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珈琲の大霊師外伝-挨拶-

 俺の名前はジョージ=アレクセント。珈琲の深淵を求める冒険者にして、その伝道者の片割れだ。

 故郷、アディア連邦の貿易都市マルクで後に”珈琲の大霊師”と称される少女、モカナと出会って俺の人生は大きな転換期を迎えた。

 珈琲はいい。人生を賭ける価値がある。珈琲は最高だ。その香り、酸味、苦み、甘み、その向こうにはその豆が育った土地があり、文化がある。珈琲を飲むことで、人はその場にいながら世界を旅する事ができる。

 とまあ、珈琲に惚れ込んだ俺はモカナと一緒に珈琲を広める旅を始めた。ああ、今、大分端折った。この話には、砂漠の軍事大国サラクのお姫様リフレールだとか、俺の幼馴染のルナだとか色々絡むんだが、長くなるから省略する。

 珈琲を広めてく中で、サラクの反乱を鎮めたり、珈琲を手軽に楽しめる飲食店”カフェ”を始めたり、無限回廊でモカナが攫われそうになったり、古代の泥の化け物を人間にしたりしてたわけだが、これも長すぎるから省略だ。

 最終的にモカナの故郷、タウロスの里に辿り着いた俺達は苦労の末、一番最初に俺が惚れ込んだ珈琲豆を確保したわけだが、このタウロスの里ってのは外の10倍流れる時間が早かった。しかも、外から入った人間は外の時間で1年間。中の時間で10年も出られないときた。

 まだ初潮も来てなかったモカナも、4、5年も経てばまぁ射程圏内に入るってもんで、まぁ、なんだ。なるようになったわけだ。うん。いや、まさかとは思ってたんだけどな?モカナが他の男に粉かけられるのを見て、瞬時に頭が沸騰したのはびっくりしたわ。

 リフレールみたいに美人でもねえ。ルナみたいに豊満でもねえ。ルビーみたいに野性味もねえんだが、間違いなくモカナって女は俺の帰る場所だった。いやな?良い女になったぜ?マジで。

 で、タウロスの里で10年過ごした俺達は、こしらえたガキ共を連れて外に出たってわけだ。

 ここまでの細かい事は、今シオリが編集してるっていう”珈琲の大霊師”の公式伝記を読んでくれ。

 以上、世界初の珈琲雑誌の冒頭の挨拶を、”珈琲の大霊師”の片割れ、世界珈琲商会会長ジョージ=アレクセントが務めさせてもらった。全世界の珈琲馬鹿共なら、こんな感じの砕けた文章でも腹を立てないだろうと確信してる。

 だってそうだろう?どうせこの文章を読んでるあんたは、片手に珈琲を持って読んでるに違いねえんだから。

 

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