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オールタイムベストアルバム 50[note 300回投稿記念]

note300記事目はここ最近タイムラインを賑わせていたオールタイムベストアルバムを。平成ベストアルバムや2010年代ベストアルバムも決めたけど、それを踏まえたうえでもう1度フラットな気分で50枚を選出し、そのバンド/アーティストを聴き出した順番に並べた。つくづく、世間のオールタイムベストとは乖離してると思いつつ、こういう圧倒的に主観で個人的なものこそ記録しておきたいのです。

1.BUMP OF CHICKEN『jupitar

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2000年代以降のロックバンドたちを語るうえで、"線の細さ"と"信者"という切り口っていうのが絶対にあると思うのだけど、その大ボスが2002年に投下したメジャー1st。孤独と向き合い、自らの実存性について自問自答し続けている藤原基央の「天体観測」周辺の感情が渦巻いている。「メロディーフラッグ」がとても好きだ、いつ聴いてもその切実さに身震いをしてしまう。


2.ASIAN KUNG-FU GENERATION『ワールド ワールド ワールド

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2008年の3作は全て屈指の名盤揃いでどれを選ぶか迷ったのだけど、塞ぎ込んでいた季節を通過して、「新しい世界」へと突入せんとする冒険譚のような今作を。セッションの果てで手にした多彩なサウンドで描き出す世界と自分の在り方を探る心の旅。夜~朝へと時系列で辿り、徐々に開け放たれていくコンセプチュアルな作風は、血の通ったメッセージを伝えるのに最適。


3.Mr.Children『I♡U

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ミスチルの何を選ぶかって色々迷う所ではあるけど、単純に好きな曲が1番入ってるのを。途方もないスケールに及んだり、ものすごく密接になったり、この膨張と収縮をポップミュージックにぐいぐいに詰め込んである。常々、破裂しそうな緊迫感と身を委ねられる柔らかさが折衷したバンドであるが、その均衡状態が最もギリギリに保たれているような黄金律の1作だと思う。

4.レミオロメン『HORIZON

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2000年代前半のfromライブハウスなロックバンドで、唯一お茶の間へとダイブして成功した彼ら。ポップソングとしての強度を高めた、筆走りすぎな小林武史の華やかなプロデュースも、状況を加速させる追い風として作用している。終盤、「粉雪」を挟む2曲「紙ふぶき」と「流星」が特に素晴らしい。彼らの本質は、空気感を立ち上げる風景描写であることを強く示す。


5.フジファブリック『CHRONICLE

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志村正彦・存命時のラストアルバム。パワーポップを主体としたシンプルなアレンジが際立った一作。ナイーブな心情吐露が生々しく綴られた歌詞も、過去作と比べると強い人間味を与えてくれる。派手さはないのだけど、「同じ月」とか「バウムクーヘン」みたいな、キュンとなるメロディで普遍的なことを歌う姿もフジファブリックがこの後に引き継いでいく魅力の一つだ。

6.ストレイテナー『TITLE

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今でこそ人間味たっぷりのイケてるおじさんたちという印象だけど、初めて聴いた時は歌ってる事象の曖昧性や抽象性ゆえにすごく幻想的で尖ったロックバンドってイメージだった。そんな時期、溢れるアイデアを3ピースの熾烈な演奏で構築したエネルギッシュなメジャー2nd。2020年には4ピース体制で全曲再現するオンラインライブを開催するなど、耐久性の強さはお墨付き。


7.GOING UNDER GROUND『かよわきエナジー』

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カントリーロードをがっつり引用して許されるの、彼らくらいだよなぁと感嘆せざるを得ない。青き日々の欠片たちがほろほろと零れ落ちてきて思い出のくすぐったいところに辿り着いてくる。独り暮らしを始めてから聴き狂っていたのは寂しさの現れだったのかも。マックスバリュで買い物した帰り道、夕暮れ時の町外れで聴いた記憶。佐賀の田園風景が目に浮かぶ。


