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【シェア街インタビュー】シェア街で掴んだ、オンラインでの地域創生の可能性 宮城県でまちづくりのNPOを主宰するスガワラカズスギさん

東京から地元へUターンして、現在は宮城県色麻町(しかまちょう)でまちづくりの活動に携わる、シェア街関係住民のスガワラカズスギさん。
シェア街住民同士での交流や、コロナ禍になって新たに見出した新しいまちづくりの可能性についてお話を伺いました。

おいでよ色麻町~シェア街が結んだ出逢い~

現在の仕事や活動について教えてください

宮城県色麻町の社会福祉協議会で働いています。その傍ら、まちづくり系NPO法人である「ルネッサンスファクトリー」を主宰しています。活動内容は、色麻町のPRと、地方における人口減少の抑止や移住の促進などです。

NPO法人の活動とシェア街の関わりについて教えてください

NPO活動の東京拠点として、シェア街のリアルきょてんであるLittle Japanを利用していました。Little Japanではよく地方関係のイベントが開催されているので、私もそこで小さなイベントなどを何度か主催しました。そこで参加者と出会ったり話をしたりして、いろんなコラボが実現できました。この法人のロゴは、仙台で知り合った友人に作ってもらったのですが、その方もシェア街にいますよ。

ほかにどのようなコラボができましたか。

私があまりにも色麻町、色麻町というものだから(笑)、興味を持ってくれた方が実際に色麻町を訪れてくださいました。最初は2018年に観光ツアーみたいな形で。色麻町のシンボルであるカッパを祀った神社や温泉に案内したり、料理好きなおばさんに、手料理を振る舞ってもらったりなどをしました。

地元のおばさん(笑)。それはどういういきさつで実現したのでしょうか。 

おばさんに「今度こういうことをやるんだよ」とお話ししたところ、「なら、私の料理を食べてほしいわ」という流れになって(笑)。
温泉や名勝地を訪れるのもいいけれど、最も印象に残るのはやっぱり「人」だなと思うので、お願いすることにしました。
お豆腐屋さんをされているので、食材はお豆腐が多かったんですが、例えば春だと菜の花、フキノトウというふうに、その時期、その地域に自生している植物を料理に使うので、本当に面白いと思います。

2019年4月には、私のNPO法人としての活動が色麻町内で少しずつ知ってもらえるようになっていて、商工会から依頼を貰い、Little Japanで知り合った6名を色麻町に講師としてお招きしました。「多拠点居住によって人々の交流を促して、地方創生を進める」というようなテーマでプレゼンなどをしていただき、夜は懇親会もさせていただき、盛り上がりました。

だったら自分が動くしかない!~NPO法人立ち上げのきっかけと、シェア街との出会いまで~ 

シェア街での繋がりを、NPO法人の活動とうまくマッチングさせた好事例ですね。スガワラさんがまちづくり系NPO法人を立ち上げたきっかけはなんだったんでしょうか。

大学進学を機に東京に行き、10年ほど過ごしたあとに、家庭の事情で地元の色麻町に戻ることになりました。29歳のときです。東京にはそれなりに友達がいたのですが、急に帰ってきたので、ふとした時に飲む相手が地元にいない。地元には意外と良い店もあって、「連れて行ってあげたいな」「みんな色麻町にくればいいのに」と思ったのがきっかけです。

当時は高校の臨時講師をしたり本屋をしたりしていたのですが、そんなときに3.11が起きました。当時はあまり意識していませんでしたが、やはりいろんなものがなくなったり価値観が変わったりして、精神的に影響を受けました。「世の中こうだったらいいのに」「この街がこうだったらいいのに」と思い続けているうちに、「思うだけだったら虚しいままだし、だったら自分で動くしかない」と思い立ちました。

でもいざ動こうとしても、どうしたらいいのかわからない。そのため、もう一度東京に行って、本屋で働き始めました。その頃はちょうど震災の関係でNPOが注目され始めていた頃で、NPO関連の書籍やマニュアルがたくさん並んでいて、そこでNPOについての勉強をしました。その過程で徳島県神山町のプロジェクトを知り、こういう二拠点ができる時代なんだなと感じて、自分でもこういう団体を作りたいなという方向性が少しずつ固まっていきました。

そして実際にNPOについて学ぶため、2015年に仙台市の復興支援に関するNPOで働き始めました。組織の在り方を学びながら、自分でも立ち上げることにしたんですが、いざやってみると凄く時間と手間がかかることがわかりました。平日の昼間に役所に何回も行かないといけないし、働いたままではとてもじゃないけどキツイ。結局そのNPOは1年で辞めました。
夜にコンビニでバイトしながら、日中はNPOの立ち上げに奔走して、2017年にようやく設立しました。

