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詩 『揺れて』

振り子をみていた
ゆれていた
左右にずっとゆれていた

時計をみていた
まわってた
円を描いてまわってた

でも君たちの真ん中は
うごかない

中心

往来する波は
たくさんの欠片を残していった

継ぎはぎだらけの箱には
何も入っていなかった
ただ大切にしまってた

奥底

往来する波は
たくさんの集塊をぬぐいさった

大切にしまってた
空っぽの汚れた箱は
記憶の中でかすんでた

片隅

ゆれる振り子
まわる時計
等間隔の小さな音をきいていた

窓をのぞいて
明るい光が
緑青の木々をてらしてた

壁をみつめて
黒いしみが
静かに小さくおさまっていた

鏡をみつけて
近くにいったら

暗く小さな部屋の角
ぼくひとりがそこにいた

そっと仄かにほほ笑んだ


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