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2019年ベストドラマ

これを書かなきゃ2020年のドラマ視聴を始められない。2019年はとにかく秋がどうかしてるくらいの良作連発。トップ10中5本が10月クールの放送作。

10位 ブラック校則

「マイボスマイヒーロー」「Q10」「野ブタをプロデュース。」など、日テレで数々の学園ドラマを手掛けた河野英浩が担当。ゴールデン帯じゃないので決して派手ではないが、スタイリッシュなカットの数々と音楽の使い方がとても良い。何より主演の佐藤勝利(Sexy Zone)、高橋海人(King&Prince)の他愛もない駄弁りが好きすぎる。脚本は漫画「セトウツミ」の作者・此元和津也で、どうりでくだらない台詞が良い!となった。男子高校生の放課後トーク、数年前は渦中にいたはずなのにこうやって対象化されているのを見るとめちゃくちゃかけがえなかったんだなぁって。生徒達は勿論、吉田靖直(トリプルファイヤー)、星田英利、片山友希といった教師陣の芝居も絶品。あと、予告CMがイケてて観始めたので、やっぱ広告って大事なんだ、となった。 


9位 生田家の朝 2019秋(緑山家の朝)

「ZIP!」内で放送の7分尺による朝ドラ的作品、2018年に続く第2弾。脚本はバカリズム。年始の「新春テレビ放談2020」でも語っていたが、彼の創作物はコントでもドラマでも変わらず、テレビで笑いを届けるツールとして同一視されている。彼の作品の中でもとびきり穏やかで"何も起こらない"ことが特徴のこの作品。ほっこり、とも少し違う、良い風が吹いてるなぁ、みたいな心地。ラスト5回がバカリズムと平岩紙が演じる夫婦の「緑山家の朝」になり、「生田家の朝」はその世界上のZIP!で放送されるフィクションだ、と明かされたうえで、「緑山家の朝」のラストでは「生田家の朝」がテレビで放送されている、という何だか異常な構造を持った結末も好みだった。こういうの、ただの思いつきなんだろうけど妙な不気味さがあって最高なのよ。


8位 だから私は推しました

あるある笑いを盛り込んで"オタクへの愛しさ"すら表現してみせた「トクサツガガガ」も素晴らしかったけど僕はこっちをより推したい。劇中に一貫する不穏なムードは、どこか謎めき閉塞的な地下アイドルとファンの関係性を暗に示し続けてた。この愛は本物なのか、そもそもこれは愛なのだろうか。


7位 まだ結婚できない男

2006年放送ドラマの13年ぶりの続編。1クールのみの放送でも強烈なインパクトを残していた桑野信介(阿部寛)、その偏屈と皮肉をしっかりと2019年仕様にアップデートしたキャラクター造形こそがこのドラマの肝なわけで、第1話の立ち振る舞いだけでもう充分であった。登場人物たちが交流し始めてからの楽しさ、良し悪しの判定をナチュラルにかわしていく桑野の人間性など、話数の進行に従って増していく面白さは健在。ただ、逆に言えば前作をトレースしすぎな面も否めず、安定のクオリティ、という評価に落ち着いた感。最初から桑野に好印象、という点で有希江(稲森いずみ)は特徴的だったのだけど、、、とはいえ、ギリギリのラインをつきながら、優しさへと向かうクライマックスの流れはとても愛おしい。人を描いたドラマは素敵だ。 


6位 ゾンビが来たから人生見つめ直した件

2019年はとにかくNHKよるドラ枠でハイクオリティな作品が量産されていて、その幕開けを飾った一作。トレンドを押さえたテンポの良い演出と、極限状態における人間関係を、地方都市の閉塞感に落とし込んだ状況設定も抜群の味わい深さだった。ゾンビモノの幅をそっと押し広げる優しがあった。


5位 腐女子、うっかりゲイに告る。

丁寧で大きな目線を持った作品。脚本は劇団ロロの三浦直之氏。作品としては映像化されているのしか観れていないのだけど、"自らの大切なもの”を爆発させる瞬間の美しさを捉えている作品が多くて。7話、体育館のステージの上をとめどなく溢れたそれぞれの想いが、連星のように輝いていた。それを静かに包み込む最終話という流れ、この強度は信頼できる。 同クールの「俺のスカート、どこいった?」もそうだったけど、平凡な"教室"を映し出していたのも素晴らしかった。主人公2人はそれぞれ腐女子/ゲイであることを隠してはいるが、クラスには友達がいて、ふざけ合い、恋バナする、そういう世界でも生きている少年少女。その光景が瑞々しく描かれていたのも、大切な要素。どんな世界も僕たちの隣に寄り添っていること、忘れないな。


4位 時効警察はじめました

12年ぶりのシーズン3。個人的に、深夜ドラマというカルチャーを知るきっかけとなったシリーズゆえ、この復活には舞い踊りました。続投したレギュラー陣は全員が12年前と変わらぬ人気を誇っているという異様な維持力で、当然集まればあのノリが形成されていくわけで、時間経過に抗う愛しさみたいなものもあった。そういう思い入れに加え、創始者・三木聡監督が手掛けた2時間スペシャル、第1話、最終話が抜群。ただ、その3本が完璧すぎて基本はめっちゃ面白いんだけど、それ以外の話にもっとアクが欲しくなってしまった笑。とはいえ、今泉力哉監督で檀れい/前野健太がゲストのメガネ回や、福田雄一脚本がまさかにハマりを見せた向井理ゲスト回など、良作も多数。ちなみに全話通してのベストくだりは「あずきパンダちゃん」でした。

3位 俺の話は長い

秀作揃いの秋ドラマ、思いがけぬ傑作であった。これはキャスティングが圧巻すぎる。生田斗真にうるせえ屁理屈を謎の説得力と共に語らせるニートを演じさせる発想が強すぎるし、その辛辣な姉に小池栄子、の尻に敷かれる夫の安田顕、の娘が冷徹かつ素朴な清原果耶、でその一家を取りまとめるまったりした母が原田美枝子なのだから完璧という他ない。皆を適切に動かし、最良の間合いで喋らせる、そして出来上がる上質なホームドラマ。家族団欒の食卓に、喜怒哀楽のうねり(怒多め)が愛おしい。お手本であり革新でもある、みたいな理想的な両立を達成していた。完璧な30分×2で放送枠を使うことで生まれるテンポ感は、深夜のゆるコメディを2連続で見てるようなゆったりとしたグルーヴがあって心地良く、新たな連ドラの見せ方だな、と。

2位 デザイナー渋井直人の休日

平成最後の傑作深夜ドラマ。こういう大人になっていくのかどうかを試してくる、踏み絵のような一作。「モテキ」とか刺さった人ならきっと抜けないトゲを再び撃ち込まれることでしょう。人は変われないのです、それどころか歳を重ねる度にそのこじらせ濃度は高まっていくのです。心地よい地獄! 


1位 いだてん~東京オリムピック噺~

1年間、45分×47回、35時間以上という放送時間で表現する最高級のエンタメだったと思う。史実をなぞる前提がある歴史ドラマ、つまり既に結末は明かされているというのに物語の運び方、場面の見せ方、言葉の選び方で如何様にも面白くなる!丹念に、ブレずに、腐らず、完走してくれてよかった。


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