【サルAF】そもそも企業価値って何?

さて、第二回としてサルでもわかる会計・ファイナンスの話を初学者の私が本を読み漁りながらお届けしたいと思います。前回は会計・ファイナンスという言葉の定義からその目的、企業価値の意義までをお伝えしました。

①企業価値って何か?

と言われて皆さんはピンと来ますか?僕は最初さっぱり見当もつきませんでした。企業価値って言われても、従業員、顧客、経営者、投資家、債権者・・・それぞれの立場によって価値の測り方、価値を創出するドライバーは異なると思ったためです。

また企業価値を算出するにあたってのアプローチも会計的な現状ベース(株式から、資産から)の価値、ファイナンス的な将来ベースの価値との分かれます。

企業はお菓子とか本のようにコモディティ化して値段が決まっているものではありません。このように見る主体、見る切り口によって如何様にでも捉え方が変わるものであり、それゆえ企業価値というもの自体も、目的やその活用用途によって大きく異なるのです。

②企業価値を算出する目的は何か?

企業価値を算出する目的は大きく分けて、M&Aの取引でのステークホルダー説明、グループ内の取引での税務処理、係争時における戦略策定、会計時における分析・説明の4つとなります。

これらについてはいずれも高い客観性が求められるため、第三者に委託して算出するのが通例です。

また、簡易的に企業価値を比較したり企業の状況を把握するために様々な財務指標が用いられます。これは次回にでもお話しします。

③企業価値算出のアプローチにはどのようなものがあるか?

企業価値算出においては、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチの3種類があります。

マーケット・アプローチとは株式から算出する方法、インカム・アプローチとは、将来得られるであろうキャッシュフローから算出する方法、コスト・アプローチとは、原価から算出する方法になります。

④マーケットアプローチとは?

マーケットアプローチには、株式市価法、株価倍率法、類似取引比準法という3種類があります。株式市価法とは、一定期間の株式の平均値より算出する方法です。ただ、これは一定期間とはどの程度を指すのか、流動性(株の売り買いの頻度)がどの程度担保されているべきか、などが合意されていないとエイ!ヤー!な感じの算出にならざるを得ません。

株価倍率法は非上場株式を評価する際に一般的に使われる方法であり、評価企業と類似する上場企業の株式から相対的に算出する方法です。この際に、事業価値を中心に見る場合はEBITDAマルチプルを、株式時価総額を中心に見る場合はPERやPBRを活用することが多いようです。(指標の説明はまた次回) いずれにせよ、この方法だと、類似企業の選定、採用する株価倍率の特定の2つが肝になってきます。

⑤インカムアプローチとは?

インカムアプローチはDCF法がメインです。この方法は企業が将来生み出すキャッシュフローに着目するという点において、財務的には最も理論的な評価手法と考えられています。

プロセスとしては、対象企業のフリーキャッシュフローを事業計画から算定し、事業計画以降の残存価値を算定し、割引率を算定し、非事業用資産価値の加算・有利子負債の減算を行う、という流れになります。

フリーキャッシュフローとは、債権者と株主に分配可能なキャッシュフローを指します。これは営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いた値となり、まさに企業が自由に使えるお金を指します。なお、厳密に計算する際はEBITを使用します。

残存価値とは、事業が永続的に続くという前提(ゴーイング・コンサーン)に基づいて、WACC(加重平均資本コスト)での割引&事業の成長性を加味した将来の価値になります。M&Aだとだいたい5-10年程度を算定するようです。成長割合は永久成長率と呼び、一般的には0-1%で設定することが多いようです。


以上、サルでもわかるというコンセプトを二回目から逸脱している感はありますが、ざっと簡易にまとめてみました。

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