べつのせかいでは
Webメディア「MATOGROSSO」(最初に「マトグロッソ」の存在を知ったのは高野文子せんせいの「ドミトリーともきんす」だったなー…)。
そこで連載されてる、今いちばん続きが気になるマンガが、秦和生『カイニスの金の鳥』。
19世紀イギリス、女性の立場が弱い時代。
牧師の娘・リアは幼いころから物語の世界を愛し、小説を書くことを好んできたが、周囲の男性に「女が小説なんて無理だ」と否定され続けてきた。
19になり、男性名「アラン」を名乗って投稿した作品が認められ、小説家としての道が開ける。
そして、男装に身を包み、出版社のあるロンドンへ単身向かうことで運命が動き出すのだが──
今のわたしたちの目線で考えるよりはるかに、女性は人間ではなくて低きもの悪しきものだった社会構造の中で、リアが自由に「自分」を表現するには、大きな決断をするしかなかった。
そして舞台はロンドンに移って、リア/アランとマイルズと、二人を取り巻く人たちとのお話に。
リアの底に薄く諦めがあるような笑顔と、アランのバラエティに富んだ表情との対比を思うと、リアが決断せざるを得ない状況や心境は胸にくるものがある。
理解しようとするマイルズはいいやつだなあ。
リアがアランとして生きるのを選んだことが、呪いではなく希望として描かれているのがいい。
さて、その単行本3巻が先日発売となりました。
マイルズがやらかしましてね…。
以下、好きなシーンちょこっと抜粋(Twitterで好きなシーン募集しておられたからいいかなーと思ったけど、画像掲載問題あったら取り下げます)。
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人が、自分と他者の距離を自覚して、それを測る瞬間はロマンチックだと思うんだよ。
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二人で窓を開けてお茶を飲むシーン、時間が穏やかなのがいい。
カバー表4がアングル違いのアザーカットなところがまたいい。
こうして採り上げるところを見ると、秦せんせいも気に入ってるシーンなのかな。
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Web連載で最初にここを読んだときはマイルズと同じような心持ちになったし、その後ああなってああなるものだから、次の回の更新が待ち遠しかったし怖かった。
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考えなくてはならないことがあるのは、男も女も犬も宇宙人も変わらないからね。
今後は隔月連載になるとのことなので、のんびり楽しみにしています。
あと、わたしもあの原っぱに行ってみたい。
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WebでもTwitterでも第1話は随時お読みいただけます。
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