8.ELLEGARDEN『RIOT ON THE GRILL

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今に至るまで、自分の中ではパンクロック=エルレという図式で固定されすぎているくらいには絶対的なレジェンド。シーンを駆け上がっていく中で届けられた4th。どこまでもヒロイックでマッチョな在り方を我々に見せてくれながらも、思い悩んだ内情も明け透けにしてドキュメントで在り続けた彼らの、最高潮の記録。情けなさすらも直線的なサウンドでぶん投げてくれる。


9.マキシマム ザ ホルモン『ぶっ生き返す!』

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劇画タッチのフリして実は赤塚不二夫・作みたいなところが可愛くて堪らないバンドだ。彼らを知ってしまうと、他のラウドバンドだとどうも物足りなく。そのハイカロリーで脂ぎった楽曲に、日本語の響きに新たな命を吹き込む歌詞、そしておもしろ至上主義なとこ。「ぶっ殺す」の真逆をタイトルに冠した、地獄の底からポジティブへ、みたいなスタンスもカッコ良すぎる。


10.BEAT CRUSADERS『popdod

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覆面パワーポップバンド、最後のオリジナルアルバム。このリフ、このクラップ、あのシンセ、みたいにアガるポイントがそこかしこに用意されてずっと気持ち良く聴ける。当時のシーンの中では楽しい兄貴分的なイメージだけど、圧倒的に若々しくてキュートなサウンドメイク。「BECAUSE」とか「WINTERLONG」みたいな切ない曲がどっと増えたのもツボだった。

11.RADWIMPS『RADWIMPS4〜おかずのごはん〜

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新しい言語感覚の獲得とそれを乗りこなすグルーヴ、そこにエモめな恋愛観を搭載することでRADWIMPSはティーンのプロップスを獲得した、、と書くとなんだか皮肉を書いてるようだけど、愛情についての言及を歯切れ良く、刷新された語彙で行うというその姿勢自体が画期的だし誰も追従できていない強み。野田洋次郎の大喜利的センスとそれを成立させる切迫感の配合。

12.Base Ball Bear『(WHAT IS THE)LOVE & POP?

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輝かしいタイアップラッシュ、その先で待ち受けていたはずのキラキラの未来から少しズレて到着したのは、過去と今を往来しながら自問自答し続ける、小出祐介の心象映像だった。<100があるなら100が欲しい>彼の、<一生消えぬ感覚>のストイックな追求。それがラブであり、ポップであることに帰結していくからベボベって本当に面白い。ついていきたいと思えるのだ。



13.チャットモンチー『耳鳴り

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アルバムタイトルでのオールタイムベストでは。こう名付けるに相応しいヒリヒリ感がある。クラスの隅っこで滾らせる思いを炸裂させた等身大で鮮烈な楽曲たちは、ガールズバンドという存在を再定義し、後世へと計り知れない影響をもたらした。個人的には女の子の恐ろしさみたいなのを教えてくれたな、<だからあなたは私を手放せない>ですからね、<だから>の怖さよ!


14.シュノーケル『EQ

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これぞ!っていうキャッチコピーが無いと売れづらい風潮は2000年代ずっとあった気がして。勢いづく同世代バンドの傍らで"妄想系ロック"であったり、"3人とも眼鏡"であったり、迷いながらもメジャーで試行錯誤を続けたその結晶。ナードかつ繊細な心情を幅広いアレンジで見せるバラエティとアイデア豊かな12曲。西村晋弥を喉から絞り出すような歌い方がとても好きだ。


15.くるり『言葉にならない、笑顔をみせてくれよ

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タイトルをどこで区切ればいいんだろう、とずっと考えてる。「言葉にならない笑顔」を「みせてくれよ」と言っているようにも聴こえるし、「言葉にならない、、」と感情を止めた後、「笑顔をみせてくれよ」と語りかけているのか。実際はどちらでもいいのだけど、そういう、会話を交わし合う中で芽生えた、"違うんだけど、まぁいい"みたいな間隔が詰まっていると思う。


16.スピッツ『とげまる

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スピッツが2010年代に発表した4作の中で最古の1枚。来るべき新時代に向けて、なんて意気込みをするまでもなく、当たり前のようにスピッツをスピッツらしく磨いてある。「とげ」で「まる」、この4文字だけでバンド像を確実に言い当てている凄み。春めいた2曲に挟まれたシューゲイザー「新月」など、その曲順の妙味も美しい。「君は太陽」で締めくくられると、泣く。


