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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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#ライブ

マカロニえんぴつの”ずらし方"/2023.11.05『マカロックツアー vol.16』@マリンメッセ福岡

マカロニえんぴつの”ずらし方"/2023.11.05『マカロックツアー vol.16』@マリンメッセ福岡

両日ともにソールドアウトという大記録となった初アリーナツアー福岡公演の2日目。Queblickやvoodoo loungeで観たバンドをマリンメッセで観るのは初めてのこと。この5年のブレイクに伴って興味が薄れるどころか、今年のアルバムで最高値を叩き出してくれた稀有なバンドの大舞台である。

ところでこのツアーには正式タイトルがある。「マカロックツアーvol.16 ~マカロニちゃん、じつはとってもシ

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その先の青さに/9.29 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2023『サーフ ブンガク カマクラ』@ Zepp Fukuoka(ゲスト:THEティバ)

その先の青さに/9.29 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2023『サーフ ブンガク カマクラ』@ Zepp Fukuoka(ゲスト:THEティバ)

こんな日がやってくるなんて思わなかった。今年、15年ぶりに再録された名盤『サーフ ブンガク カマクラ』、それを引っ提げてのツアーである。2009年に当時の全曲を披露したツアーはあったが当時は高校受験で行けなかった。もうほぼサーフの曲を聴くチャンスは無いと思われたが、生きてるといいことはあるものだ。

福岡公演のフロントアクトはTHEティバ。素晴らしいガレージロックを聴かせてくれた。音源はへろっとし

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カネコアヤノの2本のツアー/2023年上半期ベストライブ

カネコアヤノの2本のツアー/2023年上半期ベストライブ

カネコアヤノの2本のツアー

先に結果から述べておくと、上半期のベストライブ1、2位はカネコアヤノのツアーだった。2位はZepp Nagoyaでのライブハウス編、1位は福岡市民会館でのホール編。年始にリリースされた『タオルケットは穏やかな』のツアーだ。まとまった感想をnoteに書けずにいたがここに記しておきたい。

まずライブハウス編。長年サポートドラマーを続けてきたBob(HAPPY)が去って初

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二つの「ブラックアウト」〜3.5 Cody・Lee(李) × ASIAN KUNG-FU GENERATION 『HIGH FIVE 2023』@ Zepp Nagoya

二つの「ブラックアウト」〜3.5 Cody・Lee(李) × ASIAN KUNG-FU GENERATION 『HIGH FIVE 2023』@ Zepp Nagoya

昨年末にCody・Lee(李)とアジカンの対バンが発表され、その時はその組み合わせをかなり意外に思った。李の高橋響(Vo/Gt)のコメントにあった、高校1年生の時に作った「ブラックアウト」を真似て作った曲を作ったというのもなかなか想像できない。李といえばどちらかといえば、フジファブリックやandymoriを影響源とし、映画やお笑いなどカルチャー愛に溢れた青春性を強みとしているバンドだと思っているの

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男の子は泣く〜2023.02.10おとぎ話 × 忘れらんねえよ『RINNE』 @名古屋CLUB QUATTRO

男の子は泣く〜2023.02.10おとぎ話 × 忘れらんねえよ『RINNE』 @名古屋CLUB QUATTRO

男らしさとロックバンド現在放送中のドラマ「今夜すきやきだよ」。2月3日放送の第5話で描かれたのは”男らしさ"についてだった。仕事の悩みをうまく吐き出すことができず自分だけで背負い込むことを美徳だと思う主人公の友人の心をそっと解していくような回で、かなりじんときた。こういうドラマが届いて欲しい人を今まで精神科診察の現場で沢山見ているな、と思う。刷り込まれたこうあるべきだという責任感は周囲も自分も気づ

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2022年ベストライブ トップ10

2022年ベストライブ トップ10

名古屋に住んだことによって東京や大阪へ行くハードルがぐんと下がり素晴らしい節目の公演を観ることができた。ライブカルチャーの完全復活がどこなのかという話も出るけれど、個人的には魂はもうすっかりカムバック済。

10位 11.27 ROTH BART BARON「NIGHT AND LIGHT~景~」@名古屋城・本丸御殿中庭

ボーカルギターの三船雅也とキーボーディストの西池達也によるデュエット編成に

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2022年12月に観たライブ(内田万里とクレイジーピッグ/おとぎ話・有馬和樹)

2022年12月に観たライブ(内田万里とクレイジーピッグ/おとぎ話・有馬和樹)

名古屋には独特なライブ会場が多いなぁと思う年の瀬。早めのライブ納めをした12月の2公演。

12.3 内田万里とクレイジーピッグ『最後の祝宴』@ KDハポン(第2部:ド直球バンド編成)

