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【シェア街きょてん紹介】クリエイティブラボ・軍司成美さん「面白いものづくりができる、と思ってもらえる場に」


“クリエイティブ”というと、自分には関係なさそうとか、敷居が高いなどと思いがちです。また、SNSなどで誰でも気軽に発信できるようになって、何となくデザインや動画制作に興味があっても、何から手をつければいいかわからないという人も多いのでは、と思います。シェア街のきょてんのひとつである「クリエイティブラボ」は、そんな人が第一歩を踏み出せる場所、経験者であっても情報共有や仲間とのつながりができる場所、となっています。主宰する軍司成美さんにお話を伺いました。

シェアハウスのような雰囲気に惹かれて

まずは軍司さんのお仕事やこれまでの経歴などを教えてください。
軍司さん:3DCGのアニメーターの仕事をしています。わかりやすく言うと「トイストーリー」のような作品でキャラクターを動かすことをしています。

小さいころから外で走りまわったり、動物園に行ったりすることが好きで、動くものや人の表情・仕草などに興味を持っていました。それから、親の影響で昔からゲームが好きで、特に「マリオ」シリーズや「ゼルダの伝説」などのアクション系のものでよく遊んでいました。キャラクターを走りまわらせて敵を倒したりして、一日10時間くらい熱中している日もありました。
そんなことからゲーム業界で働きたいと思って専門学校に入って、当初は全般的に勉強をしていたのですが、だんだんと3Dデザインのアニメーションを動かすことに興味を持っていきました。卒業後はデザイナーとして、3Dのモーション制作に携わってきました。

シェア街にはどのようなきっかけで入ったのですか?

軍司さん:以前からコミュニティに入りたい、と思っていろいろと探していたのですが、そのときにシェア街のクラウドファンディングをたまたま見つけました。オンラインとオフラインとで街を作り上げていくということが、他にはない変わった取り組みだなと思い、興味を持ちました。

以前、2年ほどシェアハウスに住んでいた時期がありました。職場と家が離れていたので最初はセカンドハウス的に、安いしとりあえず借りてみるか、という感じだったんですけど、そこにいたメンバーに面白い人が多かったんです。
鍋を囲んだり、みんなで銭湯にいったり、一晩中映画を見ながらおしゃべりをしたりと、行動力があるメンバーに巻き込んでもらって楽しく過ごせました。

最後の半年は管理人を務めさせてもらって、住人の悩みを聞いたりもして、とても好きな場所でした。そんな雰囲気って学生のときしか味わえないと思っていたんですけど、社会人になってからも友達以上に仲の良い間柄を築けるのが素敵だな、と思いました。

今は結婚しているのでシェアハウスで生活することは難しいのですが、シェア街の中にシェアハウスのような空気が感じられて、「もうあの頃には戻れないけれど、あの雰囲気をまた味わえれば」と思って参加しました。私はオンラインでの参加がほとんどですけど、例えば「くうそうcafe-bar_engawa」というきょてんでみんなでワイワイ楽しむ様子などは、あの時の空気に近いものを感じるので好きです。

まずは趣味を増やすような気軽な気持ちで

それではクリエイティブラボについて教えてください。どのような経緯で始まったのですか?

軍司さん:クリエイティブな人を応援するという趣旨で、主な活動としては、もくもく会、デザインを勉強するワークショップ、Slack上での情報発信や共有などをしています。

私がシェア街に入ったばかりの頃、大塚誠也さんが「クリエイティブな方面を盛り上げていきたい」と話していて、私もそれに賛同してふたりで始めました。デザイナーなど、実際に何かを作っている人たちで集まって刺激し合えたらいいよね、という場所にするつもりで、そこにデザインをやったことがないけれど興味がある人とかが参加してくれる流れになると嬉しいな、と考えていました。自分のことを「クリエイティブではない」と思っている人に、クリエイティブなことに興味を持ってもらおう、という思いもあって、例えば、スマホでビデオをつくるツールがあるから一緒にやってみよう、というように、趣味を増やす感覚で、きっかけをつくる場にしたいと思っています。

活動内容を教えてください。

軍司さん:もくもく会は毎週水曜日に開催していて、Zoomをつないで各自が“黙々”と作業するという会です。
基本的な流れは、21時に集まって最初の10分で今日やることを各々がクリエイティブラボのSlack上で宣言して、それから作業時間に入ります。途中に休憩もはさんで2時間、それぞれが自分の作業をして、最後に成果をSlackで報告します。

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「集中したい」という共通の目的を持った仲間がいる環境なので、一緒に作業することで効率を高めることができると思います。Zoom上で、マイクをミュートにして作業をしているみんなの姿を見ると、「自分も頑張らなきゃ」となります(笑)。