17.サカナクション『834.194

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キャッチーの限りを尽くしたDisc1(東京盤)のこってりとした聴き心地は、Disc2(札幌盤)の五臓六腑に染み渡るような叙情を一層引き立てる。6年かけて丹念に練り上げた内側も外側も全てを見せつける音楽。東京-札幌間の"距離間"を心理面と音楽面のどちらにも落とし込み、曲の振れ幅へと転化させた。興奮と静謐、熱狂と侘寂、どこをとってもサカナクションでしかない。

18.the pillows『PIED PIPER

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avex移籍後、人気上昇が止まらぬ状況下で届けられた15th。「Ladybird Girl」「Tokyo Bambi」「New Animal」というタイプの異なる3つのシングル攻勢だけでも極上の仕上がりだったけど、アルバム曲がどれもハイクオリティ。胸キュン率なメロディに誘われてオルタナティブロックの深淵へと辿り着く。こんな風に騙されるなら悪くない、と思える不敵でやんちゃな音楽。


19.monobright『monobright two』

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「アナタMAGIC」や「あの透明感と少年」のようなポップに弾けるナンバーもあれば、「踊る脳」や「WARP」といった変態的でストレンジな曲もあり、「涙色フラストレーション」や「別の海」といった聴かせる歌モノもある。多面な人間味がそれぞれの曲を貫き彼らのカラーに染め上げる。ラストの「歌も僕との妄想」「music wonder」で溢れ出す音楽愛にもグッとくる。


20.相対性理論『シンクロニシティーン

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真部・西浦がメインコンポーザーを務めていた初期3部作の完結。よりクリアになった音像で繰り出される奔放なアレンジメント。言葉遊びとディストピア感に終始する歌詞。3作通して見えてきた、このバンドの“見えなさ”にも拍車がかかりきる。タイトル通り、何かと調和するイメージも湧く作品だ。それがあの娘か、終わりゆく世界か、それとも銀河か。未知なる聴覚体験。


21.NICO Touches the Walls『勇気も愛もないなんて

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キャッチーさと、自分たちの見せたい核の乖離をシングル/ベスト盤を通じて格闘し、ドキュメント化してきた2013~2015年。最古のシングル「ニワカ雨〜」にある《愛を歌わなくちゃ 想いが歪んでしまう前に》のフレーズへと収束して行く構成が見事。最後に苦み走った切ないタイトル曲がずしりと余韻を残しているのも胸を打つ。ニコが自然体になりつつあった季節の作品。


22.ねごと『SOAK

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前作『ETERNALBEAT』で開花したエレクトロニカ/ダンスミュージック方面へのアレンジにより深く向き合い、更に自在に操るようになっている。静かに滾る熱を内に秘め、バンドサウンドとも滑らかに融け合いながら、驚異の浸透圧で心の奥底へ流れ込む。ずっと没入しまいたくなる、そんな心地良さに到達したねごと。美しさを突き詰めた結果、本作は潔い完結作となった。


23.andymori『andymori

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一発目のドラムの音でブチ上がらない人間なんている?!剥き身ですっ転がり続けるロックンロール、野性を迸らせて輝くゼロ年代最後の奇跡だ。激しく苛立ちを募らせる面も、牧歌的に流れゆく表情も、どちらも彼らの等身大であり、鳴らしたかった姿なのだろう。もう居ないバンドだけど、再生すればテイクイットイージーってまた同じ声で繰り返してくれるんだろうね!



