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風をつくる#7 家族へのカミングアウト 自問自答編

実践の前に

こんにちは、Shadeです。
僕は30代、既婚(子無し)、バイセクシャルでメンタル疾患持ちの男性です。

#6までの記事では、現在のパートナーである奥さんへ人生初のカミングアウトを行ったことや、ある複雑な事情から疎遠になっていた古くからの友人へ2度目のカミングアウトを実行したこと、そして彼らの反応によって、自分自身が救われた経緯などを書きました(これまで読んでくださった方々、リアクションやコメント、フォローをしてくださった方々、本当にありがとうございます)。

前回から少し時間が経過し、自分の「性的指向」に関しても、「バイセクシャル」と「ゲイ」の境界線上に立っているのではないかと新たに定義し直してみるなど、日々揺らぎを感じ続けている現在の僕ですが、今回は、「家族へのカミングアウト」というテーマで書いてみたいと思い、筆を取った次第です。

あらゆる「LGBTQ+」の方々にとって、これはかなり普遍的なテーマ、のはず。時代の風向きから考えると、わりとナチュラルに伝えられる(そして受け入れられる)方もいらっしゃるかもしれませんが、ギリギリ昭和世代の僕にとって、家族に自分のセクシャリティを打ち明けることは、ラスボス級の難題感があります…苦笑

けれど、カミングアウトを、大切な人に「ありのままの自分」を知ってもらうための行為と捉えた場合、奥さんや友人と同じくらい、家族の顔が頭に浮かぶのもまた、確かなことです。
そこで今回は、実際にカミングアウトを行う前の「自問自答編」ということで、家族に自身のセクシャリティを伝えることの意味や、どのように伝えるべきか、などを整理して考えてみたいと思います。

ちなみに、誤解のないよう、前提として述べておくと、僕は決してカミングアウトをすることこそが全てと考えている訳ではありません(まだ自分も2度しか行っていない完全な初心者ですし、あらゆる「LGBTQ+」当事者には、公表する「権利」としない「権利」、どちらも等しく与えられていると思っています)。
ですが、もしも今、家族や大切な人に自分のセクシャリティを打ち明けたいと考えている方、もしくは打ち明けられずに悩んでいる方などがいらっしゃいましたら、読んでいただくことで、少しでも何らかの参考になれば嬉しいです。

正直に、でも少しだけ冷静に

今から思えば、これまで行った2度のカミングアウトは、どちらかといえば「衝動」に近いものでした。もちろん、そこに至るまでの過程で苦悩し、色々と考えた末での決断であったことは確かですが、何故そのタイミングだったのかと訊かれたら、「どうしても言わずにいられなくなったから」、と答えると思います。

ただ、今回のテーマである家族へのカミングアウトについては、もう少し冷静というか、少しテンションの異なる自分がいる気がします。
「言わずにいられない」というよりも、「知っておいてほしい」、「理解を得たい」という気持ちが強いのかな、と思うのです。

ちなみに、僕の両親は、僕が大学を卒業する頃に離婚し、現在は別々に暮らしています。また、僕には妹が一人いますが、彼女も現在一人暮らしをしているため、家族4人が全員バラバラに暮らしていることになります。
僕は、両親が離婚したのと同時ぐらいに家を出て、それからは父とも母とも、同じくらいの距離を保ちながら、自分としては自立した自我を育んできたつもりです。
そして、そんな現在の、ちょうど良い距離感を持つ「大人同士」だからこそ、分かり合えるものがあるんじゃないかな、という希望を持っています。

自分に正直に、でも少しだけ冷静に、ありのままの僕を知ってもらう。
もちろんリスクはあります。家族が全員、「LGBTQ+」に理解があるとは限らない。もしかしたら、伝えたことをきっかけに、ギクシャクしてしまうこともあるかもしれない。
けれど、それは決して「デメリット」ではないと僕は思います。
少し愚直で楽観的かもしれませんが、本音と本音がぶつかる時にこそ、本当に相手と理解し合える機会が訪れるはずだと信じているからです。

