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架僑 中国を第二の故郷にした日本人

いつも借り物の見出しフォトであるが、今日は中国風味の写真をお借りした。そろそろ中国もしくは台湾に飛びたくなってきた。足掛け3年近く出来ないと、少し寂しくなる。私は出国審査を終えて搭乗するまでの時間が何より高揚する。空港で出国審査が終わった後のホッとした感、旅行が始まるぞというワクワク、搭乗までの時間を飛行機を眺めながら過ごせる充足感・・・あぁ、旅立ちたい。

私と中国・台湾との付き合いは時間だけは長く、もう25年に及ぶ。その間、語学をやってみたり文学を勉強してみたりいろいろしたが、結局のところ中国のダイナミックさ、スピードの速さもあるが、反面古き良きものを残している感じが気に入っている。私は一人旅が基本なのだが、全く飽きることが無い。ただそこにいるだけで気分が良くなる。まぁ、無責任な旅行者ということもあるだろうが、若い時はいつか中国か台湾に移住したいと思っていた。今でもその気持ちに変わっていないのだが、浮世の義理などいろいろあって夢は夢としてとりあえず脇に置いているところなのだ。その気持ちがこの本を手に取らせる理由となる。

中国に移住している日本人について書いている。私はどんな人が中国に魅力を感じ、移住しているのか興味があった。一番、心惹かれたのは「武漢でカレー屋を興した老人 店主・嶋田孝治」という章で取り上げられている男性だ。ここに取り上げられている人たちは理想や夢、信念をもって行動して今に至るという人が多い。若くて体力気力ともに十分。
しかしある程度年齢を重ねると、若い人たちが海外に旅立って自分を試すと言ったものは眩しすぎてたまらない。そして、心のどこかで「やりたいな」と思いながら暮らしてきた身としては、忸怩たる気持ちや自分に足りなかった勇気など見ないふりをして横に置いてきた気持ちが思い出されて、なんとも言いようがない気持ちになる。

でも嶋田さんという人もいた!嶋田さんは、私のような腑抜けに喝を入れてくれる・・・ではなく、終始自然体。ただここが好きだから、という理由でコロナ禍の中国しかも武漢に留まる姿勢。どれをとっても余裕ある大人の振る舞いに感服したからだ。

これを読んで、仕事について考えたり、自分の生活について考えたり、自分がどうなりたいのかを考えたりした。本当はこういう事の一つひとつが言語化できなければ自分の中に積み重なっていかないのだろうけれど、折に触れて自分も今の自分に問いかけたいと思う。

このルポルタージュのテーマである言葉。
「我住在這里的理由(私がここに住む理由)」