24.東京事変『大発見

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ラストアルバムであったが現時点では最新フルアルバム。この後に、各メンバーが広げていくフィールドを予見するかのように圧倒的な個性が記名された音楽体験が押し寄せる1枚。一方、2011年真っ只中の言葉には時代性が反映され、これ以降の椎名林檎ワークスにおける生の肯定、自我の再起に繋がってゆく重要作。「21世紀宇宙の子」が鳴り響く未来を想い、噛み締める。

25.小沢健二『LIFE

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90年代の大半をバブバブ言いながら過ごした身としては、その世代というのを感知するのがなかなかに難しく。しかし、エヴァとオザケンには当時のフィーリングが真空パッケージされている気がして。バブル崩壊の先で繰り広げられる軽やかな恋愛模様、そのまま人生観へと接続していく切実な筆致は、不安定な今を生きる僕らにも届く。このウキウキはハリボテじゃないよ

26.星野源『エピソード

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2011年の3月に「くだらないの中に」がリリースされたこと、偶然なんだろうけど、やはり大きな意味を感じる。<僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたい>というフレーズは今では別の大義を持つけど、当時はこの作品を貫くテーマとして温かく鳴り響く。フォーキーな質感を大事にしつつ、今に通ずるグルーヴも徐々に獲得しつつある。過渡期ならではの旨味。

27.モーモールルギャバン『僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ

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変態性を剥き出しにするフリーキーなバンド、、というイメージを一瞬覆しかけたメジャー2ndアルバム。テンションのイキきった曲にもどこか自己への啓示と鼓舞が踊り、神聖なキーボードの音色が彩るミドルテンポの歌モノではひたすらに内省を深めてゆく。求められている姿とは違う、という意味で真の剥き出しなゲイリー・ビッチェ(Vo/Dr)が垣間見れる一作。

28.avengers in sci-fi『SCIENCE ROCK

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<SAVE OUR ROCK/スター・ボーイはリンカーネイト/宇宙ファイルにアクション>っていう1曲目の歌い出しから少年心掴まれまくり。ピュンピュン飛び交うレーザーの如くサウンドエフェクト、銀河を疾走するようなドライブ感、SFアドベンチャーでしかない歌詞世界、オリジナルすぎて評価軸すらも宇宙の彼方へ。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」観たくなる。

29.ふくろうず『ごめんね

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瑞々しい!やけっぱちなイノセンスと狂おしい程の純情が入り乱れる内田万里(Vo/Key)の歌声は心をわんさか掻き回し、様々な感情へと連れていく。その1曲目、タイトル曲「ごめんね」は何となくふくろうずというバンドの性を端的に示していると思う。<恥ずかしい夜は抱きしめててくれよ ほんとごめんね ありがとう>、これ。切なくて嬉しくて堪らないあの季節の記憶。

30.Gotch『Can’t Be Forever Young

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ロックバンド然としたダイナミズムから距離を取り、打ち込みのビートやループ中心のギターフレーズ、アコースティックギターの音色で装飾されることで、アジカンとは全く違う種類の音楽となって放たれている。また、平熱な目線で自らの生活者としての言葉を綴った歌詞も目を引く。後藤正文の表現の引き出しの奥深さを適切な温度感で届けたソフトでコンパクトな佳作。


31.さよならポニーテール『青春ファンタジア

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形無きガールズグループの2nd。癒しのエッセンスは残しつつも、メンバーが増えたことでボーカルの折り重なりも豊潤になり、音楽性はより華やかに。つまりは実態のないアイドルとしての姿を手に入れた意欲作。首謀者・クロネコのJ-POPに対するサブカルチャー越しの憧憬が、特有のフェティシズムと共に刻印されてある。ほっこりのフリした濃い目のこじらせポップ。


32.ももいろクローバーZ『バトル アンド ロマンス

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自分がアイドルを聴くきっかけとなった重要作。今に至るまで、スターダストプロモーションのグループを偏愛し続けてるのも、このアルバムにみちみちに詰め込まれたフリーフォームなポップネスと、それでいて純真なるエンターテイメント精神の両立が、スタダにはしっかりと受け継がれ続けているから。生まれ変わったら自分もスタダに入りたいって、思いませんか、ね!