感情的になりすぎず、相手の反応に動揺することなく、たとえ理解されなかったとしても、ネガティブに捉えることをせずに、続けて対話をする姿勢を見せる。
これが僕の理想とする伝え方ですが、もちろん人によって色々な考え方があるかと思いますので、あくまで一つの考え方として捉えて頂けると幸いです。

一方通行にならないために

また、これは家族に限らず、カミングアウト全般に言えることかもしれませんが、打ち明けられる相手の気持ちを推察しておくことも、心の準備をしておく上では大切と言えるかもしれません。
特に家族を対象とした場合、僕にとっては奥さんや友人にカミングアウトを行った時のような「衝動性」がない分、よりクールに、その辺りを考えられるかな、という思いがあります。

例えば、僕の父親は現在70代前半。世代感もあるかもしれませんが、昔から「セクシャルマイノリティー」について揶揄するような発言をしたり、そうした方々がテレビに出ていたりすると、露骨に差別的な言葉を発するタイプの人でした。

現在の彼が、昨今の「LGBTQ+」を取り巻く事情をどのように考えているかは分かりませんが、そうしたバックボーンを知りながら、息子としてバイセクシャルであることを伝えるのは、正直かなり勇気がいる行為ではあると思います。
ただ、拒絶的な言動や否定的な反応が返ってきたとしても、先述した通り感情的にならず、対話を続けることで見えてくるものはあると、現在の僕は「少しだけ冷静に」考えているところです。

打ち明ける相手が他人ではなく家族であれば、ある程度どのような反応が返ってくるかは予想もしやすいはず。あらかじめ頭の中でシミュレーションしておいて、こういうことを言われたらこう返そう、などとプランニングしておくことも、その場を円滑に進めるための一つの方法ではあるはずです。

もちろん、カミングアウトの軸はあくまでも「自分」にあり、より自由な生を生きるために行う行為。けれど、これは一人ではできない、相手のいることです。決して遠慮する必要はありませんが、打ち明けられた時の相手の感情を想像しておくことは、カミングアウトを一方通行で終わらせないためにも多少必要かな、と個人的には思っています。

実行の日は近い…?

さて、先述した通り、僕の両親は離婚しているため、家族と会うときは大抵、父親+妹、もしくは母親+妹の2パターンになります。
実は、来月このうちの後者のパターン、母親と妹、それに奥さんも交えてお茶をする予定があるのです。
前章で書いた理由から、僕としては、まずはじめに打ち明けやすいのは母親か妹のどちらかだと考えていましたので、これは絶好の機会。
しかし、心配なのは奥さんの心境です。義母と義妹がいる前で、夫が「自分はバイセクシャルだ」とカミングアウトを始めたらどんな気持ちになるのか…

しかし、これは完全な杞憂でした。
念の為、奥さんにお茶会の場でカミングアウトをしたらどう思うかを確認したところ、「全然オッケー」とのこと…苦笑
むしろ話題がなくなって沈黙が続く方が、彼女としては困るそうです。
改めて女性の強さを思い知ったというか(僕の奥さんが特例である可能性も捨てきれませんが)、むしろ僕の方の勇気が試される形になります。

というわけで、少し先の話になりますが、もしもそのタイミングが訪れたら、「実践編」の投稿が実現するかもしれません。そしてそうなった時、確実に僕の人生もまた新たなフェーズへと進んでいることでしょう。願わくば、それが良い結果になることを信じて、今はまだ自問自答を繰り返している次第です。

家族に限らず、カミングアウトはあらゆる「LGBTQ+」当事者にとって、ありのままの自分を知ってもらう大切な機会。
まずは「自分を大切にすること」を優先に、相手に伝えるための心の準備が整ったら、できるときにする。そんなスタンスで臨むのが、誰にとっても一番しっくりくるのではないかと思います。
焦らず、じっくり考えた上での行動なら、たとえそれがどのような結果に終わっても、自分にとって決して「後悔」は残らないはず。
そう信じて、また少し、自分の世界を広げるための挑戦を続けていきたいと、僕は考えています。

それでは、またまた長くなってしまったので今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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