きっかけは「みんな来てほしい」というほんの些細な思いからでしたが、立ち上げにも大きな苦労があったのですね。その後の活動は順調だったのでしょうか。 

やはりお金の面では大変なことが多いですね。NPOの活動をする時間を確保しないといけないと同時に、食べていかないといけない。
どうしようかと思っていた時、東京で出会った同じ宮城県出身の床屋の人が、「やっぱり自分の店だけの収入だとつらいから、1週間か10日、東京でバイトしようかと思っている。東京は時給が高いので、1週間稼げばこっちの20日分くらいになるから」と言っていて。「なるほど、東京である程度まとまって働けば、地元でNPOに専念する時間ができる」と思い立ちました。

そこで、昔バイトしていたお店に連絡して、「月の半分くらいしか勤務できないが、雇ってもらえないか」と伝えたら雇ってくれることになりました。そこで月15日間、忙しいときは17日間くらい働きました。その稼ぎで、色麻町で暮らす1ヶ月分くらいになるので、東京って本当にすごいなと思います。

でもそのときに問題となったのは、やっぱり泊まる場所でした。最初の1ヶ月は親戚や友人を頼っていましたが、さすがにずっとお世話になるわけにもいかないので、ゲストハウスとか、安そうなところをいろいろと探しました。そんなとき、Little Japanというゲストハウスに年間パスがあるということを知り、「何これ、安いじゃないか」と申し込んだのが、2018年4月です。Little Japanとの出会いで、ようやく東京での足場ができました。

ここでようやくLittle Japanと繋がったんですね。コロナ禍の現在、NPO法人の活動はどのようになっているでしょうか。

周囲の状況もあって、コロナ禍になってからはずっと色麻町にいます。なかなか東京に行けていません。そのかわりシェア街では、オンライン拠点の「くうそうcafe-bar_engawa」に立ち寄ることがあります。そこでいろんな人と話をするのが最近の楽しみです。

コロナ禍の間にZOOMの質もずいぶんと良くなりました。タイムラグも感じさせず、本当にそこにいるような感覚になります。色麻町に住んでいても気軽に、遠くに住んでいる人と話すことができる。それがとても楽しいです。 

東京にいながら地方のまちづくりもできる?~見出した新しい地域創生の可能性~

コロナ禍の現在、なかなか思うような活動ができていないとのことですが、シェア街での活動が活きていることは何かありますか。

シェア街のイベントに色々と参加させていただいて、オンラインのイベントの運営の仕方が少しずつ身についてきました。自分でも、こうすると楽しいなというのが分かってきたので、自分が主催するときの参考にさせていただいています。
コロナになってから思うような活動ができず焦りはありましたが、オンラインでの情報のやりとりが進んで、コロナ禍であっても、交流イベントができるんだという可能性を与えてもらいました。
例えばリアルだと、席が遠い人はあまり印象に残らないことがあります。でもZOOMだと1画面にみんな映るので、顔を平等に見ることができ、人の顔を覚えやすい。それに、わりとざっくばらんに話せるので情報も出やすいし、アイデアも出やすい。誰がどこにいても、アクセスさえできれば、すぐに話が聞ける。運営の打ち合わせでも、逆にスピード感が良くなった気がします。

スガワラさんが思い描く、これからの活動の方向性はどのようなものでしょうか。

今後の私の願望、目標でもあるのですが、東京にいながら地方の街を一緒に作るというような楽しみ方ができればいいなと考えています。
まちづくりシミュレーションゲームに「シムシティ」というのがあるのですが、それみたいに、色麻町というゲームの世界を、遠方に住むプレーヤーたちそれぞれがまちづくりしていく。私からイベントのアナウンスをすると、日本中のあちこちに住んでいるプレーヤーが参加して楽しむことができる。
そういうことができれば良いなとずっと思っていましたが、シェア街のイベントに参加しているうちに、本当にできそうだという手応えをつかめるようになってきました。

NPO法人の立ち上げから現在に至るまでのスガワラさんの行動力の素晴らしさに驚くばかりですが、その行動力の源はなんなのでしょうか。

私、思いついたらすぐ動いちゃうんですよ(笑)。
それは良いところもあれば、悪いところもある。けれど、私は基本的に口だけの人があまり好きではなくて、「自分で言っちゃったからにはやらないと」という気持ちがあるので、それもあって行動に移すことを強く意識しています。

最後に、住民の皆さんやこれから住民になりたいと思っている人にメッセージをお願いします。

すでに出来上がっているコミュニティに入るというのはハードルの高さを感じると思いますが、ここにはいろんな人がいて、いろんな活動があります。勉強になる真面目な場もあれば、他愛もない話で何時間も喋れる気楽な場もあります。シェア街は、空想の世界にリアルで生きていられる感覚、本当の街なんじゃないかなという感覚が魅力かなと思います。ぜひ住民になって、気の合う人を見つけていただいて、いろんな広がりを手に入れて欲しいなと思います。
あと、私がシェア街で何かをやり始めた際には、ぜひ遊びに来てください!

執筆:rokube

編集:はやかわ英明

写真:提供写真


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