33.クリープハイプ『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ

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2012年以降のギターロックブーム、その口火を切ったメジャーデビュー作。鬱屈した毎日を金切り声で叫び続けたインディーズ時代の名曲たちが、容赦なく押し寄せる。緩急ありながらも、どれも今しかないという鬼気迫った12曲。フェス的な快楽からは遠いはずなのに四つ打ちバンドの筆頭になったり、この後待ち受ける怒涛の活動を目前にした、ギラついた視線を感じる。



34.赤い公園『THE PARK

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バンドとしては通算5枚目、ところがボーカル交替後としては最初だし、ほぼセルフタイトルな題も相まってデビュー盤のようなフレッシュさ。歪な程の振れ幅の中で常に良い歌と良いプレイが鳴り続ける充実の11曲。表現力を伸ばし続ける新ボーカル石野理子が鉄壁のグルーヴと混ざり合い生まれた新しい初期衝動。バンドストーリーと連動するように全方向へ輝きを放つ。

35.パスピエ『演出家出演

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匿名的な存在からメジャーへと向かっていく時期、徐々に表舞台へと開け放たれていく様子が刻まれたメルクマールな一作。ハイパーな音楽偏差値を持ち寄って緻密に構築された特有のレトロフューチャーサウンド、コケティッシュなボーカルで繰り出されるしなやかなポップソングたち、今でもライブの場で重要であり続けている曲が多いのも、良い1stアルバムの証拠だろう。


36.米津玄師『YANKEE

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架空世界の群像劇だった前作『diroama』から現実世界へと飛び込み、バンドグルーヴに接近した1作。心の内の「孤独」や「空虚さ」を引き連れて生きていくという極めて現代的な思いが作品全体を貫いている。ボーカロイド文脈とギターロック系譜を、甚大な情報量と共に交差させる手腕はこの後ポップスシーンを塗り替えた。よそ者=ヤンキーだった彼の快進撃の始まり。

37.きのこ帝国『渦になる

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このバンドは歴史を追って聴けば分かる通り、ソングライター佐藤千亜妃の魂の解放がそのままディスコグラフィーに映し出されている。その起点である本作は、未整理で混沌とした生活感情がぶつけられている。暗闇の底からじっと光を見つめているような、絶望の淵でそっと希望を摘み取ろうとしているような。轟音の中で儚げに移ろう清澄な歌声に吸い込まれそうになる。


38.ザ・なつやすみバンド『TNB!』

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大学1年の夏に聴いて、あまりのノスタルジーに発狂しそうになった思い出。彼女たちが初めて作ったという「自転車」が特に危険で。この曲のシメの歌詞がこの世のものとは思えない尊さ。<世界が忘れそうなちっぽけなことも/ここではかがやく/振り向かないよいま/あと少しくらい君と笑いたいなぁ>ですよ!読むだけで号泣。この一節はアルバム評としても機能してると思う。


39.SAKANAMON『na』

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2012年、夏フェスの興隆と四つ打ちロックと括られるシーンの盛り上がりが起こる傍で、一聴するとそこに参入していそうな雰囲気もありつつ、徹底的に自己流で借り物じゃない言葉と節回しで独自のギターロックを展開したSAKANAMON。酒と自堕落、サブカルと自意識、どこまでも僕らに近い目線から一発逆転を狙う、そのスタンスが好きだ。素っ頓狂だけどどこか熱い。

40.tricot『T H E

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複雑さや技巧性を見せるのにうってつけな変拍子を、とんでもない熱量で放出して新たなダンスビートへと昇華させた、唯一無二のバンド力を決定づける1stアルバム。疾走感や切なさといった、所謂ギターロック的な要素もふんだんにとりいれ、メロウでたゆたうようなグルーヴも展開するなどその手数も豊富。今なお先鋭的であり続ける、その資格がある初期の傑作。

41.大森靖子『絶対少女

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アンダーグラウンドは東京にしかないんだよ、と歌った彼女の音楽が僕の元まで届いてくれた。アコギを温かく聴かせることせず、意志を無加工に吐き出した歌声とともに、鋭くグサグサと突き刺してくる。神経を尖らせて拾い上げた生活の描写は無数のカルチャーの先で轟いたオリジナリティの塊。<君も可愛く生きててね>という言葉が僕の中の"女の子"を拡張させ続ける。



