【M&A】中小企業M&Aガイドライン、実務のあり方

おはようございます。今日は私の個人的な興味関心もありまして、3月末に改訂された「中小M&Aガイドライン -第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」を取り上げたいと思います。ニュースとしての解説はこちらをご覧ください。

この記事を取り上げた理由

私の家業も中小企業を営んでおりますが、私自身それを継ぐ気はないので、このまま行くと跡取りもおらず廃業を迎えることになりそうです。食品の卸であるため、加えてこのコロナ禍に伴い、業績自体も相当悪化しており、いつ倒産してもおかしくないのではないかと思っています。

本当は景気が悪くなる前にどこか別の卸に事業売却をするなどの選択肢が取れればよかったのですが、代々続く家業でもあるため、「先祖に失礼だ」というような感情が出てくることは不可避であることも想像できます。とはいえ、自らの手で清算してしまうのも同意だと思うのですが。。

中小企業の経営者にとって事業売却するとは、自分や家族の人生自体を否定するような行為に思えてしまうのも、わからなくはありません。ただ、そのような感傷的な理由だけで本来得られる便益すら否定するのは拙速な気もしてしまいます。

要旨

<ガイドラインなので割愛>

解釈

そもそも中小企業の経営者は株式上場もしていないし税金の払い残しが無く、利益がなんとなく出てればいい、くらいの感覚で経営している人が多そう(我が家から見た私見なので誤解だったらすいません)なので、そもそもバリュエーションやらデューデリジェンスの手間が半端なさそうですね。

バリュエーションについては、貸借対照表、損益計算書くらいはあるかもしれませんが、キャッシュフロー計算書とかはまずそろっていない気がします。というか自社の固定資産の管理とかもどれだけ精緻にされてるんでしょうか。税理士さんに定期的に見てもらってるから、そこらへんは平気なのかな、、、我が家とかだと全部手計算&手書きで管理してるような気がするので、そもそも回収していない売掛金とか受取手形もあるような気がしています。そこらへんを一から精緻に確認する際、デジタル化していないととんでもない手間がかかりますね。

デューデリジェンスに関していえば、BDDは比較的シンプルに5Forcesかけますし買いたい会社があればSWOT分析もちょろっとで出来そうです。財務DDは前述の通りめんどくさそうですね。法務・税務DDは既にプロから見てもらっているので簡略化できそうです。ITDD・人事DDは小さな家業であるためほとんど考慮にいれなくともOKです。

ここまで考えると、財務DDさえ出来てしまえば(=ちゃんとした会計士さんに診てもらえさえすれば)、ほぼM&Aのプロセスは自分でも回せそうな気がしてきました。

とはいえ、あとはこの会社を欲しい人がいるのかって点と、そもそもうちの親族がそれを了承するのか、というのがポイントになりますね。とどのつまりは「なんで売却したいの?」「それによって感傷的な損害>得られるメリットになるの?」ってことだと思います。ここは価値観のすり合わせだったり、これまで事業を営んできた上での「想い」があるので、それこそ上っ面ではない議論が求められるポイントです。

プロセスを回すことなんかより、ここの想いを丁寧にくみ取ってお互いが気持ちよく納得して次のフェーズに進めるお手伝いをしようとするマインドセットこそが重要なのではないかと感じました。

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