黙々と作業している日もあるんですけど、別に厳密なルールを設けている訳ではなくて、作業時間中でも「アイディア欲しいです~」って声があがると、みんなでそれに応える、ということもあります。
この前は学生向けの卒業アイテムってなんだろうってことを、ずっとみんなで話していました。engawaみたいにおしゃべりが盛り上がる日もあって、前は指輪のデザインの話とか、指輪を買うときのストーリー性の話とかをしていました。
そのあとは「放課後ラボ」という形で、作業したい人は引き続き残って、おしゃべりを楽しむことがあります。

ワークショップは以前、誠也さんが“デザイン基礎講座”ということで、デザインの4原則をテーマに開催してくれました。どうすればきれいで見栄えのいい資料がつくれるかや、何かをデザインするときに気をつけた方がいいことなどを、実際に仕事でパワーポイントを使っている人と情報共有しました。


私としては今後、「ストーリーテリング」のワークショップをやってみたいと思っています。アニメーションを作るとき、キャラクターがどんな動きや仕草をするのかを考えるためにストーリーテリングという手法を使います。
「そのキャラクターの趣味は何か?」「好きな色は?」などといった問いから背景を掘り下げて、人物像を膨らませていきます。ピクサーが出しているストーリーテリングの資料を使って話をする予定です。

https://keystory.jp/category/storytelling/pixar-storytelling/

情報共有については以前、大学で講師をしているシェア街主宰の柚木理雄さんが、「学生におすすめのデザインについての本を教えて欲しい」とSlack上に投げたところ、みんなが「これ、いいですよ」という感じで情報をシェアし合いました。他にも、「本が安売りしているよー」とか、フリー素材や気になった記事などを随時シェアしています。

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きょてんの楽しみ方を教えて下さい!

軍司さん:今後は積極的にワークショップを開催していく予定です。
まずは気軽に体験できる場を作りたいと思っていて、例えば旅行先の工房でトンボ玉とかガラス細工を体験できるところがありますけど、初めはそんな感じで気軽に参加してもらいたいです。純粋に楽しむところから入ってもらって、それから一緒に情報共有をしたりビデオを作ったりなど、踏み込んだこともできれば嬉しいと思っています。

最近だと、ボールペンでかわいいイラストを描くための教則本が売っているので、手帳とかに自分で描いた絵を添えるだけでも楽しくなるのでは、と思っています。それまで既製のシールでのデコレーションしかできなかったところから、ボールペンで自分でイラストを描くというような感じで、デザインを学ぶことで日常生活で色々な楽しみ方ができるのでは、と思っています。

また、家にいる時間が増えたという人も多いと思いますが、部屋のレイアウトを考えることにも、デザインや色彩の知識が役に立つと思います。私自身、デザイナー経験が意外と日常のいろんなところに役立っているな、と感じています。

やりたい気持ちに応える場に

クリエイティブラボには、どんな人に来てほしいですか?

軍司さん:私はクリエイティブラボを、来る人のやりたいものややりたい気持ちに応える場にしたい、と思っています。
私は3Dのアニメーション制作を専門にやっていますが、学生時代にはデザインに関して一通り勉強をしていて、2Dのイラストの仕事にも携わっていたので、イラストや広告デザインなどにも幅広く対応できると思っています。
「寄木細工をしたい」と言われたらちょっと厳しいですけど(笑)、でももしそういう希望が出たときであっても、「学べる場所やワークショップを探しましょう」というように、できる方法を一緒に模索したいと思います。

机上で学ぶというよりは、実践的に動けた方が楽しいと思っていて、縛りを作らずに柔軟に対応していきたいです。そうして、ものを作り上げて達成感を持ってもらうことで、モチベーションが上がると思います。今のところ、クリエイティブラボの紹介動画などもないので、一緒に作るメンバーができたら嬉しいです。

今後の具体的な予定と、どんなきょてんにしていきたいかを教えてください。

軍司さん:ストーリーテリングの資料は作ってあるので、4月中にはワークショップを開催できると思っています。それ以降も、ワークショップを月1回くらいできれば、と思います。あと、もくもく会は毎週開催する予定なので、他のきょてんで活動されている方で、「一緒にアイディアを考えてほしい」という時にはぜひ覗いてほしいです。

また、「クリエイティブラボに行ったら面白いものがつくれる」と思える場所にしていきたいです。いろんな人が出入りして、「あそこに行けば、面白いアイディアに出会える」「面白いものづくりができる」と思ってもらえるような。
一緒に切磋琢磨できる仲間も見つかるし、趣味で楽しみたいという人もいて、「色々な人がいるから自分も感化されて成長していける」と、みんなが思えるような場所にしていきたいです。

【クレジット】
編集:Atsushi Nagata Twitter / Note / Youtube
執筆:早川英明 Note
写真:提供写真

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