42.UNISON SQUARE GARDEN『CIDER ROAD

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ポップであることを突き詰めると狂気すら孕んだ過激さを帯びることがビシビシ伝わる1枚。聴いてると血圧が上がりまくり。キラキラしながらもバチバチに鬩ぎ合うグルーヴ、ストリングスもホーンもピアノも丸呑みした全部盛りなアレンジ、栄養過多だよ、、と苦笑する程にはエクストリームな62分。セカイ系を通過しながら「僕」と「君」の物語に仕上げた歌詞も素敵。


43.私立恵比寿中学『金八

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戯れ合って笑い合う日、悲しくて悔しくて泣いちゃう日、どんな日々も眩しい音楽へと変えて僕らの元へと降り注いでくる。アイドルを辞めた女の子の心情を描いた「蛍の光」を最後に置くことで、アルバム全体を泡沫の如く消えた日常のように聴かせてしまう構成もあまりにも切なくて尊い。エビ中を謳歌する日々、その永遠と刹那を表裏一体で描いた鮮烈な成長記録。


44.LILI LIMIT『a.k.a』

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彼らにとって唯一のフルアルバムとなってしまった。解体・構築を自在に繰り広げるスマートなトラックに、クールさと愛嬌を織り交ぜた詞世界、一貫して涙腺を揺らしてくるメロディの三位一体が心地良い。洗練されきったアートワークからも分かる通り、どの界隈にも属さない(せない?)異端さが強みであり、この業界を乗りこなすには歪すぎたのかなぁ、と思っている。


45.アカシック『DANGEROUSくノ一

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ウェルメイドなポップソングに、ボーカル&作詞・理姫の"夜の世界"的キャラクターと繊細な心象詞が乗っかり、独自のファンダムを作り出していたバンド。そのアクの強さは人を選ぶが、一度聞いてしまえばその人たらし的なポピュラリティに惹かれるはず。「サイノロジック」における<最高潮だと伝えたい>のエネルギーとかね、もっと愛されるバンドであるべきだった。

46.Enjoy Music Club『FOREVER

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あの娘がカラオケで歌った曲が頭から離れなくなったり、予定もなく家にいる夏休みのことだったり、目的なく夜通しお喋りしたことだったり、あぁこれ知ってる場面だなぁと、にこにことしみじみしながら聴いてしまう。ラップというものに苦手意識があったけど、そういうマインドだからこそ綴れるリリックがあり、そしてそれは狂おしい程に生活にタッチしてくる。



47.スカート『トワイライト

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黄昏という感傷にはうってつけの時間帯、春と冬という寂しげな季節をモチーフにした楽曲たちは、それぞれが違う風景を描きながらもどこか共振し合い、近いニュアンスのセンチメントを積み重ねていく。君がここにいることも、ここにいないことも、等しく切ないことである、と。あのささやかな思い出たちのようにこの作品も知らずに記憶に紛れ込んでいく(のだと思う)。



48.フレンズ『ベビー誕生!

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根っこがオシャレな人間ではないので、2010年代後半のシティポップな潮流には芯からは着いていけなかったのだけど、フレンズだけはフェイバリットになった。てかこれはタウンポップなんですよね、日常を生きる僕たちが口ずさんで輝く、そういうポケットサイズなグッドミュージック。心地よくステップを踏みながら、何となく君を思い浮かべて、少し切なくなれる音楽。



49.ナードマグネット『CRAZY,STUPID,LOVE

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過剰なまでに柔らかすぎる心、ストレス耐性なんてまるでないし、すぐに心臓キュッてなる。恋も仕事も苦痛は避けたい、でも程よく良い思いはして生きていたい。全くもって情けない、だけどもこれが僕なのです。という心象を爆音のパワーポップに乗せてオリャと放り投げてくれる。そんな僕らの特別なアンセムたち。どこまでも自分に引き寄せて自分語りしたくなる。

50.For Tracy Hyde『New Young City

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久しぶりに音楽にひれ伏す感覚を味わった稀有な衝撃作。ぶ厚いギターサウンド、ドリーミーでファンタジックな音像、発色豊かなボーカルに、ダダ漏れの詩情。お前はコレが好きなんだろ!と肩を揺さぶられているような聴き心地に酔いしれる逸品。イマジネーションを掻き回してきた。透明度の高い音像で鮮やかに色付けされた世界で繰り広げられる幾つかの恋の光景たち。


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