元ふくろうずの内田万里がひっそりと始めていたソロ活動をようやく観ることができた。ふくろうずを観たのも8年半前のピロウズとユニゾンとの対バン以来だったのでだいぶ待望。関根史織(Ba)、河西愛紗(Dr)との3ピース編

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懐かしさと新しさ〜633「Bier Fest Tour」@ Zepp Nagoya(ゲスト:ストレイテナー/cinema staff)

懐かしさと新しさ〜633「Bier Fest Tour」@ Zepp Nagoya(ゲスト:ストレイテナー/cinema staff)

633というデビューしたばかりのバンドがいきなりZeppツアーを行うという。しかも対バンは全公演にストレイテナー、そして名古屋にはcinema staffという豪華なゲスト陣。”ウインナーの化身“という可愛らしいそのビジュアルもあいまって、デビュー初期からマンウィズがなぜか界隈のバンドたちから熱い支持を受けていたことを思い出すような思い出さないような。633の正体を確かめるべく初ツアーに向かうこと

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時間の無い夜〜11.27 ROTH BART BARON@名古屋城・本丸御殿中庭

時間の無い夜〜11.27 ROTH BART BARON@名古屋城・本丸御殿中庭

様々な場所やスタイルでライブを行っているROTH BART BARON。今回、名古屋城の秋の夜間特別公開の企画「音と光と名古屋城」に出演し、名古屋城の本丸御殿中庭でROTH BART BARONを観るという滅多にない機会を得た。ブッキングを担当したのは「森、道、市場」のイベンターjellyfish。つくづく、この都市の音楽カルチャーを面白くしている重要なチームである。

そもそもはアートディレクタ

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2022年11月に観たライブ(the chef cooks me × imai/アカシック[配信])

2022年11月に観たライブ(the chef cooks me × imai/アカシック[配信])

11.2 the chef cooks me Tour “Feeling” 2022@名古屋CLUB UPSET(ゲスト:imai)

ゲストにimaiを迎えたこの組み合わせは4年前の福岡grafで観て以来。偶然だけどもまさか名古屋でも同じ座組に出くわせるとは。まず登場したのはimai。やはり最高である。仕事の終わりの疲れに効くフルテンションのダンスミュージック。バキバキなシンセさばきで脳天に刺さ

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2022.11.16 MOROHA × 蛙亭、挫け昂るということ

2022.11.16 MOROHA × 蛙亭、挫け昂るということ

MOROHAがお笑いコンビを迎えて敢行している全国ツアー。名古屋ReNY Limitedのゲストは蛙亭。蛙亭といえば、イワクラがゴッドタンの「マジ歌選手権」でMOROHAをオマージュ(本人はパクったとこのライブで言っておりました)をして、自身の笑いへの想いを叫んだことは有名な話。その後、対談などを経て今回の対バンに至った。

サンパチマイクの前にまず登場するのは蛙亭だ。ツカミでイワクラはMOROH

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終わらない予感は消せない〜2022.11.10 Base Ball Bear 20th Anniversary 「(This Is The)Base Ball Bear part.3」@日本武道館

終わらない予感は消せない〜2022.11.10 Base Ball Bear 20th Anniversary 「(This Is The)Base Ball Bear part.3」@日本武道館

2010年、2012年に続いて10年ぶりとなる日本武道館ライブ。過去2回は思うようにライブが出来なかったことが何度も本人たちの口から語られており、かねてよりもう1度やりたいと熱望し続けたバンドにとっての立ち向かうべき壁のような会場だった。チケットを売り伸ばすためのニコ生や突然の過去2回の武道館ライブ盤リリース(嬉しい)などもあり、動員はかなり苦戦しているのでは、、?などと余計なことを考えてしまって

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Base Ball Bear、3度目の武道館にいたる探究の10年〜2012 to 2022

Base Ball Bear、3度目の武道館にいたる探究の10年〜2012 to 2022

2022年11月10日、Base Ball Bearの結成20周年イヤー最終日にバンド史上3回目となる日本武道館ライブが開催される。メジャーデビューから4年足らずでの1度目の武道館(2010.13)、結成10周年記念の2度目の武道館(2012.1.3)から約11年ぶり。ニコ生のライブ映像実況などで、メンバーはたびたび「また武道館やりたい」と口にしており、ファンとしても待望の公演であった。

ちょう

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お笑いブームの極致にて~2012 to 2022

お笑いブームの極致にて~2012 to 2022

2022年10月22日、ウインクあいちで「天高く馬肥ゆる東名阪漫才興行」の名古屋公演を観た。カナメストーン、真空ジェシカ、ママタルトの3組による漫才ツアーで6月以来の開催となる。M-1グランプリ2022を控えたこの10月。じっくりとネタを仕上げつつある過程を垣間見れる貴重な機会であった。

ママタルトは今年、決勝をキメに来た覚悟を感じた。ありネタを磨きあげる段階。更に驚くべきは真空ジェシカまでもが

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