周りにいる状態にしたかった。SNSもありましたが、あえて使わなかったです。SNS上で公開にすると、誰かよくわからない人が入り込む恐れがあり、そんなことをしてまで人を増やそうとは思わなかったからです。また一緒に飲みたいと思える人を厳選したかったので、紹介というフィルタを通して、丁寧に人を集めようと考えていました。今のクラブハウスみたいな形ですね。

コミュニティにとって一番大事なKPIは、リピート率だと思っています。
「また来る」とは、どういうことか? 満足したという事実を、明確に行動で示したことになります。それを大事にしていっただけにすぎないと思います。

主催者を10年以上続ける中で、多くのコミュニティを長い間たくさん見てきました。そこで気づいた、共通の失敗パターンを「4つの死因」に喩えたことがあります。だめになってしまうコミュニティには初期段階にその原因がありますが、経験が浅いとそのことに気づかず。どういうことをするとその先どうなるかという「転ばぬ先の杖」のような意図で書いておりますので、よろしければご参照ください。

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オンラインの「チャット」を、活用する。

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「オンライン」の話に戻りたいと思います。そんなコミュニティの「死」を避けたいところですが。リアルと比べてオンラインだと、空気感をつくりづらく、困難もつきまとうかと思います。どうしたらいいでしょうか。

私は、オンラインであっても公平に意見を言えたと思える状況をつくりたい、という思いがあります。そのために、チャットの利用をオススメしています。

チャットの良い面として。まず、ハードルが低いという面があります。リアルのときみたいに手を挙げる必要もなく、声だけとか耳だけの人も参加できますし。また、同時多発的に投げ合い出せるという面も。口頭だけで話していると、基本的に1対1ずつのやり取りになりがちです。ですがチャットであれば、複数の人が同時に考えを述べられますよね。

なので例えば、まずはウォームアップに簡単な質問を投げかけてみたり。簡単にできることから始めて、準備運動をさせてから、発言する人を出させていく。これはよく使う手法ですね。

オンラインで、参加者を巻き込むさじ加減とは。

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「声だけ耳だけ」というお話もありましたが。オンラインのイベントだと、ビデオやマイクをオフにしている人もいます。どこまで参加を促すのか迷うところですが、巻き込むさじ加減はどうしたらいいでしょうか

まず言えるのは、参加者が来てからの話ではない、ということです。準備の段階で、主催者側がどういう参加の仕方をしてほしいか、案内文などの事前コミュニケーションを通じて伝える必要があります。耳だけでいいのか。マイクオンで参加が求められる場なのか。できない人はごめんなさいの場なのか。入り口のところを固め、ルールを共有しておくことからですね。

そのために工夫できるのは、例えばタイトルづくり。「ディスカッション会」とか、分かるようなものを含めておく。そのコントロールが大事だと思います。

オンラインで、参加者同士の交流(つながり)を促すには?

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チャットを利用しつつも。オンラインでは、どうしても「主催者」と「参加者」という関係性が強く意識されてしまい。参加者同士の間で活発なコミュニケーションを生むには、どうしたらいいでしょうか。

リアルだと名刺交換ができますよね。ただ、オンライン・イベントの時間内では、個々にお互い声がけするのはハードルが高いと思います。なので、個別に連絡できる余地を持たすことが必要なのかなと。

例えば、イベントの事前・事後に申し込み者のグループを作って、どんな人がいるかを見られるようにしたり。Facebookのメッセンジャーなどですね。任意でプロフィールやメールアドレスを記載してもらったスプレッドシート等を共有し、自然な形で参加者同士を見える化していければと。

また...参加する人の心理として、どんな人間が来るか分からないところに自分の情報を出したくない、と思います。なので紹介制でやることで、身元がしっかりしている人を保証することもありますね。実際に参加して、レベル感を値踏みする。その上で、仲良くなりたい人がいたときには公開する。それが人間の自然な行動で、行ってみて情報を出せる、という仕組みがいいと思います。

オンラインの場づくりを主催する上での、心構え。

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最後に総じて。オンラインでイベントをつくったり、コミュニティを運営するに当たっての、心構えなどは何かありますか。

オンラインでの場づくりに、正解はひとつではないと考えています。目的に応じて、統治の思想はさまざまあり

例えば、「立憲制」。ルールに基づいて判断を行います。例として、Facebookのグループページで、あるテーマの知見を交換し合う場を設け、人を呼び集めたとき。誰でも参加できる分、関係のない投稿や、実体のないアカウントから申請が来ることもあります。そうした際は、固定投稿に記載したルールに基づいて削除していきます。明文化された方針がないと、例え主催者であろうとも、その投稿の善し悪しを何の根拠を持って排除できるのか、曖昧となってしまうからです。主催者が法であり判断者である「絶対王政」や、運営グループが法であり判断者である「集団統治」などもありますが、この事例では立憲制で治めています。

ルールについては、参加者の関係性によっても変わります。緩くオープンな会なら細かなルールが必要ですし、同じ会社のアラムナイのような場なら、共通理解や一定の質の担保が期待されるので、あまり細々としたことは言わなくても済みます。

要は、どんな人がどんな目的で、どういう振る舞いをしたいのか。参加者が来る理由に応えていくことが、一番のベースだと思います。そうすることで、その人の嬉しさにどうつなげていくのか。構造とかルールから始めていくことよりも大事ではないか、と思っています。

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